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肥満になるとなぜ高血圧になるのか??そのメカニズムとリスクを徹底解明!!

札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニックです。肥満は日本において大きな健康課題となっており、特に生活習慣病である高血圧症と深く関わっています。正常体重の人と比べて肥満の人は約2~3倍高血圧症を発症しやすいとされており、心臓病や脳血管疾患を引き起こすリスクも高まります。この記事では、肥満がどのようにして高血圧を引き起こすのか、そのメカニズムとともに、予防・改善策について詳しく解説します。

肥満による高血圧のメカニズム

  1. ナトリウム(塩分)と水分の過剰摂取 肥満の人は、食事量が多いため塩分も過剰に摂取しがちです。ナトリウムが体内に過剰にあると、それを薄めるために血管内に水分が引き込まれ、血液量が増加します。これが心臓に負担をかけ、結果的に血圧が上昇します。また、肥満の影響で腎臓の機能が低下し、ナトリウムの排出がうまく行かないと血圧はさらに上昇します。
  2. 高インスリン血症による影響 肥満によりインスリンが過剰に分泌されることで、腎臓におけるナトリウム再吸収が亢進します。このため血中のナトリウムがさらに増え、血液量が増加して血圧が上がります。また、過剰なインスリンは交感神経系を刺激し、カテコールアミンと呼ばれるホルモンの分泌を促します。カテコールアミンは末梢血管を収縮させるため、血流が悪化し血圧が上昇します。
  3. 脂肪細胞からのアンギオテンシノーゲン分泌 肥大化した脂肪細胞からはアンギオテンシノーゲンと呼ばれる生理活性物質が分泌され、これも血管を収縮させる作用を持っています。このように、肥満により脂肪細胞が増えると血管が収縮しやすくなり、血圧上昇に拍車がかかります。

肥満のタイプと高血圧への影響

肥満には「皮下脂肪型肥満」と「内臓脂肪型肥満」の2種類があります。高血圧と密接に関連しているのは、「内臓脂肪型肥満」です。腹部に脂肪が溜まることで血流が圧迫され、特にインスリン抵抗性が引き起こされると、さらにインスリン分泌が増加し血圧が上昇しやすくなります。また、内臓脂肪は脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンと呼ばれる善玉物質の分泌を抑制します。アディポネクチンはインスリンの効果を高め脂肪燃焼を助ける働きがあるため、内臓脂肪型肥満が進行するとインスリンの働きが低下し、結果的に血圧が上昇するリスクが増します。内臓脂肪とは何か?そのリスクと健康への影響|大正製薬

肥満と高血圧が引き起こす健康リスク

肥満が原因で引き起こされる高血圧は、血管を硬くし、動脈硬化を促進します。動脈硬化が進行すると脳や心臓、腎臓などの主要臓器への血流が阻害され、脳卒中や心筋梗塞、腎不全といった重篤な病気に繋がる可能性があります。また、肥満があると血中の脂質量が増加しやすく、血液がドロドロになるため心臓への負担が大きくなり、心拍出量が増加して高血圧がさらに悪化します。

肥満を改善し、高血圧を予防するための対策

  1. 有酸素運動の実施
    運動は肥満を予防・改善するだけでなく、血圧のコントロールにも大いに役立ちます。ウォーキングや水泳などの有酸素運動を毎日30分以上行うことで、血流が促進され、心拍出量が低下するため、血圧が正常範囲に収まる可能性が高まります。ただし、急激な運動は避け、ゆっくりと体を慣らしていくことが大切です。
  2. 食生活の見直し
    肥満と高血圧の改善には減塩が不可欠です。特にラーメンや加工食品など塩分が多い食品は控え、天然だしやハーブ、スパイスを使って料理の風味を高める工夫が求められます。また、や野菜を積極的に摂取し、脂質異常症の予防にも役立てましょう。食物繊維の豊富な野菜を摂ることで血中コレステロールの低下にもつながります。
  3. ストレスの管理
    ストレスは交感神経系を刺激し、血管の収縮を引き起こします。日常生活におけるストレスは、呼吸法や瞑想、軽い運動などを通して解消しましょう。食べ物に頼らないストレス解消法を見つけることが大切です。
  4. 禁煙・節酒
    喫煙は血管を収縮させ、血圧を上昇させるだけでなく、動脈硬化を促進します。アルコールは適量であれば一時的に血管を拡張しますが、大量飲酒は長期的に高血圧のリスクを高めます。特に肥満や高血圧を伴う場合、禁煙や節酒は早急に実践すべき改善点です。
  5. 適切な睡眠
    睡眠不足は血圧を上昇させ、肥満の原因にもなります。質の高い睡眠を確保するためには、寝る前にスマートフォンやパソコンの使用を控え、リラックスできる環境を整えることが重要です。十分な睡眠時間を確保することで、交感神経と副交感神経のバランスが整い、血圧が安定しやすくなります。

まとめ:肥満と高血圧の密接な関係について

肥満と高血圧の関係は非常に密接で、肥満の改善がそのまま血圧の改善に直結するケースも多く見られます。特に内臓脂肪型肥満は、インスリン抵抗性の増加や脂肪細胞からの有害物質分泌の増加によって、血圧上昇を助長するため、早期の対策が必要です。定期的な体重管理、適度な運動、バランスの取れた食生活、ストレス管理といった生活習慣の改善が、高血圧予防の鍵となります。

肥満による高血圧は単なる一時的な症状ではなく、放置すると動脈硬化や心臓病、脳卒中など、生命に関わる重篤な病気の引き金にもなりかねません。健康的な体重と血圧を維持するため、早めの対応が重要です。

当院では肥満外来も実施しているので肥満にお困りの方は是非ご相談ください。

今回はこの辺で。

札幌駅近く、大通り駅近くの小野百合内科クリニック

院長 小野渉

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