糖尿病の合併症について
糖尿病で注意すべきは、糖尿病自体の症状よりも「合併症」です。合併症を発症すると治療が難しくなり、生活に支障をきたすことも。特に糖尿病網膜症・糖尿病腎症・糖尿病神経障害は、糖尿病の三大合併症としても知られています。合併症を予防するためにも、普段から血糖コントロールを良好にしておくことが大切です。
Complications Diabetes


糖尿病の合併症

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河盛隆造、綿⽥裕孝 編:インフォームドコンセントのための図説シリーズ 糖尿病 改訂版 医薬ジャーナル社 ,23-36, 2017
糖尿病網膜症・糖尿病腎症・糖尿病神経障害などの三大合併症を中心に、糖尿病の合併症についてご紹介します。
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01

眼の障害(糖尿病網膜症)

糖尿病網膜症とは、高血糖状態が続くことで、眼の奥にある網膜の毛細血管に障害が起きる合併症です。進行すると失明に至ることもあります。糖尿病網膜症は自覚症状がないまま進行していくため、定期的な眼底検査が必要です。
網膜症を防ぐためには

・血糖コントロールを良好に
・定期的に眼科の受診を
・場合によっては、眼科での治療を

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02

神経の障害(糖尿病神経障害)

糖尿病神経障害は、高血糖が続くことで神経(知覚神経・自律神経・運動神経)に障害されることで起こります。自律神経が障害されると、立ちくらみ・発汗異常・下痢・便秘・消化吸収の異常・排尿異常・インポテンツなどを起こします。
特に、末端の神経障害が起きた場合には、手足の痛みやしびれなどの感覚異常から足潰瘍や足壊疽を起こすこともあります。自覚症状がある場合は、早めに医師へ相談しましょう。

足の神経障害(感覚低下・足壊疽・足潰瘍・足白癬)を予防するためには

・入浴時などに足を観察しましょう。特に足底や指の間を確認してください
・足に合った適切な靴を履きましょう
・定期受診時に遠慮なくご相談を

当クリニックでは、フットケアを担当している専門の看護師が常駐しています。お気軽にお声がけください。
詳しくはこちらをごらんください。
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03

腎臓の障害(糖尿病腎症)

糖尿病腎症は、高血糖状態が続くことで腎臓の糸球体という場所に障害が起こります。
糸球体の障害が進むと、尿たんぱくが増加。老廃物として尿を排出する腎臓の機能が失われていき、最終的に透析治療を要することもあります。現在では新規に透析導入となる人の約半分ぐらいが糖尿病による腎障害です。

腎臓を守るためには

1:血糖コントロールを良好に
2:血圧を良好に保ちましょう。130/80mmHg未満の維持を目標に
3:場合によっては腎臓の障害を抑える薬の検討を

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04

動脈硬化・大血管障害

動脈硬化とは、血管の内側に脂質やカルシウムが蓄積して血管が硬く狭くなる状態。糖尿病で高血糖状態が続くと、動脈硬化のリスクを高め、心臓病や脳卒中の原因にもなります。
動脈硬化は糖尿病だけでなく、高血圧や脂質異常症、喫煙、肥満なさまざまな要因で進行するもの。症状が進行する前に医師の指導を受け、生活習慣の改善や必要に応じて食事療法、運動療法、薬物治療を行うことが重要です。

動脈硬化を予防するには

1:血糖コントロールを良好に
2:高血圧や脂質異常症など生活習慣病の改善や、減量、禁煙を
3:定期的な健康診断や生活習慣の見直しを行いましょう

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05

歯周病

糖尿病と歯周病は相互に影響を及ぼします。
糖尿病で高血糖状態が続くと歯肉の血管がもろくなり、放置すると歯周病が進行。歯を支えている骨が溶け、なくなってしまいます。一方で、歯周病になることで血糖コントロールがうまくいかなくなり、糖尿病が進行しやすくなります。
歯周病の治療をきちんと行うと血糖値が改善することがわかってきています。
日々の歯磨きや定期的な歯科検診の受診を行いましょう。

歯周病を予防するには

1:定期的な歯科検診の受診を
2:歯石・プラークの除去を行いましょう
3:毎日しっかり歯磨きを。磨き残しにご注意を

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