生活習慣病
糖尿病とも密接に関連している生活習慣病。一度は耳にしたことがある高血圧・脂質異常症・高尿酸結晶(痛風)の症状や治療について解説していきます。生活習慣病に大きく関連する食事についてもアドバイスしています。
Elevated Blood Pressure


高血圧とは

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高血圧とは安静時でも慢性的に血圧が通常より高い状態のこと。ですが、病院での血圧測定時に高い数値が出たというだけでは、高血圧症と断言できません。
繰り返し血圧を測定し、【収縮期血圧(最高血圧):140mmHg以上】または【拡張期血圧(最低血圧):90mmHg以上】である場合に、「高血圧症」と診断されます。

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高血圧の危険性

高血圧が続いても、頭痛やめまい、肩こりなど、自覚症状があまりありません。しかし、高血圧の状態が続くと動脈硬化が進み、脳出血や脳梗塞、心筋梗塞などを引き起こすリスクが高まります。
福岡県久山町で行われた有名な研究調査(※)によれば、高血圧によって引き起こされるリスクが最も高まるのは「脳卒中」。収縮期血圧が10 mmHg上昇するごとに、男性では脳卒中のリスクが20%、女性では15%高くなるとされています。
(※)『久山町研究』1961年に福岡県久山町の地域住民を対象に、脳卒中の実態調査として始まった研究調査。血圧の高いグループと低いグループに分け、長期間にわたり追跡調査を実施。

高血圧症の種類

本態性高血圧症
高血圧症の90%以上がこのタイプです。原因がはっきりせず、遺伝的な要因と生活習慣の両方が影響していると考えられています。 塩分の過剰摂取や肥満、喫煙、ストレス、運動不足、野菜不足、自律神経系の異常によるものが考えられます。
二次性高血圧症

血圧が上昇する要因となる病気がある場合に起こる高血圧。腎臓の動脈が狭窄している、内分泌ホルモンの異常(原発性アルドステロン症、褐色細胞腫)などが該当します。
この場合は、要因となる病気を治療することが、高血圧の治療として期待されます。
当クリニックでは原発性アルドステロン症の鑑別など、病態の評価を行った上で適切な治療をご提案します。

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高血圧症の種類

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高血圧の治療

高血圧の治療には、「生活習慣の改善」と「降圧薬の使用」があります。まずは生活習慣の改善が重要。これによって血圧だけでなく、糖尿病や脂質異常症や高尿酸生活習慣病などの合併症を予防できます。
生活習慣の改善ポイント
塩分制限
塩分には血圧を上昇させる作用があります。高血圧症の場合、1日の塩分摂取量を6 g未満に抑えることが目標です。
バランスの取れた食事
飽和脂肪酸やコレステロールを多く含む肉類は控え、不飽和脂肪酸が豊富な植物性油や魚を積極的に摂りましょう。
禁煙
喫煙は血圧や脈拍を上昇させ、動脈硬化を進行させます。できれば、今日から禁煙を。
適切な有酸素運動
運動によって体重が減少すると、血圧や血糖値、コレステロールが下がります。
ストレスの回避
仕事や人間関係のストレスも血圧に影響を与えます。過労や緊張などは、なるべく取り除きたいもの。規則正しい生活を送り、睡眠をしっかり取りましょう。
適切な飲酒
過度な飲酒は高血圧を引き起こし、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めます。適度な飲酒は循環器疾患の予防につながることもあります(日本酒では11合程度)。
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スマート降圧療法

当クリニックでは「スマート降圧療法(スマートフォンを使った生活指導)」を実施しています。2022年に保険適用となった新しい治療法で、臨床試験では薬剤を使用せずに血圧を下げる効果が示されました。

薬剤治療を希望されない方や、薬剤の量を減らしたい方はお気軽にご相談ください。さらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

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脂質異常症とは

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脂質異常症とは、血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪が一定の基準よりも多い、または善玉コレステロールが基準よりも低い状態を指します。
血液中に余分な脂質が多くなると、動脈硬化を引き起こしやすくなり、心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高くなります。

血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)やトリグリセライド(中性脂肪)が一定の基準値よりも高い状態、またはHDLコレステロール(善玉コレステロール)が一定の基準値よりも低い状態のことを指します。下記のいずれかの数値を満たしている場合、脂質異常症と診断されます。
脂質異常症の診断基準
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脂質異常症の原因

脂質異常症を引き起こす危険因子の多くは「生活習慣」。
特に食事と運動習慣が大きな影響を与えています。バターや生クリームのような動物性脂肪や揚げ物などのコレステロールが多い食事、脂質や糖分が多い食事は、脂質異常症に大きく関係してくるでしょう。

また、肝臓病、糖尿病、甲状腺機能低下症といった病気が、脂質異常症の原因となることも。中でも、家族性高コレステロール血症(ヘテロ型)は日本では高頻度に見られ、心筋梗塞などの冠動脈疾患の発症リスクが非常に高いとされています。
糖尿病や心血管疾患の既往のある方は、脂質の血液検査の結果が正常範囲でも治療介入が必要な場合もあります。

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脂質異常症は自覚症状がなく、健康診断で初めて気づくことが多いもの。そのため、治療に前向きになれないこともあるでしょう。しかし、脂質異常症は高血圧症や喫煙と並び、動脈硬化を基盤とした心血管疾患(心筋梗塞や脳梗塞など)の重要なリスク因子。生活習慣病との総合的な治療でこのリスクを軽減できます。
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なぜ治療の必要がある?

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脂質異常症の治療

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LDLコレステロールなどの脂質検査項目で異常が見られる場合、まずは生活習慣の見直しが重要です。
食事では中性脂肪やコレステロールが多いものを減らし、適度な運動を取り入れましょう。生活習慣改善が効果的でない場合は、薬物治療が必要となります。健康診断で脂質の異常が指摘されたら、早めの受診をおすすめします。

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高尿酸結晶(痛風) とは

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高尿酸血症とは、尿酸という物質が関節の中で結晶になることで、関節に強い痛みを引き起こす病気です。「痛風」としてもよく知られています。血中の尿酸値が7.0 mg/dLを超えた状態ですが、自覚症状が少なく、健康診断ではじめて発見されることも少なくありません。
日本人の男性20%、女性5%程の割合で存在すると報告されており、男性に多いのも特徴。遺伝的要因や食習慣の乱れ、過度な飲酒、運動不足などが原因となります、

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高尿酸血症(痛風)の症状

よく知られているのが「痛風発作」と呼ばれるもの。尿酸値が上昇すると尿酸という物質が結晶化し、足の親指の付け根や関節に蓄積。炎症を引き起こして激しい痛みを引き起こします。
高尿酸血症は無症状である場合も多いですが、腎臓障害や心血管疾患のリスクを減らすためにも、治療による尿酸値の管理は必要です。

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高尿酸血症の予防と治療には、まず「生活習慣の改善」が不可欠です。
尿酸値が高い状態が続くと、痛風発作を繰り返す原因となります。尿酸を増やさないためには、尿酸の元となるプリン体が多く含まれる食品(肉や魚の内臓など)やアルコールは控えましょう。ウイスキーや焼酎でも、尿酸値を上げる可能性があるためご注意を。

また、有酸素運動が有効であり、ウォーキングや軽いランニングなどが尿酸値のコントロールに役立ちます。逆に、無酸素運動や激しい運動は尿酸値を高める可能性があるため、注意が必要です。生活習慣改善だけでは改善が見られない場合は、内服薬を使用する必要があります。
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高尿酸血症(痛風)の予防・治療

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栄養相談を実施しています

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生活習慣病の治療や予防に、食事への配慮は欠かせません。バランスの取れた食事や塩分や糖質のとり方など、自分ですべてマスターして対応するのは難しいものです。
そんなときは、ぜひ管理栄養士にご相談を。患者さんの症状やライフスタイルに合わせて、最適な方法を提案してくれます。

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