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知られざる高血圧の原因:原発性アルドステロン症を徹底解説!!

札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニックです。今回は二次性高血圧(なにかしらの疾患によって高血圧となること)の中でも圧倒的に割合が多い原発性アルドステロン症について内分泌内科医の目線からなるべくわかりやすく解説してみようと思います。このブログを読んで原発性アルドステロン症がどんな病気かの理解が深まれば幸いです。

始めに

原発性アルドステロン症は、副腎からアルドステロンというホルモンが過剰に分泌されることで引き起こされる病気です。この病気は高血圧の原因となり、適切な治療が行われない場合、重篤な合併症を引き起こす可能性があります。今回は、原発性アルドステロン症の原因、症状、診断、治療について詳しく解説します。blood-pressure-high-risk-hypertension

原因とメカニズム

原発性アルドステロン症の原因は主に二つに分類されます:

  1. 副腎腺腫:副腎にできた良性の腫瘍がアルドステロンを過剰に分泌する状態です。
  2. 副腎過形成:副腎の細胞が過剰に増殖し、アルドステロンの分泌が増加する状態です。

アルドステロンは体内のナトリウムとカリウムのバランスを調整し、血圧を維持する重要なホルモンです。通常、アルドステロンの分泌は腎臓から分泌されるレニンというホルモンによって制御されています。しかし、原発性アルドステロン症では、レニンの制御を受けずにアルドステロンが過剰に分泌されるため、高血圧や低カリウム血症が引き起こされます。

症状

原発性アルドステロン症の主な症状には以下のようなものがあります:

  • 高血圧:アルドステロンの過剰分泌によりナトリウムが体内に保持されることで血圧が上昇します。特に、治療抵抗性の高血圧や若年での高血圧が特徴です。
  • 低カリウム血症:カリウムが過剰に排泄されるため、血液中のカリウム濃度が低下します。これにより、筋力低下、倦怠感、脱力感、さらには筋肉の痙攣や不整脈が生じることがあります。
  • 頭痛:高血圧に伴う頭痛がよく見られます。
  • 多尿・多飲:低カリウム血症により腎機能が影響を受け、多尿や多飲が生じることがあります。

診断

原発性アルドステロン症の診断は複数のステップを経て行われます。まず、高血圧と低カリウム血症の存在が疑われる場合、血液検査でアルドステロンとレニンの濃度を測定します。この時、アルドステロン/レニン比(ARR)が高値を示す場合、原発性アルドステロン症の可能性が高まります。

次に、確定診断のために以下の検査が行われます:

  1. 負荷試験:カプトプリル負荷試験や生理食塩水負荷試験を行い、アルドステロンの過剰分泌を評価します。
  2. CT検査:副腎の腫瘍や過形成の有無を確認するためにCTスキャンを実施します。
  3. 副腎静脈サンプリング:左右の副腎から直接血液を採取し、アルドステロンの分泌量を測定します。これにより、片側の腫瘍によるものか、両側の過形成によるものかを判断します。

治療

原発性アルドステロン症の治療には、以下の三つの方法があります:

  1. 薬物療法:アルドステロンの作用を弱める薬(例:スピロノラクトン、エプレレノン)を使用します。これにより、血圧の管理とカリウム濃度の改善を図ります。
  2. 手術:副腎腺腫が原因の場合、腫瘍を外科的に切除します。手術により、血圧の正常化や症状の改善が期待できます。

治療の効果

原発性アルドステロン症は適切に治療されれば、血圧の正常化やカリウム濃度の改善が期待できます。しかし、治療が行われない場合、高血圧が持続し、脳卒中や心不全、腎不全などの重篤な合併症のリスクが増加します。

特に手術が成功した場合、患者の約半数で高血圧の完全な治癒が見られます。また、薬物療法による管理が可能な場合も多く、治療を続けることで合併症のリスクを大幅に減少させることができます。

当院では原発性アルドステロン症のスクリーニング検査を行っており、原発性アルドステロン症が疑われる場合、大学病院を含めた提携病院にご紹介させていただいております。なかなか治らない高血圧のある患者様はぜひ当院を受診してみてください。

今回はこの辺で。また次のブログでお会いしましょう。

札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニック

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