札幌駅近く大通駅近くの小野百合内科クリニックです。「チーズってカロリーが高いし、太りそう……」「糖質制限には向いていると聞くけど、糖尿病の私が食べても大丈夫なの?」など、健康志向の方はチーズに対して複雑なイメージをお持ちかもしれません。そこで今回は、チーズの糖質や脂質、栄養価、そして糖尿病とのかかわりについて、管理栄養士と糖尿病内科医の視点も踏まえながら詳しくご紹介します。このブログを読んで、チーズの栄養価について詳しくなれたら幸いです。
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チーズの糖質は意外と少ない?
まずは、チーズの糖質について確認しましょう。パンやお米など炭水化物が中心の食品と比べると、チーズには糖質が驚くほど少ないのが特徴です。代表的なチーズ100gあたりの炭水化物(ほぼ糖質)量を見てみると……
- プロセスチーズ:1.3g
- パルメザンチーズ:1.9g
- クリームチーズ:2.3g
- モッツァレラチーズ:4.2g
- マスカルポーネ:4.3g
これらの数字を見ると、同じ100gでもごはん(約33~35gの糖質)に比べてずいぶん低いことが分かります。スライスチーズ1枚(16~18g前後)に含まれる糖質は0.0~0.5gと非常に低め。したがって、糖質制限中の方には重宝される食材です。
しかし、チーズは「糖質が低いから安心!」といって大量に食べると、後述するようにカロリーや塩分過多になる恐れもあります。糖質量が控えめな一方、脂質と塩分が高い場合があるので、「量を決めておいしく食べる」のがポイントです。
チーズの魅力的な栄養素たち
2-1.ビタミンやミネラル、たんぱく質がぎっしり
チーズは牛乳やヤギ・羊などの乳をもとに作られるため、ビタミンA・B群・E・Kなど多彩なビタミン類やミネラル、さらには良質なたんぱく質がギュッと凝縮されています。
- ビタミンB12:貧血予防や神経細胞の維持に寄与。植物性食品にはほぼ含まれないため、動物性食品のチーズは貴重な供給源。
- カルシウム:骨や歯の健康維持には欠かせない栄養素。チーズには牛乳と同等かそれ以上のカルシウムが含まれる種類も多い。
- 乳たんぱく質:体内での吸収率が高く、筋肉維持に役立つほか、乳たんぱくの分解によって生まれるペプチドの一部には、高血圧予防やアレルギー抑制、アルツハイマー予防などの可能性も研究されています。
注目される脂質の質
チーズの脂質は確かに高めでカロリーもそれなりにありますが、乳脂肪には**体内でエネルギーに変わりやすく、蓄積しにくい「短鎖脂肪酸」「中鎖脂肪酸」**が含まれている点が注目されています。
さらに研究では、バターと比べてチーズの脂肪は血中コレステロールや中性脂肪を下げる、あるいは増やしにくいという結果が出ているものも。必ずしも「チーズの脂肪は太る・悪い」というわけではなく、“質”と“適量”を意識するとメリットも得やすいと言えます。
糖尿病とのかかわり:血糖コントロールへのメリットはある?
3-1.糖尿病の方がチーズを食べると血糖値はどうなる?
糖尿病は、血糖値のコントロールが難しくなる病気です。血糖値の急上昇を抑えるためには、食事から摂る糖質をうまくコントロールする必要があります。
チーズは糖質が少ないため、血糖値の急激な上昇を引き起こしにくいのが大きなメリット。また、脂質とたんぱく質も多いため、消化吸収に時間がかかり、ごはんやパンだけを食べるよりは血糖値の乱高下が穏やかになりやすいのです。
3-2.乳製品をとる習慣は糖尿病リスクを下げる可能性も
いくつかの観察研究では、牛乳やチーズなど乳製品の摂取量が多い人は、2型糖尿病のリスクが低いという報告があります。乳製品に含まれるカルシウムやビタミンD、良質なたんぱく質が糖代謝に好影響を与えている可能性が指摘されています。
もちろんこれだけで万全とは言えませんが、普段の食事で適度に乳製品を取り入れることは、糖尿病予防や血糖コントロールにとってプラスに働きやすいと考えられます。
3-3.食べすぎは肥満や塩分過多のリスクあり
ただし、チーズも「食べ過ぎは禁物」。脂質やカロリーが高いので、摂取エネルギーが過剰になれば体重増加や脂質代謝の乱れを招きかねません。
また、チーズは塩分が高めのものが多く、高血圧や動脈硬化のリスクがある糖尿病の方は塩分過多にも要注意です。適切な摂取量(1日20~50gが目安)を守りつつ、ほかの食事で野菜や食物繊維もバランスよく摂って血圧管理を意識しましょう。
実際にどれくらい食べたらいいの?
4-1.1日20~50gが目安
一般的なスライスチーズ(1枚16~18g)なら1~2枚、ベビーチーズ1個(15g程度)なら1~3個程度が1日の目安です。
塩分、カロリー、乳糖などの点を考えると、まずは1日20~50gほどを意識してみましょう。もちろん年齢や体格、活動量、糖尿病の管理状況などによって変わってきますので、医師や管理栄養士から指導がある場合はそちらを優先してください。
4-2.塩分や脂質が控えめのチーズを選ぶコツ
- カッテージチーズやモッツァレラチーズ、リコッタチーズなど“フレッシュチーズ”は塩分がやや控えめで、比較的あっさり。
- “青カビチーズ”や“パルメザンチーズ”などは旨みが強く、少量でも満足感は得られますが塩分が高めなので食べ過ぎには要注意。
- “プロセスチーズ”はスーパーなどで手に取りやすい反面、やはり塩分含有量は商品によってさまざま。ラベルの栄養成分表示をチェックしてみましょう。
チーズを活かす食べ方・レシピアイデア
- サラダに少量トッピング
レタスやトマト、きゅうりなど野菜たっぷりのサラダに、角切りにしたチーズ(モッツァレラ、プロセス、カマンベールなど)をプラス。塩分はチーズ任せで、ドレッシングは控えめにすると余計な塩分をカットできます。 - 朝食のごはん(orパン)を半量にしてチーズを追加
主食を少し減らして、その分チーズや卵、野菜などを摂ると血糖値の急上昇を抑えながら、腹持ち良く朝食をとれます。特に糖尿病の方は、主食に偏った食事よりもたんぱく質を適度に摂る食事の方が血糖管理に有効です。 - おやつ代わりにベビーチーズ
小腹が空いたらチョコやスナック菓子ではなく、ベビーチーズやさけるチーズを1個食べるだけでも、糖質を抑えつつたんぱく質が補給できます。甘いものをドカ食いしてしまうよりも断然おすすめ。ただし1~2個まで。 - カロリーや糖質が気になるときはヨーグルトで代用
クリームチーズを使うレシピ(チーズケーキやディップなど)では、水切りヨーグルトを代わりにするとカロリー・脂質・塩分を抑えられます。もったりとした口当たりが似ているので、満足度も意外と高いですよ。
糖尿病の方がチーズを食べる際の注意点
- 食べすぎに注意
「低糖質=いくらでも食べてOK」ではありません。チーズは高カロリー・高脂質・高塩分の可能性があるため、1日に食べる量をしっかり決めておきましょう。 - 乳糖不耐症の方は体調に合わせて
チーズは牛乳より乳糖が少ないとはいえ、体質によっては多量摂取で下痢や腹痛を起こすこともあります。少量から試してみて問題なければ徐々に増やすなど、様子をみましょう。 - 血圧やコレステロール値、体重管理も意識
糖尿病を持つ方の多くは、高血圧や脂質異常症など合併症リスクが高いことも。塩分やカロリーを控える必要があれば、塩分低めのチーズや軽めの種類を選んだり、頻度を落としたりしましょう。
まとめ
チーズは太りそうなイメージが強い食品ですが、
- 糖質が少なく血糖値の急激な上昇を抑えやすい
- 良質なたんぱく質やカルシウム、ビタミン類が豊富
- 脂質にもエネルギーに変わりやすいものが含まれる
といったメリットも盛りだくさんです。糖尿病の方でも、カロリーや塩分を意識しながら「適度に」食べる分には、血糖管理や栄養バランスの面でプラスになる可能性があります。
一方で、食べ過ぎるとカロリー・脂質・塩分過多になりやすいため注意が必要。1日あたり20~50gほどを目安に、他のおかずや野菜と組み合わせて取り入れてみましょう。適量であれば、糖質制限の強い味方にもなります。
「チーズは大好きだけど、糖尿病だから……」と我慢している方は、ぜひ今回ご紹介した情報を参考に、自分の体調や栄養バランスと相談しながら取り入れてみてください。味も栄養も楽しみながら、健康的な食生活を目指しましょう!
最後にチーズを使ったヘルシーな低糖質レシピをご紹介しようと思います。
1. アボカドとモッツァレラのカプレーゼ風
糖質:約2.5g/1人分
材料(2人分)
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アボカド…1個
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モッツァレラチーズ(チェリータイプ)…6個
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ミニトマト…6個
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オリーブオイル…大さじ1
-
レモン汁…少々
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塩・黒胡椒…適量
-
バジルの葉…お好みで
作り方
-
アボカドは一口大にカット。トマトとモッツァレラも同様に。
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全ての材料をボウルに入れ、オリーブオイル・レモン汁・塩胡椒で和える。
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バジルを添えて完成!
おから入りチーズオムレツ
糖質:約3g/1人分
材料(1人分)
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卵…2個
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おからパウダー…大さじ1
-
牛乳(無糖)…大さじ1
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ピザ用チーズ…30g
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塩・胡椒…少々
-
バター…小さじ1
作り方
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ボウルに卵・おからパウダー・牛乳・塩胡椒を入れてよく混ぜる。
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フライパンにバターを溶かし、卵液を流し込む。
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チーズを中央にのせ、包むように焼く。
チーズのせナスのグリル
糖質:約4g/1人分
材料(2人分)
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ナス…1本
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ピザ用チーズ…50g
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オリーブオイル…大さじ1
-
塩…少々
-
黒胡椒…少々
-
お好みでパセリやオレガノ
作り方
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ナスを輪切りにし、オリーブオイルで軽く焼く。
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チーズをのせてトースターで3〜5分焼く。
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塩・胡椒で味を調える。
鶏むね肉のチーズピカタ
糖質:約3.5g/1人分
材料(2人分)
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鶏むね肉…1枚(250g程度)
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卵…1個
-
粉チーズ…大さじ2
-
塩・胡椒…適量
-
オリーブオイル…大さじ1
作り方
-
鶏肉はそぎ切りにし、塩・胡椒で下味をつける。
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卵を溶き、粉チーズを混ぜる。
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鶏肉をくぐらせてオリーブオイルで焼く。
チーズとブロッコリーの温サラダ
糖質:約2g/1人分
材料(2人分)
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ブロッコリー…1/2株
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カッテージチーズ…50g
-
オリーブオイル…大さじ1
-
レモン汁…少々
-
塩・黒胡椒…適量
作り方
-
ブロッコリーは小房に分け、さっと茹でるかレンチンで加熱。
-
カッテージチーズ、オリーブオイル、レモン汁で和える。
いかがだったでしょうか。当院では糖尿病外来や専門の管理栄養士による栄養指導、肥満外来なども行っております。ぜひご来院ください。
札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニック
院長 小野渉