札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニックです。先日、健康診断で血糖値の異常を指摘された患者様から「糖尿病なんて、甘いものを控えていれば命に関わることはないでしょう」というお話を伺いました。実は、こうした認識こそが最も危険な誤解かもしれません。多くの方が、糖尿病の怖さは失明や人工透析といった合併症にあると考えていますが、実はそれ以上に注意しなければならないのが、がんの発症リスクなのです。お忙しい世代の方々ほど、血糖値のわずかな上昇を「まだ大丈夫」と見過ごしがちですが、実際にはその背後で、がんの芽が育ちやすい環境が作られている可能性があります。今回は、日本人を対象とした大規模な研究データをもとに、糖尿病とがんの意外な関係性について、糖尿病内科の目線から詳しくお話しします。

目次
日本人のデータが示す糖尿病とがんの密接な関係
日本国内の8つの大規模な調査を統合して解析した研究によると、糖尿病を患っている方は、そうでない方に比べて何らかのがんを発症するリスクが約20%も高くなることが判明しています。これは欧米の研究結果だけではなく、私たちと同じ生活習慣を持つ日本人のデータとして示されている点が非常に重要です。糖尿病になると、血液中のインスリン濃度が高くなったり、慢性的な炎症が続いたりすることで、細胞の増殖が異常をきたしやすくなります。大通周辺で日々の食事や運動習慣が乱れがちな方は、単に血糖値を下げるだけでなく、将来のがんを防ぐという視点を持つことが大切です。
25万人以上の解析で見えてきたがん発生の真実
世界中で行われた膨大な研究をまとめたメタ解析では、対象となった人数が25万7000人という桁違いの規模に達しています。この大規模な調査においても、糖尿病患者のがん発生率は統計的に明らかに高いことが証明されました。特定の地域や少人数のグループに限った話ではなく、世界共通の健康リスクとして「高血糖状態」ががんを誘発することが浮き彫りになっています。劇的な上昇ではないにせよ、これほど多くの人数で一貫した結果が出ている事実は、糖尿病治療を放置することがいかに大きなリスクを背負うことになるかを物語っています。
特に注意すべき肝臓・膵臓・大腸がんのリスク
糖尿病との関連が特に強いとされているのが、肝臓、膵臓、そして大腸のがんです。日本人の研究データでも、肝臓がんのリスクは約1.97倍、膵臓がんは約1.85倍、大腸がんは約1.4倍に上昇することが報告されています。これらの臓器は代謝に深く関わっており、インスリン抵抗性や高血糖の影響を直接的に受けやすい性質を持っています。

膵臓がんと糖尿病の切っても切れない双方向性
糖尿病とがんの関係で最も見逃せないのが、膵臓がんとの特殊な繋がりです。糖尿病が原因でがんになるだけでなく、実は「急に糖尿病を発症したこと」や「安定していた血糖値が急激に悪化したこと」が、膵臓がんの初期サインである場合があります。膵臓はインスリンを作る臓器ですから、そこに腫瘍ができることで機能が低下し、血糖値が跳ね上がるのです。もし、生活習慣を変えていないのに急に血糖値が上がったという方は、単なる糖尿病の悪化として片付けず、精密な検査を検討する必要があります。
がんリスクを抑えるための血糖管理と生活習慣
糖尿病に伴うがんのリスクを下げるためには、まずインスリンの働きを正常に近づけることが欠かせません。具体的には、肥満を解消し、内臓脂肪を減らすことで体内での慢性的な炎症を鎮めることが求められます。適切な食事療法と運動療法、そして必要に応じたお薬による治療を継続することで、高血糖による細胞へのダメージを最小限に抑えることが可能です。健康診断の結果を持って近郊の医療機関へ足を運ぶという最初の一歩が、将来の大きな病気を防ぐための最大の分岐点となります。
患者様からよくあるQ&A
Q:血糖値が少し高いだけ(境界型)でも、がんのリスクは上がりますか?
A:はい、完全に糖尿病と診断される手前の段階でも、高血糖による酸化ストレスや炎症は始まっており、がんのリスクは徐々に高まっていくと考えられています。早めの対策が重要です。
Q:糖尿病の薬を飲むと、逆にがんのリスクが上がることはありませんか?
A:現在一般的に使われている多くの糖尿病治療薬は、がんのリスクを上げない、あるいはメトホルミンのように一部のがんリスクを下げる可能性が示唆されているものもあります。主治医と相談しながら正しく服用することが大切です。
Q:がん検診を受けていれば、糖尿病の治療は後回しでも大丈夫ですか?
A:いいえ。糖尿病という「がんになりやすい土壌」を放置したままでは、検診で見つかった後の治療経過にも悪影響を及ぼすことがあります。がん検診と糖尿病治療は、必ず並行して行うべき両輪の対策です。
まとめ
最新の研究により、糖尿病患者は日本人データで約20%、世界的な大規模解析でも有意にがんのリスクが高いことが明らかになっています。特に肝臓、膵臓、大腸がんとの関連が深く、糖尿病の発症自体ががんの予兆であるケースも存在します。血糖管理は、単に数値を下げるだけでなく、がんという命に関わる病気を防ぐための重要な予防医療です。健康診断の結果を過信せず、適切な治療と生活習慣の改善に取り組みましょう。
引用論文一覧
札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニック 院長 小野渉
当院では糖尿病外来、生活習慣病外来、糖尿病患者を対象とした肥満外来、管理栄養士による栄養指導を行っております。 札幌市、札幌駅近郊で糖尿病、生活習慣病、肥満にお悩みの方はぜひご来院ください。


