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糖尿病でも恵方巻きは食べてOK?血糖値を上げない「選び方」と「食べ順」を医師が解説

札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニックです。早いもので1月も終わりを迎え、節分の季節が近づいてきました。先日、糖尿病で定期通院されている患者様から、診察室でこんな相談を受けました。「先生、今年の節分も家族で恵方巻きを食べたいんですが、あんなに太いお寿司を一本丸ごと食べて、私の血糖値は大丈夫なんでしょうか? 縁起物だから残すのはバチが当たりそうだし、でも病気のことを考えると怖くて…」と。このように、季節の行事食と食事制限の板挟みになって悩まれる患者様は少なくありません。

結論から申し上げますと、糖尿病だからといって恵方巻きを食べてはいけないということはありません。量や食べ方を少し工夫するだけで、血糖値の急上昇を抑えながら、季節のイベントを楽しむことは十分に可能です。今回は、糖尿病患者様が安心して恵方巻きを楽しむための具体的なポイントを、医学的な視点から解説します。

酢飯と具材に潜む「見えない糖質」に注意が必要

恵方巻きの最大の特徴は、そのボリュームと味付けにあります。一般的な太巻き1本(約18〜20cm)に使われる酢飯の量は250g前後と言われており、これはお茶碗大盛り1杯分以上のご飯に相当します。さらに、酢飯にはお酢だけでなく大量の砂糖が使われているため、普通のご飯よりも糖質量が高くなります。また、定番の具材であるかんぴょう、椎茸煮、桜でんぶ、厚焼き玉子なども、甘辛く煮詰めたり砂糖を加えたりしているため、ここにも「見えない糖質」が多く含まれています。1本丸ごと食べると、知らず知らずのうちにカロリーと糖質を過剰摂取してしまうリスクがあることをまずは理解しましょう。

ハーフサイズを選び野菜ファーストで血糖値をコントロール

では、具体的にどうすれば良いのでしょうか。最も簡単で効果的な対策は「量を半分にする」ことです。最近ではスーパーやコンビニでもハーフサイズの恵方巻きが多く売られています。1本丸ごと食べるという風習にとらわれすぎず、ご自身の適量(いつものご飯の量と同じくらい)に合わせてサイズを選びましょう。そして、食べる順番も重要です。いきなり恵方巻きにかぶりつくのではなく、まずは野菜たっぷりの汁物やサラダ、和え物などの副菜から食べ始める「ベジファースト」を実践してください。食物繊維を先にお腹に入れることで、後から入ってくる糖質の吸収を緩やかにし、食後の急激な血糖値上昇を防ぐことができます。

減塩も意識して醤油は控えめにするか付けない選択を

糖尿病の患者様は、高血圧を合併していることも多いため、塩分管理も欠かせません。恵方巻きの酢飯や具材には、すでにしっかりとした味が付いています。そこにたっぷり醤油をつけてしまうと、塩分過多になり血圧上昇のリスクが高まります。素材そのものの味を楽しむつもりで、醤油は付けずにそのまま食べるか、付けるとしても小皿に少しだけ出して、ちょんと付ける程度に留めましょう。

変わり種の具材を選んで糖質オフを狙う

最近は伝統的な具材だけでなく、海鮮巻きやサラダ巻きなどバラエティ豊かな恵方巻きが登場しています。糖質制限の観点からは、甘く煮た具材が多い定番の太巻きよりも、刺身(マグロ、サーモン、エビなど)が中心の海鮮巻きや、レタスやツナ、カニカマなどが入ったサラダ巻きの方が、タンパク質が多く糖質が低くなる傾向があります。ただし、サラダ巻きのマヨネーズなどでカロリーが高くなる場合もあるので一長一短ですが、「甘い具材」を避けるという視点で選ぶのも一つの賢い方法です。

節分豆はヘルシーだが食べ過ぎると意外な高カロリー

節分といえば「豆まき」の大豆(福豆)も忘れてはいけません。大豆は植物性タンパク質や食物繊維が豊富で、血糖値を上げにくい優秀な食材ですが、カロリーは意外と高めです。炒り大豆100粒(約28g)で約120kcalあり、これはバナナ1本分以上のエネルギーになります。テレビを見ながらポリポリと無意識に食べていると、あっという間にカロリーオーバーになってしまいます。「年齢の数だけ食べる」という昔ながらのルールは、食べ過ぎを防ぐという意味でも理にかなっています。よく噛んで、適量を味わうようにしましょう。

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患者様からよくあるQ&A

Q. 恵方巻きを食べる時、ご飯を減らす以外にできる工夫はありますか?

A. ご自宅で作られる場合は、ご飯の代わりに刻んだカリフラワーやしらたきを混ぜて「かさまし」をするのがおすすめです。糖質を大幅にカットできます。また、海苔の代わりにご飯を使わず、薄焼き卵やレタスで具材を巻く「ご飯なし恵方巻き」にするのも一つの手です。

Q. どうしても1本丸かぶりしたいのですが、どうすればいいですか?

A. どうしても丸かぶりしたい場合は、極細の「細巻き」を数種類用意して食べるのはいかがでしょうか。これなら見た目は長いままでも、ご飯の量は太巻き1本よりずっと少なくて済みます。または、その日の朝食と昼食の糖質を少し減らして、1日のトータル量で調整するという方法もありますが、血糖値の変動が大きくなる可能性があるので注意が必要です。

Q. 糖尿病の薬を飲んでいますが、恵方巻きを食べる前に飲んだ方がいいですか?

A. 基本的には主治医の指示通りに服用してください。ただし、インスリン注射や速効型の薬を使用している場合、食事の量や時間がいつもと大きく変わると低血糖や高血糖の原因になります。お祭り気分で食事時間が不規則になりがちですが、できるだけいつもの食事時間に合わせて食べるようにしましょう。

まとめ

恵方巻きは「食べてはいけないもの」ではありません。ハーフサイズを選んだり、野菜から先に食べたり、具材を工夫したりすることで、糖尿病の方でも安心して楽しむことができます。大切なのは「1年に1回だから」と羽目を外しすぎず、いつもの食事療法の延長線上でイベントを楽しむ心の余裕を持つことです。無病息災を願う行事で体調を崩しては本末転倒です。賢く食べて、元気に春を迎えましょう。

札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニック 院長 小野渉

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