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糖尿病でもラーメンは食べていい?血糖値を上げない「食べ方」と「頻度」を医師が解説

札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニックです。冬の寒さが厳しい札幌では、温かいラーメンが恋しくなりますよね。先日、糖尿病の定期検診に来られた患者様から、こんなご相談を受けました。 「先生、実は昨日、誘惑に負けてラーメンを食べてしまったんです。もう何ヶ月も我慢していたんですけど、どうしても食べたくなって…。罪悪感でいっぱいです」 この患者様のように、「糖尿病になったらラーメンは一生禁止」と思い込み、食べたことに罪悪感を感じてしまう方は少なくありません。正直に言うと、私自身も当直明けにラーメンを食べて後悔したことがあります。しかし、結論から言えば、工夫次第で糖尿病の方でもラーメンを楽しむことは可能です。今回は、医学的な視点から「血糖値を上げすぎないラーメンの食べ方」について糖尿病内科医の目線から解説します。

なぜラーメンは「血糖値の敵」と言われるのか

ラーメンが糖尿病患者さんにとって要注意な食事とされるのには、明確な理由があります。まず、麺そのものが小麦粉(炭水化物)の塊であり、一般的な1人前の麺(約200g)にはだいたい60g前後、種類によってはもっと多いこともあり、これはご飯お茶碗1杯強に相当します。さらに、スープには大量の塩分と脂質が含まれており、特に「こってり系」のスープはカロリーも高くなりがちです。2025年の山形県の研究(Yamagata cohort study)でも、ラーメンの摂取頻度が高いと死亡リスクが上昇する可能性が示唆されています。また、韓国の研究では即席麺(インスタントラーメン)の摂取が2型糖尿病のリスクと関連することも報告されています。このように、無防備に食べ続けることは確かにリスクとなります。

血糖値スパイクを防ぐ「食べ順」と「トッピング」

しかし、食べ方を工夫すればリスクを減らすことができます。最も重要なのは、麺を食べる前に「食物繊維」と「タンパク質」を胃に入れることです。これを「ベジファースト・プロテインファースト」と呼びます。 具体的には、ラーメンを注文する際、トッピングで「もやし」や「ネギ」「わかめ」などの野菜・海藻類を追加し、まずはそれらから食べ始めます。次に「煮卵」や「脂身の少ないチャーシュー」を食べ、最後に麺を食べ始めます。こうすることで、糖質の吸収が緩やかになり、食後の急激な血糖値上昇(スパイク)を抑えることができます。いきなり麺をすするのは避けましょう。

「汁は残す」が鉄則。塩分と脂質をカットする

ラーメンのスープは美味しいですが、糖尿病合併症の一つである「高血圧」や「腎症」を悪化させる塩分が大量に含まれています。1杯のスープを飲み干すと、それだけで1日の塩分摂取目標量(約6g)を超えてしまうこともあります。 ラーメンを楽しむ際の絶対的なルールとして、「スープは残す(飲むのは最初の数口だけ)」を徹底してください。これにより、塩分だけでなく、スープに溶け出した動物性脂肪の摂取も大幅に減らすことができます。お店の人に申し訳ないと思う必要はありません。ご自身の健康を守るための賢い選択です。

自宅で楽しむなら「麺の置き換え」がおすすめ

外食だけでなく、自宅でラーメンを楽しむ場合はさらに工夫の幅が広がります。最近では「糖質オフ麺」や「こんにゃく麺」など、糖質を大幅にカットした製品がスーパーで手に入ります。 スープも市販の減塩タイプを選び、たっぷりのキャベツやもやし、豚肉を炒めて乗せれば、栄養バランスの整った「完全食」に近いラーメンを作ることができます。即席麺を食べる場合でも、野菜や卵を加えて栄養価を補うことが重要です。

患者様からよくあるQ&A

Q. ラーメンと一緒にご飯(ライス)を頼んでもいいですか?

A. 基本的にはNGです。「ラーメンライス」や「チャーハンセット」は、糖質に糖質を重ねる「ダブル炭水化物」となり、血糖値が跳ね上がります。どうしてもご飯が食べたい場合は、麺を半分以下に減らすなどの調整が必要です。

Q. どの味のラーメンなら血糖値が上がりにくいですか?

A. 味(醤油、味噌、塩)による糖質の差はそれほど大きくありませんが、強いて言えば「豚骨」や「背脂たっぷり」のこってり系は脂質が高く、カロリー過多になりやすいです。あっさりした醤油や塩を選び、野菜たっぷりの「タンメン」などが比較的おすすめです。

Q. 締めのラーメンがやめられません。どうしたらいいですか?

A. アルコールを飲むと一時的に低血糖になりやすく、脳が糖質を欲してラーメンを食べたくなります。しかし、飲酒後のラーメンは最悪の組み合わせです。どうしても何かが欲しい場合は、ハーフサイズの蕎麦や、温かい味噌汁などで代用し、ラーメンは「翌日のランチ」の楽しみに取っておきましょう。

まとめ

糖尿病だからといって、ラーメンを完全に諦める必要はありません。しかし、「頻度を減らす(週1回程度)」「野菜から食べる」「スープを残す」といったルールを守ることが不可欠です。罪悪感を感じながら食べるのではなく、工夫して美味しく食べることで、ストレスなく治療を続けていきましょう。どうしても我慢できない時は、診察時にご相談ください。

札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニック 院長 小野渉

当院では糖尿病外来、糖尿病患者を対象とした肥満外来、管理栄養士による栄養指導を行っております。ご興味のある方はぜひご来院ください。

引用・参考文献

  1. Frequent Ramen consumption and increased mortality risk in a Japanese population: The Yamagata cohort study. Public Health Nutr. 2025.

  2. Ultra-processed Food Intake and Risk of Type 2 Diabetes in Korean Adults. Nutrients. 2024.

  3. Associations of insulin resistance and pancreatic beta-cell function with instant noodle consumption. Zhonghua Yi Xue Za Zhi. 2002.

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