札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニックです。みなさんは血圧計で血圧を測った際に下の血圧が高かったことはないでしょうか。そもそも下の血圧は何なのか気になったことはありませんか。下の血圧の正式名称は「拡張期血圧」と言います。今回はそんな拡張期血圧について、内科医の立場から解説してみようと思います。この記事を読んで皆様の知識が深まれば幸いです。
はじめに:下の血圧とは?
日常的に血圧を測るとき、「上がいくつ、下がいくつ」という表現をよく使います。
- 上の血圧(収縮期血圧)… 心臓が収縮して血液を勢いよく送り出したときの圧力
- 下の血圧(拡張期血圧)… 心臓が拡張して血液を送り出していないときの圧力
血圧には、この“上”と“下”の数値それぞれが大切です。なかでも「下の血圧」に注目が集まるのは、動脈硬化の進行を早めたり、さまざまな病気のリスクを高めたりする要因になりやすいため。上の血圧が正常でも、下の血圧だけが高い場合は、高血圧とみなされることがあります。
下の血圧が高い状態って?
心臓が拡張している間も、血液は全身をめぐっています。下の血圧(拡張期血圧)が高い状態は、血液が細い血管を通り抜けにくい、もしくは血管の弾力が落ちているサインかもしれません。
- 診察室血圧:拡張期血圧が90mmHg以上
- 家庭血圧:拡張期血圧が85mmHg以上
上記のどちらかを満たすと、一般的に「高血圧」に分類されます。「上は正常だから大丈夫」と放置せずに、下の血圧もしっかりチェックしましょう。
なぜ下の血圧が高くなるのか?
末梢血管の硬さがカギ
下の血圧が高くなるいちばんの原因は、心臓から遠い手足などの末梢血管が硬くなる(動脈硬化)ことで血液がスムーズに通りにくくなっているからです。
- 若いうちは太い血管(大動脈など)の弾力は比較的保たれていますが、末梢の細い血管が硬くなると、血管内の圧力が下がりにくくなり、拡張期血圧だけが高くなる
- 加齢や生活習慣の乱れが進むと、太い血管も硬くなり始め、最終的に上下とも血圧が高くなるケースも多い
下の血圧が高くなりやすい人の特徴
- 若い世代で生活習慣が乱れている人
高齢者のイメージが強い高血圧ですが、若い人でも不健康な生活習慣を続けていると、気づかないうちに末梢血管が硬くなり、下の血圧のみが先に高くなることがあります。
- 更年期の女性
閉経にともない、血管を柔らかく保つエストロゲンが急激に減少することで、血管のしなやかさが落ちることがあります。また更年期は自律神経の乱れから血圧が不安定になりやすく、下の血圧が高く出やすい傾向があります。
- 二次性高血圧が隠れている場合も
若い世代で下の血圧のみ高いときは、腎臓やホルモンの疾患による「二次性高血圧」の可能性も。早期発見・治療が必要な場合もあるため、医療機関を受診しましょう。
下の血圧が高いと何が問題?
「下だけが高いのは、大したことない」と思いがちですが、拡張期血圧が高い状態でも動脈硬化は進行し、将来的に脳卒中や心臓病、腎臓病などを引き起こすリスクがあります。とくに動脈硬化は自覚症状がほとんどないまま進むため、対策が遅れると突然心筋梗塞や脳出血などを発症して重篤化するケースも少なくありません。
下の血圧が高いときの対策
(1) 生活習慣の見直しが第一!
- 減塩
- 1日6g未満を目指す
- 加工食品・外食の頻度を減らす、調味料の量を控える
- 適正体重の維持
- BMI25未満を目標に、肥満のある方は減量を
- 適度な有酸素運動
- ウォーキングやジョギング、水泳などを週に合計150分ほど
- 禁煙・節酒
- タバコは血管収縮を起こし、血圧上昇の大きな要因
- 過度なアルコールは避ける
- 十分な睡眠とストレス対策
- 自律神経を整え、血管への負荷をやわらげる
(2) 薬物療法も検討
生活習慣の改善を続けても下の血圧が高い場合は、医師と相談のうえ降圧薬を使用する場合があります。
- 末梢血管を広げるタイプの薬(カルシウム拮抗薬、α1遮断薬など)が処方されることがある
- 上の血圧があまり高くなくても、下の血圧を重点的に下げる必要がある場合は、必要最低限の量から始める
(3) 病院に行くタイミング
- 家庭血圧で5~7日ほど毎日測定して下の血圧が85mmHg以上が続く
- 体調不良(頭痛・動悸・めまい)が気になる
- 健康診断で「要受診」と言われた
上記に当てはまる方は放置せず、一度医療機関を受診しましょう。
まとめ:下の血圧もしっかりケアしよう
- 下の血圧(拡張期血圧)が90mmHg以上(診察室)/**85mmHg以上(家庭)**なら「高血圧」と診断される
- 下の血圧が高いと動脈硬化のリスクが上がり、心臓や血管へ負担が蓄積する
- 若い世代や更年期女性など、意外な年代でも下の血圧だけ上がるケースが増えている
- 減塩や禁煙、適度な運動・体重管理など生活習慣の改善が基本対策
- 気になる方や、症状がある方は早めに医療機関を受診しましょう
下の血圧は「なんとなく軽視されがち」ですが、実は高血圧リスクの重要なサインです。動脈硬化を防ぐためにも、生活習慣の見直しや定期的な血圧測定を習慣化してみてください。自分でできることから少しずつ始めながら、必要に応じて病院の医師に相談し、健康な血圧を目指していきましょう!
▼こんな方は要チェック!
- 若いのに「下だけ高い」と言われた
- 血圧の上は正常だけど下は90以上を繰り返す
- 更年期以降、血圧変動が気になる
気になることがあれば、早めに医療機関へ。 高血圧や動脈硬化の進行を抑えて、将来の大きな病気を未然に防ぎましょう。いかがだったでしょうか。当院では高血圧外来、肥満外来、管理栄養士による栄養指導を行っております。気になる方はぜひご相談ください。
今回はこの辺で、また次のブログでお会いしましょう。
札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニック
院長 小野渉。
▼参考・関連リンク(日本語)
- 日本高血圧学会:高血圧治療ガイドライン2019
- 厚生労働省 e-ヘルスネット