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夜遅く食事をすると太りやすく血糖値が高くなる??糖尿病患者の時間制限食について徹底解説!!

札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニックです。みなさんは夜遅くに食事をすると太りやすかったり血糖値が上がりやすいという話を聞いたことがあると思います。今回は夕食を早く終わらせるという時間制限食(Time-Restricted Eating: TRE)についての2024年度の論文を糖尿病内科医の目線から解説してみようと思います。ぜひご一読ください。

始めに

2型糖尿病の管理において、食事の質やエネルギー摂取量を調整することが基本とされていますが、新しい方法として時間制限食(Time-Restricted Eating: TRE)が注目されています。TREは、食事を摂取する時間を制限するだけで、エネルギー摂取量を減少させたり血糖コントロールを改善できる可能性があるシンプルなアプローチです。本記事では、TREと個別栄養指導を比較した最新の研究をもとに、その効果や実用性を詳しく解説します。

研究概要と結果

この研究では、TREが2型糖尿病患者の血糖値に与える影響を検証しました。参加者は35歳から65歳で、BMIが25以上40以下、HbA1c値が6.5%以上10%以下の2型糖尿病患者51名を対象としています。参加者は無作為にTREグループと個別栄養指導グループ(DIET)に分けられ、6か月間それぞれの方法を実践しました。

TREグループでは、食事時間を午前10時から午後7時に制限し、特定の食事内容に関する指導は行わず、時間を守ることに焦点を当てました。一方、DIETグループでは、資格を持つ栄養士による4回の個別指導を受け、食事の質や量の改善を図りました。その結果、以下の点が明らかになりました。

  • HbA1c値の改善: TREグループは-0.4%(-5 mmol/mol)、DIETグループは-0.3%(-4 mmol/mol)と、両グループで統計的に有意な改善が見られました。
  • 体重減少: TREグループは-1.7kg、DIETグループは-1.2kgと、どちらの方法でも体重が減少しました。
  • 自己申告の遵守度: TREグループの方がDIETグループよりも高い遵守度を示し、特に最初の2か月間で顕著でした。
  • 食事の質: TREグループでは炭水化物と糖類の摂取が減少し、DIETグループでは飽和脂肪酸の摂取が減少しました。

 

時間制限食の意義と実践への応用

TREは、特定の食事内容ではなく食事の時間に焦点を当てるシンプルな方法であり、多くの患者にとって取り組みやすいと考えられます。この研究では、栄養士による個別指導と同程度の効果が確認されており、特に栄養士へのアクセスが限られている場合に有効な代替手段として期待されています。実生活でTREを取り入れる際には、以下の点に注意するとよいでしょう。

  • 食事時間の設定: 1日の食事時間を10:00-19:00の間に収めることで、夜間の間食を防ぎやすくなります。
  • 柔軟性の確保: 外食やイベントがある場合にも無理のない範囲で実践することが大切です。
  • 持続可能性: 長期間の実践を目指し、自分に合った方法で取り組むことが重要です。

結論

今回の研究により、TREは2型糖尿病患者の血糖コントロールを改善する現実的なアプローチであることが示されました。しかし逆にいうと、栄養指導を受けて適切な食事制限をすれば食べる時間は関係ないとも言えます。今後の課題としては、TREと個別栄養指導を組み合わせたアプローチがどのような相乗効果をもたらすかを検証することが挙げられます。当院では時間制限食だけでなく管理栄養士による栄養指導も行っております。ご興味のある方はぜひご来院ください

今回はこの辺で

札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニック

院長:小野渉

参考文献:2024 Nov:217:111893.doi: 10.1016/j.diabres.2024.111893. Epub 2024 Oct 15.

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