札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニックです。冬の寒さが厳しくなると、「今まで元気だったのに、家の中で事故に…」という話を耳にすることがありませんか?これは「ヒートショック」と呼ばれる緊急性の高い症状が原因である場合があります。この記事では、高齢者から若い人にまで起こりうるヒートショックの原因や危険性について解説し、予防策をわかりやすく紹介します。
ヒートショックとは?
ヒートショックとは、急激な温度変化により血圧が大きく変動し、健康被害を引き起こす現象を指します。特に、温かい部屋から寒い脱衣所や浴室に移動した際に起こりやすく、以下のような症状が現れることがあります。
- めまい
- 立ちくらみ
- 失神
- 心筋梗塞
- 脳出血や脳梗塞
これらの症状は命に関わる可能性があり、家庭内での溺水事故に繋がるケースも少なくありません。日本では、毎年多くの人が冬場の入浴中に命を落としており、その背景にはヒートショックが潜んでいることが指摘されています。
体が寒暖差に対応しきれなくなると、血圧が急激に上下することで心臓や脳に大きな負担をかけます。この現象は、高齢者や基礎疾患を抱える人に特にリスクが高いとされていますが、若年層でも体調や状況次第で発生することがあります。
ヒートショックが起こりやすい状況
ヒートショックが発生しやすい主な場面を以下にまとめました。
- 浴室や脱衣所 暖房が行き届いていない場所で衣服を脱ぐことで体が急激に冷え、血圧が上昇します。その後、熱い湯船に浸かることで血圧が急低下するため、特に危険です。
- 冬の寒い図書館や暖房の効いていない映画館 長時間同じ姿勢でいることや、温度差が激しい環境では、血圧が不安定になりやすく注意が必要です。
- 寒さを感じる交通機関や施設内 暖かい場所から寒い外気に触れる際の急激な温度変化もリスクを高めます。
また、トイレもヒートショックが発生しやすい場所の一つです。特に排泄時に力むことで血圧が変動しやすくなるため、高齢者や持病のある方は特に注意が必要です。
ヒートショックを防ぐための具体的な対策
ヒートショックを予防するための実践的なステップを紹介します。
- 脱衣所と浴室を暖める 入浴前に脱衣所や浴室を暖めておくことが重要です。暖房器具を活用し、部屋全体の温度差を減らす工夫をしましょう。また、浴室内に暖房設備がない場合は、シャワーを使って浴室全体を暖める方法も効果的です。浴室のリフォームを検討する際には断熱性能を高めることも有効です。
- 適切な湯温を保つ お湯の温度は41℃以下に設定し、湯船に浸かる時間を10分以内に抑えましょう。長時間の入浴や熱い湯は血圧の変動を招きやすいため、控えることをお勧めします。また、体調がすぐれない時は入浴を控えることも選択肢の一つです。
- 家族に声をかける 入浴時には家族に一声かけておき、見守りをお願いすることも安心材料となります。一人での入浴を避けることが理想的です。家族と入浴時間を共有し、定期的に声を掛け合う習慣を作ると良いでしょう。
- 適切な時間帯に入浴する 日中の気温が比較的高い午後2時から4時頃に入浴するのが理想です。寒暖差が少ない時間帯を選ぶことでリスクを軽減できます。特に夕方以降は冷え込みが強まるため、早めの入浴を心掛けましょう。
- 飲酒や食後の入浴を避ける 飲酒後や食後すぐの入浴は、血圧の急激な変動を引き起こす可能性が高まるため、控えるようにしましょう。お酒を楽しむ場合は入浴後にするなど、時間を工夫することでリスクを減らせます。
- こまめな水分補給を心掛ける 入浴中やその前後に水分を補給することで、血液の循環を安定させることができます。特に高齢者は喉の渇きを感じにくいため、意識的に水分を摂取することが大切です。
- 防寒対策を強化する 部屋間の温度差をなくすために、断熱性能を高めたり、暖房を適切に活用したりすることが効果的です。また、湯上がり後に体が冷えないよう、速やかに服を着る準備を整えておくことも重要です。
ヒートショックを予防して安全な冬を過ごしましょう
ヒートショックは、生活環境や習慣を改善することで予防可能な現象です。日々の工夫と注意でリスクを減らし、ご自身やご家族の健康を守りましょう。冬場の事故を未然に防ぐために、適切な予防策を取り入れて、安全で快適な季節をお過ごしください。
今回はこの辺で。また次のブログでお会いしましょう
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院長 小野渉