札幌駅、大通駅近くの小野百合内科クリニックの小野渉です。ブログの2回めのテーマとして高血圧をあげてみようと思います。高血圧は非常によくある疾患なのですが、同時に非常に奥深い疾患でもあります。今回は高血圧について一緒に勉強していきましょう。このブログを読んで高血圧に対する理解を深めていただければ幸いです。
高血圧とは
高血圧とは、安静時でも血圧が高い状態が続くことです。
最高血圧(収縮期血圧)が140mmHg以上、最低血圧(拡張期血圧)が90mmHg以上のときに高血圧と診断されます。
長く高血圧が続くと、血管の壁が厚く・硬くなり、いわゆる動脈硬化となります。
動脈硬化になると、その分血液を送り出すための圧力が必要となりますので、さらに血圧が高くなりやすいです。
そもそも血圧ってなに?
血圧とは、血液が動脈を流れるときに血管の内側にかかる圧力のことです。
胸に手を当てると、心臓の動きを感じられるでしょう。
この動きは心臓が収縮・拡張している動きで、血液を全身へ送り、全身から戻しています。
心臓が収縮し、動脈へ血液を送り出したときの圧力が最高血圧(収縮期血圧)で、上の血圧ともいいます。
反対に、心臓が拡張し、血液が戻るときの圧力が最低血圧(拡張期血圧)で、下の血圧ともいいます。
高血圧の種類
高血圧には、本態性高血圧症と二次性高血圧症の2つの種類があります。
それぞれの血圧を詳しく説明します。
本態性高血圧症
本態性高血圧症は、高血圧の90%の方が当てはまり、生活習慣や遺伝的な要因が関係しています。
本態性高血圧症となりやすい生活習慣は以下のとおりです。
- 食塩の摂り過ぎ
- 偏った食生活
- 飲酒
- 運動不足
- 喫煙
- 肥満
- ストレス
日本人が高血圧となる理由は、主に食塩の摂り過ぎといわれています。
食塩(主にナトリウム)は、体の中に水分をため込む性質があり、伴って血液の量も増えます。
血液の量が増えるほど、心臓は強い力で血液を送り出そうとするため血圧が上がります。
食塩はおつまみに多く含まれていますので、頻繁にアルコールを飲んでいると、自然とナトリウムの摂取量も多くなります。
また、運動不足は体内にナトリウムをため込みやすい要因のひとつです。
なお、持続的な飲酒は、慢性的な高血圧を発症することが明らかになっています。
喫煙や肥満は動脈硬化の要因となりますので、伴って高血圧となりやすいです。
そして、高血圧の要因にはストレスもあります。
人はストレスを感じると、心拍数を上げて血管を収縮するため、血圧が高くなります。
一時的なストレスでしたら、自然に血圧が正常値に戻りますが、持続的なストレスを感じると慢性的に血圧が高い状態が続きます。
二次性高血圧症
二次性高血圧症とは、病気が要因で高血圧を引き起こす高血圧です。
要因となる病気には、原発性アルドステロン症や褐色細胞腫、睡眠時無呼吸症候群などがあります。
二次性高血圧症は、要因となる病気を治療することで高血圧の改善が期待できます。
高血圧をそのままにするとどうなる?
高血圧をそのままにすると動脈硬化が進み、脳梗塞や脳梗塞などの脳血管障害、狭心症や心筋梗塞などの心疾患、腎臓病の発症リスクが高くなります。
高血圧はいきなり発症するのでなく、徐々に血圧が高くなっていくものです。
そのため、体は血圧が高いことに慣れており、不調を感じにくく、治療の必要性を感じない方が多くいらっしゃいます。
しかし、高血圧を改善しないと、上記で述べたような疾患を発症するリスクが高まりますので、早くからの治療が必要です。
高血圧を改善するには
本態性高血圧症を改善するには、生活習慣の見直しが必要です。
生活習慣の見直しに加えて、血圧を下げる薬による治療が必要なケースがあります。
二次性高血圧症を改善するには、要因となる病気の治療をします。
まずは、どちらの高血圧か判別するために、医療機関への受診をしましょう。
ここでは、本態性高血圧症を改善するための、生活習慣の見直しを紹介します。
- 塩分を摂り過ぎない
- バランスのよい食事を摂る
- アルコールを飲み過ぎない
- 喫煙を控える
- 運動を取り入れる
高血圧の主な要因は塩分の摂り過ぎですので、塩分を控えることから始めましょう。
調味料でよく使うしょう油や味噌には塩分が多く含まれていますので、減塩タイプの調味料がおすすめです。
食事の味付けにお酢やスパイスを取り入れると、塩分を少なくしても味をしっかり感じられます。
また、塩分を控えるだけでなく、バランスのよい食事を摂ることも大切です。
偏った食生活によって野菜や果物(カリウムなどのミネラル)が不足すると、相対的にナトリウムが高くなります。
そして、アルコールを飲み過ぎないこと、喫煙を控えることでも、高血圧を改善することができます。
飲酒や喫煙を習慣としている方は、少しずつ減らしていきましょう。
運動を取り入れることで、余分なナトリウムが排泄しやすくなります。
加えて、血管もしなやかになりますので、動脈硬化の改善・予防にも繋がります。
1日に少しの時間でもよいので、歩く機会や室内でできる運動を取り入れていきましょう。
最後に当院の管理栄養士がスパイスを活用して塩分を控えた料理を考案しました。以下のレシピをお試しください。
ターメリックとクミンのスパイスチキン
材料:
- 鶏胸肉: 2枚
- ターメリックパウダー: 小さじ1
- クミンパウダー: 小さじ1
- コリアンダーパウダー: 小さじ1
- パプリカパウダー: 小さじ1
- にんにく(すりおろし): 2片
- 生姜(すりおろし): 1片
- レモン汁: 大さじ1
- オリーブオイル: 大さじ2
- ブラックペッパー: 少々
- フレッシュパセリ(みじん切り): 適量
作り方:
- 鶏胸肉を一口大にカットします。
- ボウルにターメリック、クミン、コリアンダー、パプリカ、にんにく、生姜、レモン汁、オリーブオイル、ブラックペッパーを入れ、混ぜ合わせます。
- カットした鶏胸肉をボウルに入れ、スパイスミックスとよく和えます。少なくとも30分間、冷蔵庫でマリネします。
- フライパンを中火で熱し、鶏肉を入れて全面がきつね色になるまで焼きます。
- 焼きあがったら、フレッシュパセリを散らして出来上がり。
レモンとハーブの玄米サラダ
材料:
- 玄米: 1カップ
- キュウリ(角切り): 1本
- トマト(角切り): 2個
- 赤玉ねぎ(みじん切り): 1/2個
- フレッシュミント(みじん切り): 大さじ2
- フレッシュバジル(みじん切り): 大さじ2
- レモン汁: 大さじ3
- オリーブオイル: 大さじ2
- ブラックペッパー: 少々
作り方:
- 玄米を炊き、冷ましておきます。
- 大きなボウルに冷ました玄米、キュウリ、トマト、赤玉ねぎ、ミント、バジルを入れます。
- 別の小さなボウルでレモン汁とオリーブオイルを混ぜ合わせ、ドレッシングを作ります。
- ドレッシングを大きなボウルに注ぎ、全体をよく和えます。
- ブラックペッパーで味を調え、冷蔵庫で30分ほど冷やしてからサーブします。
小野百合内科クリニック
小野渉