札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニックです。みなさんの中にも足の親指の付け根が痛い、腫れるなどの症状が出たことがある人がいるかもしれません。それは痛風発作の可能性が高いです。痛風発作はただ痛いだけではなく、繰り返すことで関節の破壊、腎障害、血管の障害といった重症になることもある危険な疾患です。今回はそんな痛風について原因、症状、治療法について糖尿病内科医の目線からまとめてみました。ぜひご一読ください。
痛風とは
痛風は、尿酸塩(モノソジウム尿酸)が体内に蓄積し、関節に影響を与える疾患です。この結果として、関節炎のような痛みや腫れが発生します。適切に治療されない場合、痛風発作は数日から数週間続き、患者さんの日常生活に大きな影響を与えることがあります。特に足の親指の関節が影響を受けることが多いですが、その他の関節にも症状が現れることがあります。進行すると、関節の変形や尿酸塩の結節(痛風結節)ができることもあります。
痛風の原因とリスク要因
痛風の主な原因は尿酸値が高くなること(高尿酸血症)です。尿酸濃度が6.8 mg/dLを超えると尿酸塩が結晶化しやすくなります。ただし、すべての高尿酸血症の人が痛風になるわけではありません。
遺伝的な要因が関与している場合も多く、さらに以下のリスク要因が影響します:
- 男性であることや高齢
- 肥満や腎臓の機能低下
- 高プリン食品(肉類、魚介類など)の過剰摂取
- アルコール摂取(特にビール)
- 利尿薬など一部の薬の使用
診断のポイント
痛風の診断には、症状や病歴の確認が重要です。特に発作中の痛みや腫れ、赤みが特徴的です。確実な診断のためには以下が行われます:
- 関節液の検査で尿酸塩結晶を確認
- 超音波やCTスキャンによる非侵襲的な評価
血清尿酸値の測定も行われますが、発作中は一時的に低下することがあるため、繰り返し測定することが大切です。
治療方法
治療の目的は、発作の痛みを和らげ、再発を予防することです。
急性の痛風発作には以下が使われます:
- コルヒチン(炎症を抑える薬)
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
- グルココルチコイド(飲み薬や注射)
再発予防のためには、尿酸降下療法が必要です:
- アロプリノールが第一選択薬で、低用量から始めて徐々に増量し、尿酸値を6.0 mg/dL未満に保つことを目指します。
- 他の選択肢としてフェブキソスタットやプロベネシドも使用されることがあります。
治療の際には、抗炎症薬を併用しながら徐々に尿酸値を下げるのが安全です。
ライフスタイルと予防
生活習慣の改善も重要です。
- アルコールや高プリン食品を控える
- 適度な運動を心がける
- 水分を多く摂ることで尿酸の排出を促す
これらの工夫は、薬物療法と組み合わせることでさらに効果が期待されます。
患者さんへのサポート
痛風を効果的に管理するには、患者さんへの理解しやすい情報提供が欠かせません。
- 痛風の原因や治療法を丁寧に説明
- 治療を継続する重要性を強調
- 看護師や薬剤師によるサポートを活用
患者さんとの信頼関係を築き、継続的なフォローアップを行うことで治療の効果を最大化できます。
まとめ
痛風は正しい診断と治療でコントロールできる疾患です。一人ひとりの状態に合わせた治療法を選び、生活習慣の見直しを含む総合的なケアが大切です。患者さんとの協力を通じて、健康的な生活を目指しましょう。
今回はこの辺でまた次のブログでお会いしましょう
札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニック
院長 小野渉
参考文献:N Engl J Med 2022;387:1877-1887 DOI: 10.1056/NEJMcp2203385