札幌駅、大通駅近くの小野百合内科クリニックです。みなさんは境界型糖尿病という言葉をご存知でしょうか。知らない方も多いかもしれません。境界型糖尿病は糖尿病の前段階と言われ、健康診断の検査ではわからないことも多く、自覚症状も基本的にはありませんが初期から治療介入することで糖尿病への進行を抑制することができます。今回はそんな境界型糖尿病について糖尿病内科の目線からまとめてみました。この文章を読んで境界型糖尿病への理解を深めていただければ幸いです。
1 : 始めに
境界型糖尿病(糖尿病予備群)とは、糖尿病と診断されるほど血糖値が高くはないものの、正常範囲を超えている状態を指します。この状態は、以下のいずれかに該当する場合に診断されます。
- HbA1cが6.5%未満
- 空腹時血糖が110 mg/dl以上126 mg/dl未満
- 75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)2時間後の血糖値が140 mg/dl以上200 mg/dl未満
2 : 境界型糖尿病の主な症状
境界型糖尿病には自覚症状がほとんどありません。しかし、体内では血糖値を下げるホルモンであるインスリンの分泌が低下したり、インスリン抵抗性が高まったりする変化が進行しています。また、糖尿病特有の合併症である網膜症、神経障害、腎機能障害も少しずつ進行し始めます。これに加えて、高血圧や脂質異常症が併発しやすくなり、動脈硬化の進行が加速します。動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な疾患のリスクが高まります。
3 : 糖尿病予備群と診断された方へのアドバイス
糖尿病予備群と診断された場合、生活習慣を見直し、糖尿病への進行を防ぐための対策が必要です。以下の方法でリスクを減らすことができます。
- 運動習慣の確立
運動は血糖値を下げるために非常に効果的です。有酸素運動(ジョギング、水泳、エアロビクスなど)やレジスタンス運動(スクワット、腕立て伏せ、ダンベル体操など)を定期的に行うことで、インスリン抵抗性を改善し、血糖値のコントロールが向上します。毎日、または少なくとも週に3〜5回、体を動かすことを心がけましょう。
- 食生活の見直し
バランスの良い食事を心がけ、血糖値の急激な上昇を防ぐことが重要です。具体的には、以下のポイントに注意してください。
- ゆっくり食べる
- 食事は野菜から始める
- アルコールは適量にする
- 腹八分目で食べる
- 間食を控える
禁煙
喫煙は血糖値を上昇させるだけでなく、インスリンの働きを妨げます。喫煙者は非喫煙者に比べて糖尿病を発症するリスクが高くなるため、禁煙を強く推奨します。
4 : 糖尿病予備群にならないための予防法
生活習慣を見直すことで、糖尿病の発症リスクを大幅に減らすことができます。以下の予防策を実践しましょう。
- 食事は腹八分目でやめる
- 野菜を積極的に摂取する
- 散歩などの運動を少しずつでも始める
- 体重を5~10%減らす
- 禁煙する
- 健康状態の確認のために健診を受ける
- ストレスと上手につきあう
これらの取り組みは、糖尿病の予防だけでなく、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクを減らすことにもつながります。
5 : 境界型糖尿病の薬物療法
食事療法、運動療法を十分にしても効果がない場合α-GI(ベイスン)というお薬を使用することができます。このお薬は境界型糖尿病から糖尿病への進行を抑制することがわかっています。糖尿病境界型・予備軍(IGT)の方に対しては糖尿病と診断されていなくても保険適応があります。
まとめ
境界型糖尿病は自覚症状がないため、健康診断などで血糖値の異常を指摘された場合は放置せず、生活習慣を見直すことが重要です。運動、食生活の改善、禁煙などの対策を実践することで、糖尿病への移行を防ぎ、健康な生活を維持しましょう。疑いがある方や診断を受けた方は、早めに医師に相談し、適切な指導を受けることをおすすめします。
当院では自費診療となりますが早期から境界型糖尿病を発見する糖尿病ドックを行っております。ご興味のある方はぜひ当院までお越しください。
今回はこの辺で。
また次のブログでお会いしましょう。