札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニックです。今回は「糖尿病患者が食事の順番を変えて、炭水化物を最後に摂取するだけで血糖上昇が抑えられる可能性がある」という興味深い論文が発表されたので、ブログで取り上げてみようと思います。以前に紹介したベジファーストと同様であくまでも参考としていただくべき内容ですが、ぜひご一読いただければ幸いです。
はじめに
2型糖尿病の患者さんにとって、食後の血糖値の管理は大きな課題です。最近の研究で、食事の内容を変えることなく、食べる順番を工夫するだけで血糖値のコントロールが改善できる可能性が示されました。
研究の概要
ウェイルコーネル医科大学の研究チームが行った最新の研究では、メトホルミンで治療中の2型糖尿病患者20名を対象に、食事の順序が血糖値に与える影響を調査しました。
研究方法
参加者は以下の2つの食事パターンを6日間ずつ試しました:
– 炭水化物を最後に食べる方法(CL:Carbohydrates-Last)
– 炭水化物を最初に食べる方法(CF:Carbohydrates-First)
食事内容は以下の通りでした:
– タンパク質:20-25%
– 脂質:30-35%
– 炭水化物:45-50%
– 食物繊維:25-30g
研究結果
1: 血糖値のピークが大幅に減少
炭水化物を最後に摂取するCLパターンでは、食後の血糖値のピークが44%も低下しました。
2: 血糖値の変動が改善
日常生活における血糖値の変動係数(CV)が改善:
– CL方式:19.2%
– CF方式:23.0%
3: 目標範囲内の時間が増加
血糖値が目標範囲内にある時間(TIR)も改善:
– CL方式:84.8%
– CF方式:78.6%
この研究の意義
この研究の特に重要な点は、食事内容や量を変えることなく、単に食べる順序を変えるだけで効果が得られたことです。多くの患者さんにとって、食事内容を大きく変えることは難しいものですが、順序を変えることは比較的取り組みやすい方法といえます。
今後の展望
研究チームは、この食事方法が長期的な血糖コントロールにどのような影響を与えるか、さらなる研究を計画しています。また、インスリン治療中の患者さんへの効果についても、今後の研究課題となっています。
まとめ
食事の順序を工夫するという簡単な方法で、血糖値のコントロールが改善できる可能性が示されました。特に、以下の点で効果が期待できます:
– 食後の血糖値ピークの低下
– 血糖値変動の改善
– 目標範囲内の時間の増加
今回の論文は個人的にもとても興味深いないです。ただし、この方法を実践する前に、必ず主治医に相談することをお勧めします。当院では糖尿病外来を行っておりますので、興味のある方はぜひご来院ください。
札幌駅、大通駅近くの小野百合内科クリニック
院長 小野渉
参考文献
. 2024 Dec 17:dc241956.
doi: 10.2337/dc24-1956. Online ahead of print.
Carbohydrates-Last Food Order Improves Time in Range and Reduces Glycemic Variability