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糖尿病治療薬マンジャロ(チルゼパチド)について

皆様、こんにちは。札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニックです。今回は2024年4月1日から長期処方が可能となった、新たな糖尿病治療薬であるマンジャロ(チルゼパチド)に焦点を当てて、糖尿病内科医の目線から詳しくご紹介したいと思います。マンジャロはGLP-1/GIP受動態作動薬という新しい薬で、非常に効き目も強く減量作用もあります。また血管や腎保護作用もある画期的なお薬です。このブログを読んでマンジャロに対する理解を深めていただければ幸いです。

マンジャロとは

マンジャロは、2022年6月にアメリカで発売され、2023年4月に日本でも発売された糖尿病治療薬です。この薬は、K細胞から分泌されるインクレチンのGIPとL細胞から分泌されるGLP-1の両方の作用を有している点で特異的です。天然のGIPをベースに作られており、これらの受容体に長時間結合することが可能です。

マンジャロの効果

マンジャロは、GLP-1受容体だけでなくGIP受容体にも作用するため、従来のGLP-1受容体作動薬に比べて、HbA1cの改善や体重減少の効果が高いことが報告されています。特に、最大容量である15 mgを使用すると、HbA1cは平均2.83%、体重は9.46 kg減少するというデータがあります。

心血管イベント抑制効果と腎保護効果

現在、マンジャロの心血管イベント抑制効果や腎保護効果についての報告は少ないですが、血糖改善や体重改善の効果から、これらの効果も期待できると考えられています。

用法・用量

成人には、週1回2.5mgから開始し、4週間投与した後、週1回5mgに増量し、維持量とします。

なお、患者さんの状態に応じて適宜増減しますが、週1回5mgで効果不十分な場合は、4週間以上の間隔で2.5mgずつ増量できます。ただし、最大用量は週1回15mgまでとなっています。

安全性と副作用

マンジャロの副作用には、吐き気や嘔吐、下痢、便秘などの消化器症状がありますが、これはGLP-1受容体作動薬と類似しています。ただし、肝機能障害など長期的な安全性についてはまだ明らかにされていないため、使用に際しては専門の医師による診察が必要です。

マンジャロの課題

マンジャロは新薬であり、長期処方や高容量製剤の入手に一定の課題があります。日本では、特に高容量が入手困難で、これは海外での需要増加によるものとされています。しかし、これらの問題が解決されれば、肥満を伴う2型糖尿病患者にとって有効な選択肢となるでしょう。

まとめ

糖尿病や肥満は生活習慣病の一種であり、治療には食事や運動などの基本的な生活改善が不可欠です。当クリニックでは、このような生活習慣病の治療を専門とする医師や管理栄養士がおりますので、ご不安やご質問があればお気軽にご相談ください。また、マンジャロのような新しい治療薬が出現することで、今後の糖尿病治療がさらに進化することを期待しています。

今回はこの辺で。

また次のブログでお会いしましょう。

 

札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニック

院長 小野渉

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