こんにちは、小野百合内科クリニックの院長、小野渉です。今回は、一般的にはあまり知られていないが、実は意外と多く見られる甲状腺疾患である「亜急性甲状腺炎」についてお話しします。
亜急性甲状腺炎とは
亜急性甲状腺炎、別名「甲状腺の風邪」とも呼ばれるこの疾患は、甲状腺ホルモンが一過性に増加し、その結果、動悸、イライラ感、多汗といった症状が表れることが特徴です。また、首の下側に強い痛みが生じることが一般的で、発熱や倦怠感、筋肉痛、肝機能障害といった症状を伴うこともあります。
原因
亜急性甲状腺炎はウイルス感染後に起こるとされていますが、明確な原因はまだ解明されていません。自己免疫や遺伝的な要素も関与していると考えられており、特にHLA-B 35やHLA-B 18:01といった白血球の型を持つ人に多く見られます。
症状
この疾患の最も一般的な症状は首周辺の痛みです。痛みはしばしば激烈で、首を触られるだけでも不快を感じるケースがあります。また、動悸、疲労感、睡眠障害などの甲状腺機能亢進症に関連した症状が出ることもあります。
診断と治療
亜急性甲状腺炎の診断は、主に甲状腺エコー検査と血液検査によって行われます。治療には、痛みが軽度の場合には非ステロイド性抗炎症薬を、痛みが強い場合にはステロイドが使用されます。症状が改善しても、医師の指示に従って適切に薬を続けることが大切です。
予後
多くの患者様では、亜急性甲状腺炎は一過性のものであり、数週間から数ヶ月で症状が改善します。しかし、一部の患者様では永続的な甲状腺機能低下症に進展することがあり、その場合は薬物治療が必要になることもあります。
終わりに
亜急性甲状腺炎は、適切な診断と治療を受ければ良好な予後を期待できる疾患です。当クリニックでは、甲状腺疾患に対する知識と経験を持っていますので、甲状腺に関する問題でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
今回はこの辺で。また次のブログでお会いしましょう
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