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揚げ物って体に悪いの??脂質異常症との関係を医師が解説

札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニックです。先日、健康診断の結果を持って来院されたある患者様がこのようにお話ししていました。先生、私は家ではサラダ油を使っていますし、揚げ物も週に2回か3回くらいしか食べていないんです。それなのにどうして中性脂肪やコレステロールがこんなに高いのでしょうか。

この患者様のように、揚げ物をたまのご褒美程度に考えていたり、植物性の油なら安心だと思い込んでいたりする方は非常に多いのが現状です。しかし、実はその「週に数回」という頻度や、「何気なく選んでいる油の質」こそが、血管をボロボロにする脂質異常症の引き金になっていることが少なくありません。教科書通りの節制をしているつもりでも、現代の食生活に潜む落とし穴にはまってしまっている失敗例は後を絶ちません。今回はそんな揚げ物と脂質異常症の関係について内科医の目線から解説してみようと思います。


揚げ物の週の摂取頻度と中性脂肪上昇の相関性

大規模なバイオバンクのデータを解析した研究によると、揚げ物を食べる頻度が高ければ高いほど、脂質代謝に異常をきたすリスクが明確に上昇することが示されています。特に注目すべきは、摂取する量そのものよりも摂取する頻度の重要性です。約50万人規模を対象とした調査では、揚げ物の摂取が週に1回未満の人と比較して、頻度が増えるごとに中性脂肪(TG)の値が上昇し、善玉コレステロール(HDL)が低下する傾向が確認されました。たまにドカ食いをするよりも、日常的に揚げ物が食卓に並ぶ習慣がある人ほど、脂質異常症のリスクにさらされているのです。

トランス脂肪酸による脂質データの悪化

揚げ物に使用される油の質は、血液の状態を左右する極めて重要な要素です。特に外食や加工食品に含まれる揚げ物には、保存性や食感を高めるためにトランス脂肪酸が含まれていることが多く、これが脂質異常症を悪化させる大きな要因となります。トランス脂肪酸を継続的に摂取すると、悪玉コレステロール(LDL)を増加させるだけでなく、血管を掃除してくれる善玉コレステロールを減少させてしまいます。研究データでは、エネルギー摂取量のわずか2パーセントをトランス脂肪酸に置き換えるだけで、冠動脈疾患のリスクが大幅に高まることが示唆されており、油の選択がいかに命に関わるかが理解できます。

再利用された酸化油の健康リスクとは

家庭や飲食店で何度も使い回された油、いわゆる酸化した油にも注意が必要です。油は加熱と空気に触れることを繰り返すと酸化が進み、過酸化脂質という有害な物質に変化します。この酸化した油は体内の炎症を促進し、脂質代謝を阻害する原因となります。コンビニエンスストアやスーパーの惣菜として並んでいる揚げ物は、調理から時間が経過しているため、どうしても酸化が進みやすい傾向にあります。忙しいからといってこうした食品を毎日利用していると、知らず知らずのうちに血管へダメージを蓄積させることになり、40代50代という若さで動脈硬化が進んでしまうケースも珍しくありません。

炭水化物と揚げ物の組み合わせによる相乗効果

アジア圏の食事パターンを分析した研究では、揚げ物単体よりも、それと一緒に摂取する食品の組み合わせが脂質異常を加速させることが分かっています。特に、唐揚げと白いご飯、あるいはカツ丼のように、揚げ物と精製された炭水化物をセットで食べる習慣は、中性脂肪を爆発的に上昇させます。炭水化物によってインスリンが過剰に分泌されると、揚げ物から摂取した脂質が脂肪として蓄えられやすくなるためです。日本人を対象とした解析でも、肉類と揚げ物、そして糖質を好む食事パターンを持っている人は、そうでない人と比べて脂質異常症の発症率が有意に高いことが証明されています。

調理方法の工夫によるリスク回避

脂質異常症を改善するためには、揚げ物を完全にゼロにする必要はありませんが、調理法や油の選び方を抜本的に見直す必要があります。例えば、家庭で揚げる際には、油を吸収しにくい衣の工夫をしたり、オリーブオイルのように酸化に強い油を使用したりすることが有効です。また、最近普及しているノンフライヤーなどを活用し、油を使わずに高温の熱風で調理することで、摂取する脂質量を大幅にカットすることが可能になります。


患者様からよくあるQ&A

Q. オリーブオイルで揚げれば毎日食べても大丈夫ですか?

A. オリーブオイルは酸化に強く、比較的健康的な油ですが、脂質そのもののエネルギー量は他の油と変わりません。毎日摂取すれば当然ながら脂質過多となり、中性脂肪の上昇を招きます。あくまでも頻度を抑えることが大前提です。

Q. 揚げ物を食べた後に野菜をたくさん食べれば相殺されますか?

A. 野菜に含まれる食物繊維が脂質の吸収を多少抑えてくれる効果は期待できますが、吸収された脂質が消えてなくなるわけではありません。相殺するという考え方ではなく、揚げ物の摂取量そのものを減らす努力が最も重要です。

Q. コレステロールの薬を飲んでいれば、揚げ物を我慢しなくて良いでしょうか?

A. 薬は数値をコントロールしてくれますが、食事の不摂生をカバーするためのものではありません。薬を服用していても、酸化した油やトランス脂肪酸を摂取し続ければ血管壁へのダメージは蓄積され、動脈硬化は進行してしまいます。


まとめ

脂質異常症と診断されると、多くの人は揚げ物を絶対に食べてはいけないと考えてしまいがちです。しかし、最新の研究が示しているのは、量よりも摂取頻度をコントロールし、トランス脂肪酸や酸化した油を避けることの重要性です。週に何度も外食の揚げ物を食べている習慣を、週に一度の楽しみへと変えるだけで、脂質代謝は劇的に改善する可能性があります。また、揚げ物と炭水化物の過剰な組み合わせを避けるといった食事パターンの見直しも、血管を守るためには欠かせません。一人で悩まずに、専門家のアドバイスを受けながら、持続可能な食生活を構築していきましょう。


札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニック 院長 小野渉

当院では糖尿病外来脂質異常症外来、糖尿病患者を対象とした肥満外来、管理栄養士による栄養指導を行っております。 札幌市、札幌駅近郊で糖尿病、生活習慣病、肥満にお悩みの方はぜひご来院ください。

引用論文一覧

  1. Qin P, et al. High fried food consumption impacts lipid metabolism disturbance: A UK Biobank analysis.

  2. Mozaffarian D, Trans fatty acid intake and its association with dyslipidemia.

  3. Nanri A, et al. Dietary patterns and components of dyslipidemia in an Asian cohort.

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