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1日1個の卵を食べるとLDLコレステロールは上がる?最新論文から医師が解説

札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニックです。健康診断の結果を持ってきた患者様から「卵は1日1個までと決めていたのに、最近は制限しなくていいと聞きました。でも、本当にLDLコレステロールが上がらないか心配なんです」という切実なご相談を受けました。インターネットやテレビで情報が溢れている昨今、何を信じて良いのか迷ってしまうのは当然のことです。今回は、最新の医学論文の知見をもとに、卵の摂取が血中脂質にどのような影響を与えるのかを内科医の視点で詳しく解説していきます。

卵を食べるとLDLコレステロールは上がる?

長年、卵に含まれるコレステロールが血液中の悪玉コレステロール(LDL)を直接的に押し上げると信じられてきましたが、近年の大規模な研究ではその見方が少しずつ変化しています。2020年に発表されたメタ解析論文によれば、卵を食べることで血中の総コレステロールやLDLコレステロールが統計学的にわずかに上昇する可能性は示唆されているものの、その上昇幅は臨床的に見て非常に限定的であると報告されています。具体的には、1日あたり1個程度の摂取であれば、心血管疾患のリスクを劇的に高めるような急激な数値の変化は認められないケースがほとんどです。卵に含まれるコレステロールがそのまま血液に反映されるわけではなく、体内の合成バランスが調整されるため、過度に恐れる必要はないと言えます。

食事中のコレステロールが血液に与える影響の個人差

興味深いことに、卵を食べた際の反応には大きな個人差があることが分かっています。最新の2025年の研究によれば、食事から摂取するコレステロールに対して体が敏感に反応する「ハイパー・レスポンダー」と呼ばれる体質の方が一定数存在します。このタイプの方々は、卵の摂取量を増やすとLDLコレステロール値が顕著に上昇しやすい傾向にあります。一方で、多くの方は食事由来のコレステロールが増えると体内での合成を抑える調節機能が働くため、数値が上がりにくいという特徴を持っています。そのため、一律に「卵は何個まで大丈夫」と断定するのではなく、ご自身の血液検査の結果を見ながら、自分に合った摂取量を見極めることが何よりも重要です。

飽和脂肪酸との組み合わせが脂質異常に与える影響

卵そのもののコレステロールよりも、実は一緒に摂取する「飽和脂肪酸」の方がLDLコレステロールに与える影響は大きいという指摘があります。例えば、卵と一緒に脂身の多いベーコンやバターたっぷりのトーストを食べる習慣がある場合、これらに含まれる飽和脂肪酸が肝臓でのLDL受容体の働きを弱め、結果として血液中の悪玉コレステロールを停滞させてしまいます。2016年の研究データでも、単に卵を食べるかどうかよりも、食事全体のバランスや飽和脂肪酸の摂取量が血中脂質のプロファイルを決定づける重要な要因であることが示されています。卵を食べる際は、調理法や一緒に食べる食材にも気を配るのが賢明な選択です。

Sheet Pan Fried Eggs, Bacon, and Toast

卵が持つ栄養学的メリットと健康へのプラス効果

LDLコレステロールの数値ばかりが注目されがちですが、卵は非常に優れた栄養源であるという側面も忘れてはいけません。卵には良質なタンパク質に加え、ビタミンA、ビタミンB群、そして抗酸化作用を持つルテインやゼアキサンチンが豊富に含まれています。また、卵の摂取は善玉コレステロール(HDL)をわずかに上昇させるという研究結果もあり、必ずしも悪影響ばかりではありません。10件以上の臨床試験を統合した分析でも、適切な範囲内での卵摂取は、体に必要な栄養素を効率よく補給するための手段として推奨されています。健康維持のためには、数値を気にして完全に排除するのではなく、バランスよく取り入れる姿勢が大切です。

患者様からよくあるQ&A

Q1:結局、卵は1日に何個まで食べていいのでしょうか?

A:一般的には1日1個程度であれば問題ないことが多いですが、すでに脂質異常症を指摘されている方や糖尿病をお持ちの方は、週に数個程度に控えるのが無難な場合もあります。血液データを見ながら主治医と相談しましょう。

Q2:卵の白身だけならコレステロールは上がりませんか?

A:はい、コレステロールのほとんどは黄身に含まれています。白身は純粋なタンパク質源ですので、脂質を制限したいけれどタンパク質はしっかり摂りたいという方には、白身を中心とした利用も一つの工夫です。

Q3:調理法によってコレステロールへの影響は変わりますか?

A:卵自体のコレステロール量は変わりませんが、油を大量に使う目玉焼きやスクランブルエッグよりも、ゆで卵や温泉卵の方が余分な脂質を摂らずに済むため、脂質管理の面では望ましいと言えます。

まとめ

最新の研究結果から、卵の摂取がLDLコレステロールに与える影響は、かつて考えられていたほど深刻ではないことが明らかになっています。2020年や2025年の論文でも、1日1個程度の摂取なら健康リスクは低いとされていますが、体質による個人差や一緒に食べる食材の影響を無視することはできません。大切なのは、特定の食品を敵視するのではなく、血液検査で自身の反応を確認しながら、食事全体のバランスを整えることです。

当院では脂質異常症を含めた生活習慣病外来、管理栄養士による栄養指導を行っております。ご興味のある方はぜひご来院ください。

札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニック 院長 小野渉


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