札幌駅近く大通駅近くの小野百合内科クリニックです。日本は自然災害の多い国であり、地震、台風、津波など、災害がいつどこで発生しても不思議ではありません。特に糖尿病を持つ方々にとって、災害時の適切な準備と対応は命に関わる重要な課題です。本記事では、糖尿病患者が災害に備えるために知っておくべきこと、災害が発生した際の対応方法について糖尿病内科医の目線から詳しく解説します。このブログを読んで万が一の災害への準備ができれば幸いです。それでは本編に進んでいきましょう。
1. 災害に備えて日頃からできること
糖尿病連携手帳とお薬手帳を活用しよう
糖尿病連携手帳とお薬手帳は、災害時に自分の病状や治療内容を他者に伝えるための大切なツールです。これらの手帳には、使用している薬の種類やインスリンの名称、緊急連絡先などの重要情報が記載されています。日常的に手帳を活用し、常に持ち歩く習慣をつけましょう。また、就寝時には枕元に置いておくことで、災害時にすぐに持ち出すことができます。
非常用持ち出し袋を準備しよう
災害時にすぐに持ち出せるよう、非常用持ち出し袋を準備しておくことが重要です。特に糖尿病患者の場合、以下のようなアイテムを袋に入れておくと良いでしょう:
- インスリンと注射器、注射針、アルコール綿
- 経口薬とブドウ糖(ゼリーやタブレットタイプが便利)
- 血糖測定器と必要なセンサー、穿刺器具
- 飲料水(1人1日3リットル)と食料(3日から1週間分)
- 糖尿病連携手帳とお薬手帳のコピー
これらのアイテムを1週間分程度準備し、定期的に内容をチェックして期限切れや不足がないか確認することが大切です。
食料と飲料水の備蓄
災害時には、食事が不規則になりがちで、糖質が多い非常食が中心になることが多いです。糖尿病患者は食事のバランスを保つことが特に重要です。缶詰やレトルト食品など、保存が効き、栄養バランスの良い食材を備蓄しましょう。また、飲料水は1日あたり1人3リットルが目安です。災害時には水分補給が難しくなるため、普段から多めに備蓄しておくことが推奨されます。
近隣の避難所の確認
お住まいの地域の避難所を事前に確認しておくことで、いざという時に慌てず行動できます。自治体のウェブサイトや地図で避難所の場所やルートを確認しておきましょう。また、避難所における糖尿病患者への対応についても情報を収集しておくと安心です。
2. 災害が発生した時の対応
安否確認と情報収集
災害発生時には、家族や大切な人との安否確認が重要です。災害用伝言ダイヤル(171)などの使用法を確認し、家族で連絡方法を事前に決めておきましょう。これにより、離れた場所にいる家族や友人とも連絡が取りやすくなります。
水分補給と治療の継続
災害時にはトイレの心配から水分を控えがちですが、水分不足は血糖値の上昇や腎機能の悪化、血管障害を引き起こすリスクがあります。甘くない水分をしっかり摂り、トイレ対策として簡易トイレを準備しておくことも有効です。また、治療の継続も重要です。避難所での食事は炭水化物中心になることが多く、栄養バランスが崩れやすいため、血糖値の測定をこまめに行い、薬の量を適切に調整することが求められます。
シックデイルールの活用
食事の量やタイミングが不規則になる災害時には、シックデイルールを活用して薬の使用量を調整します。主治医と事前にシックデイルールについて相談し、必要なメモや情報を携帯しておきましょう。
運動とストレス管理
避難所生活では運動量が減りがちですが、血糖値のコントロールを保つためには、軽い運動が有効です。ストレッチや足首の運動など、場所を選ばずできる運動を取り入れましょう。また、災害時のストレスは血糖値にも影響を与えるため、周りの人と相談し、一人で悩まないように心がけましょう。
3. 避難所生活での注意点
栄養管理と食事の工夫
避難所での食事は糖尿病管理において最も重要な要素です。限られた食事の中で、炭水化物の摂取を抑え、食べる順序や噛む時間を工夫することで、血糖値の急上昇を防ぐことができます。特に、炭水化物を摂取する際は、タンパク質や野菜を先に食べることを心がけましょう。また、十分な水分補給も忘れずに行いましょう。
インスリンの管理と他人との共有禁止
災害時にはインスリンの保管や注射針の使用に不安が生じることがあります。インスリンは直射日光や高温を避け、冷暗所に保管しましょう。注射針の使い回しは感染リスクがあるため、絶対に避けてください。また、インスリンのカートリッジも他人と共有してはいけません。
4. まとめ:糖尿病患者が災害に備えるために
災害はいつどこで発生するか予測できませんが、日頃からの準備が命を守るための鍵となります。糖尿病患者にとって、災害時の備えは自己管理の延長線上にあり、普段からの対策が大切です。インスリンや薬の備蓄、適切な食事管理、ストレスへの対応など、日々の準備が災害時の生存と健康維持につながります。これらの知識を生かして、自分と家族を守るための備えをしっかりと整えておきましょう。
災害に備え、皆さんが安全で健康な生活を続けられるよう、日頃から準備を怠らず、いざという時に冷静に対処できるよう心がけましょう。
札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニック
院長 小野渉