札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニックです。今回は糖尿病治療のキモとも言えるインスリンについてまとめてみようと思います。
糖尿病治療において、インスリンは非常に重要な役割を果たしています。患者様が正常な生活を送るためには、適切な種類のインスリンを理解し、使用することが不可欠です。今回は、主に使用される超速攻型インスリンと持効型インスリンに焦点を当て、それぞれの特徴や効果について詳しく解説していきます。
インスリンの種類と機能
インスリン製剤は、大きく3つのカテゴリに分けられます。
追加分泌を補うインスリン製剤 (超速攻型インスリン)
基礎分泌を補うインスリン製剤 (持効型インスリン)
追加分泌と基礎分泌の両方を補う合剤
これらのインスリンは、患者の状態に応じて選択され、治療計画に組み込まれます。中でも、超速攻型インスリンと持効型インスリンは広く使用されており、糖尿病患者に対する効果的な治療に貢献しています。
超速攻型インスリン
超速攻型インスリンは、食事前に皮下注射することで食後の血糖値の急激な上昇を抑制するために開発されました。代表的な製品にはヒューマログ、ノボラピッド、アピドラ、フィアスプ、ルムジェブ等があります。これらのインスリンは、生理的なインスリンの追加分泌に近い効果を持っており、食後の高血糖を改善する役割があります。
特に注目すべきは、超速攻型インスリンの効果が約10~20分で現れる点です。これにより、食事の直前に注射でき、食事のタイミングが不規則な場合にも対応できます。また、作用が3~5時間で終了するため、次の食前や夜間の低血糖のリスクを軽減できるのが利点です。
持効型インスリン
持効型インスリンは、基礎分泌を補うことを目的とした製剤であり、健康な人の生理的な基礎分泌に近い効果を持っています。代表的な商品にはランタスXR、インスリングラルギン、ランタス、トレシーバ、レベミルがあります。これらのインスリンは、主に空腹時の血糖上昇を抑制し、1日中の血糖値を全体的に低下させる働きがあります。
持効型インスリンは、注射してから1~2時間で効果が現れ、製剤によってはほぼ1日中持続します。特に、2型糖尿病患者においては、経口糖尿病薬の効果が不十分な場合にBOT((Basal Supported Oral Therapy )と呼ばれる併用療法が行われています。BOTは、基礎インスリンを補充することで、空腹時の血糖値を正常化し、糖尿病の管理を効果的に行う手段となります。
最後に
当院でも外来でインスリン導入やBOTを行っている患者さんが多くいます。糖尿病治療においては、患者様の生活習慣や病態に応じた適切なインスリンの選択が不可欠です。超速攻型インスリンと持効型インスリンは、その特性を活かし、患者の血糖コントロールをサポートします。医師の指導のもと、患者と医療チームが連携して最適な治療計画を策定することが、良い結果を生む鍵となります。
今回はこの辺で。また次のブログでお会いしましょう。