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佐野慈紀氏が右腕の切断へ。本当に怖い糖尿病の合併症とその予防方法について

元プロ野球選手、佐野慈紀氏が自身のブログで5/1に闘病生活の末、右腕切断手術の決断することが報道されました。今回は四肢の切断にもつながる糖尿病の恐ろしい合併症である壊疽と、その予防について糖尿病内科の目線からまとめてみたいと思います。このブログを見て糖尿病の合併症の壊疽について理解を深めれれば幸いです。

始めに

佐野氏は昨年、重症下肢虚血と診断され、緊急事態により右足中指を切断しました。長期にわたる入院生活を経て、一度は回復の兆しを見せましたが、心臓弁膜症からの感染症が再び悪化し、右腕の機能を維持するための闘いが続いていました。しかし、感染症の進行と糖尿病による合併症が彼の身体を追い詰め、最終的に右腕の切断という苦渋の決断を余儀なくされました。

彼のブログでは、「56歳の誕生日にこんな報告をすることになるとは思わなかった」と述べていました。佐野選手は人生のどんな試練も、持ち前のユーモアと勇気で乗り越えることができるという希望のメッセージを与えています。糖尿病による足の切断はその深刻な結果から恐れられていますが、適切なケアと予防策によって多くの場合で避けることが可能です。ここでは、糖尿病による足の問題の原因と日々の予防ケアについて詳しく解説します。

糖尿病と足の健康

糖尿病患者において足の問題は一般的で、特に末梢神経障害や血流障害が主な原因です。これらの合併症は、感覚の喪失や血流不良を引き起こし、最終的には足の潰瘍や壊疽、そして切断に至ることがあります。

神経障害の影響: 糖尿病神経障害は、足の感覚を鈍くします。これにより、患者は足に生じた小さな傷や火傷に気付かず、これが感染症や壊疽の原因となる場合があります。神経障害はまた、足の筋力低下や動きの異常を引き起こし、不自然な歩行が足のさらなる損傷を招くこともあります。

血流障害の進行: 高血糖は血管を硬くし、狭くすることで血流を阻害します。これが足の細胞への酸素や栄養の供給を制限し、治癒プロセスを遅らせます。その結果、小さな傷が悪化しやすくなり、潰瘍や壊疽に進行する危険性が増大します。

予防策とフットケア

糖尿病患者にとって、足の日常的なケアと観察は非常に重要です。以下は、足の健康を維持し、合併症を予防するための基本的なステップです:

  1. 日々の足のチェック: 毎日、足全体をチェックして異常がないかを確認しましょう。足の裏、指の間、爪の状態などを見逃さないようにします。特に赤み、腫れ、傷、感覚の喪失などの兆候には注意が必要です。
  2. 適切な靴と靴下の選択: 足に合ったサイズの靴を選び、高品質の素材で作られた靴下を使用しましょう。靴は足をしっかりとサポートし、摩擦や圧迫を最小限に抑えるものが理想的です。また、靴下は毎日交換し、足を清潔に保つことが重要です。
  3. 定期的な専門家による検査: 糖尿病患者は定期的に足の健康状態を専門医にチェックしてもらうことが勧められます。これにより、初期段階で問題を発見し、適切な治療を行うことができます。
  4. 血糖値の管理: 良好な血糖コントロールは、神経障害や血流障害のリスクを軽減します。日々の血糖値を適切に管理することが、足の合併症を防ぐためには不可欠です。

まとめ

糖尿病による足の切断は、適切な予防策とケアによって大きく減少させることが可能です。日々の足のチェック、適切な靴と靴下の使用、定期的な医療チェックアップ、そして効果的な血糖管理が、これらの合併症を避けるための鍵となります。糖尿病患者はこれらのガイドラインに従い、積極的に自身の足の健康を守ることが推奨されます。

 

当院では専門の看護師によるットケアも行っております。もしよければご利用ください。