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糖尿病腎症の予防と管理の大事なポイント

札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニックです。今回は糖尿病性腎症についてまとめてみたいと思います。糖尿病はは多くの合併症を引き起こすことが知られており、その中でも特に重要なのが「糖尿病腎症」です。この記事では、糖尿病腎症についての基本的な情報、発症の兆候、および予防と管理の方法について解説します。

糖尿病腎症とは?

糖尿病腎症は、糖尿病による高血糖が長期にわたり続くことで、腎臓の細胞が傷害を受けることによって起こります。腎臓は私たちの体内で血液をきれいにし、不要な物質を尿として排泄する役割を担っています。しかし、糖尿病腎症が進行すると、腎臓の機能が低下し、最終的には透析や腎移植が必要となる場合もあります。

発症の兆候

糖尿病腎症の初期段階では、特に症状が見られないことが多いです。しかし、腎臓の機能が低下し始めると、尿中にタンパク質(特にアルブミン)が漏れ出るようになります。この状態を微量アルブミン尿と呼びます。この段階で発見し治療を開始することで、病気の進行を遅らせることができます。

早期発見と早期介入

糖尿病腎症の最も重要な対策は、早期発見と早期介入です。定期的な血糖値チェックと共に、尿中のアルブミン量を定期的に検査することで、早期に病気を発見し管理することができます。

血糖のコントロール

血糖値を適切に管理することは、糖尿病腎症の進行を遅らせるために非常に重要です。糖尿病患者におけるHbA1cの目標値は7.0%未満とされています。血糖値をこの範囲内に保つことで、腎臓へのダメージを最小限に抑えることができます。またSGLT2阻害薬やGLP-1アナログといったお薬が腎障害の進行予防に有用な事が大規模臨床試験でわかっています。

血圧の管理

高血圧は糖尿病腎症のリスクを高めるため、血圧の管理も重要です。目標血圧は130/80mmHg未満とされており、達成するためには適切な食生活、適度な運動、必要に応じて血圧降下薬の服用が推奨されます。特にアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)は腎障害の進行予防に有用な事がわかっています。

脂質管理

脂質異常症も糖尿病腎症のリスクを高める要因です。LDLコレステロールの目標値は120mg/dl未満、中性脂肪は150mg/dl未満に保つことが推奨されます。

生活習慣の見直し

健康的な食生活、定期的な運動、禁煙など、良好な生活習慣を心掛けることは、糖尿病腎症の予防と管理において非常に重要です。

まとめ

糖尿病腎症は、適切な管理と治療によって、その進行を遅らせることができます。早期発見、早期介入、そして継続的な血糖値、血圧、脂質の管理が鍵となります。糖尿病をお持ちの方は、これらのポイントを日々の生活に取り入れ、定期的な健康チェックを欠かさないようにしましょう。自分の体を守るために、今日からできることから始めてみませんか?

 

今回はこの辺で。また次のブログでお会いしましょう。

札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニック

参考文献:

C K D診療ガイド2012 日本腎臓学会

エビデンスに基づくC K D診療ガイド2018