札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニックです。みなさんは健康診断などで「血圧が少し低めですね」と言われると、心配になる方も多いのではないでしょうか。一般的に、収縮期(上の血圧)が100mmHg未満、または拡張期(下の血圧)が60mmHg未満の状態を「低血圧」と呼びます。ただし、血圧が低くても体調に問題がなければ病気ではありません。むしろ、血管への負担が少ないというメリットもあります。一方で、めまいやだるさ、立ちくらみなどの症状が出る場合には注意が必要です。身体がSOSを出しているサインかもしれません。

低血圧の主なタイプ
低血圧にはいくつかのタイプがあり、原因によって対応方法も変わります。
1. 本態性低血圧(体質によるもの)
もっとも多いタイプで、遺伝や体質によって血圧が低い状態です。やせ型で冷えやすい女性に多く見られます。
「朝が弱い」「午前中は頭がボーッとする」「立ち上がるとめまいがする」といった症状がよくあります。
2. 起立性低血圧(立ち上がりで起こる)
座っていたり寝ていた状態から立ち上がったときに血圧が急に下がり、ふらっとする現象です。
特に、朝起きたときやお風呂上がり、疲れているときに起こりやすく、場合によっては失神することもあります。
3. 症候性低血圧(病気や薬の影響)
心臓の病気(不整脈など)や、甲状腺機能低下症、副腎の病気(アジソン病)などが原因で起こることもあります。また、降圧薬や抗うつ薬などの副作用として血圧が下がるケースもあります。
4. 食後低血圧(高齢者に多いタイプ)
食後、消化のために血液が胃腸に集まり、一時的に血圧が下がる状態です。
食後に眠気やだるさを感じる方は、これが原因の可能性もあります。

よくある症状
低血圧の症状は人によって異なりますが、次のようなものが代表的です。
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立ちくらみ・めまい
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朝起きられない、午前中に調子が出ない
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慢性的なだるさ・疲れやすさ
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頭痛や肩こり
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冷え性
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食欲がない、息切れがする
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顔色が悪い
「寝ても疲れが取れない」「仕事中にぼーっとしてしまう」など、原因がわからない不調が続くときは、低血圧が関係している場合があります。

放置するとどうなる?
低血圧自体は命に関わる病気ではありませんが、放置すると生活の質を下げる要因になります。血圧が低いと脳に十分な血液が行き渡らず、集中力が落ちたり、仕事や学業に支障をきたすこともあります。また、高齢者では転倒・骨折のリスクが上がるため注意が必要です。長期的に続くと、臓器への血流不足が慢性化し、心臓や腎臓の働きに影響が出るケースもあります。
自分でできる対策
日常生活の中でできる低血圧対策は、次のようなポイントを意識することが大切です。
1. 水分と塩分を適度にとる
水分不足は血液量を減らし、血圧を下げる原因になります。こまめに水やお茶を飲みましょう。
また、塩分を少し多めにとることも血圧の安定に役立ちます。ただし、高血圧の家族歴がある方は取りすぎに注意が必要です。
2. 朝食を抜かない
朝食は血圧を自然に上げ、体を目覚めさせるスイッチになります。
バナナや卵、味噌汁など、簡単なものでも構いません。食べないよりも少しでも口にすることが大切です。
3. 急に立ち上がらない
起立性低血圧を防ぐためには、寝起きや長時間座った後に急に立ち上がらないようにしましょう。
まずベッドの上で軽く足首を動かし、深呼吸してからゆっくり起き上がるのがおすすめです。
4. 適度な運動を続ける
ウォーキングやストレッチなど軽い運動は、血流を改善し、自律神経を整える効果があります。
特にふくらはぎの筋肉を動かすことで、心臓へ血液を押し戻すポンプ機能が強化されます。
5. ストレスをためない
ストレスは自律神経のバランスを崩し、血圧の調整を乱します。
軽い運動や趣味の時間を取り入れ、心と体のリズムを整えることが大切です。
食事で意識したい栄養素
低血圧の改善には、栄養バランスの整った食事も欠かせません。
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タンパク質:血液や筋肉の材料になります。肉、魚、卵、大豆製品を毎食に。
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鉄分:酸素を運ぶヘモグロビンを作る成分。レバー、ほうれん草、ひじきなどを意識して。
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ビタミンB12・葉酸:赤血球を作るために必要。魚介類や卵、海苔などに多く含まれます。
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ミネラル(ナトリウム・カリウム):体の水分バランスを保ちます。味噌汁や野菜スープもおすすめです。
極端なダイエットや偏食は、低血圧を悪化させる原因になります。体を冷やさない食事も意識しましょう。

受診をおすすめするケース
次のような症状が続くときは、早めに医療機関を受診してください。
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頻繁にめまいや立ちくらみが起きる
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失神したことがある
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動悸や息切れが続く
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朝の倦怠感が強く、仕事や家事に支障がある
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急に血圧が下がった
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ほかの持病(心臓・甲状腺・副腎など)がある
血液検査や心電図で原因がわかることも多く、適切な治療や生活指導で改善が期待できます。

まとめ
低血圧は「体質だから仕方ない」と思われがちですが、生活習慣や隠れた病気が関係していることもあります。
当院では、血圧の変化や自律神経のバランスを総合的に評価し、必要に応じて甲状腺ホルモンなどの検査も行っています。めまいやだるさなどの症状でお困りの方は、無理をせず一度ご相談ください。生活の質を取り戻すために、医師と一緒に無理のない改善法を見つけていきましょう。
いかがだったでしょうか。また次のブログでお会いしましょう。

