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LDLコレステロール基準値完全ガイド!! リスク別目標値まで徹底解説!!

札幌駅近く大通駅近くの小野百合内科クリニックです。健康診断でLDLコレステロールが異常値となった方も多いのではないでしょうか。LDLコレステロールは、細胞膜やホルモンの材料であるコレステロールを全身へ運ぶ重要な運搬役です。しかし血中に過剰になると、血管壁に沈着して動脈硬化を進めます。健診ではLDL、HDL、総コレステロール、中性脂肪を組み合わせてリスクを評価しますが、なかでもLDLは動脈硬化の中心指標です。基準値は単なる合否ではなく、年齢や合併症、喫煙歴などの背景とセットで解釈することが大切です。今回はそんなLDLについて内科医の目線から解説してみようと思います。

LDLの基準値の目安と指標の違い

一般的な目安として、LDLコレステロールは140mg/dL未満が正常、140〜159mg/dLが境界域、160mg/dL以上が高LDLコレステロール血症の目安とされます。一方で、基準範囲には学会や集団ごとの差があります。日本人間ドック学会が示した新基準では、男性はおおむね72〜178mg/dL、女性は年齢で幅があり30〜44歳で61〜152mg/dL、45〜64歳で73〜183mg/dL、65〜80歳で84〜190mg/dLといった参考域が提示されています。HDLは40〜119mg/dLが目安で、30〜39mg/dLは要注意、29mg/dL以下や120mg/dL以上は異常とされます。さらに、総コレステロールからHDLを引いたnon-HDLコレステロールは、動脈硬化に関わる“悪玉系”の総量を示し、90〜149mg/dLが目安の範囲として使われます。検査票に出てくる指標が異なるのは、評価の切り口が違うためで、いずれもリスク把握の材料です。

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なぜ基準を超えると問題なのか

LDLが高い状態が続くと血管内皮に炎症が起こり、酸化LDLがマクロファージに取り込まれてプラークが形成されます。プラークは血管を内側から狭め、破綻すると血栓が生じて心筋梗塞や脳梗塞の引き金になります。HDLが低い、あるいは中性脂肪が高いと、LDLの質が悪化しやすく、動脈硬化は加速します。放置された脂質異常症は、脳卒中や心筋梗塞、末梢動脈疾患のリスクを確実に押し上げ、結果として医療費や入院負担も増大します。高コレステロールの人は要注意 血管のコブは薬を飲んでも消えない | 日経BOOKプラス

LDLが高くなる背景とチェックしたい疾患

食事の飽和脂肪酸過多、食物繊維不足、アルコール過多、喫煙、加齢や運動不足、ストレスや遺伝がよくある要因です。二次性の原因として、甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群、閉塞性黄疸、糖尿病やメタボリックシンドロームなどもLDL上昇に関与します。家族性高コレステロール血症が疑われる場合は若年でもLDLが著明高値になり、早期からの介入が必要です。反対に、著しい低LDLは栄養障害や甲状腺機能亢進症などの背景が潜むことがあり、精査の対象になります。

リスクに応じて変わる管理目標値

同じLDL150mg/dLでも、背景リスクにより推奨される目標は変わります。持病がない低リスクでは目標160mg/dL未満、喫煙や高血圧などが重なる中リスクでは140mg/dL未満、糖尿病などの高リスクでは120mg/dL未満、心筋梗塞既往など超高リスクでは70mg/dL未満が管理目標の目安です。LDLが180mg/dL以上、動脈硬化の所見がある、糖尿病や多因子リスクを合併する場合は、生活習慣の是正と並行して薬物療法を早めに検討します。

今日からできるLDL改善の実践ポイント

減塩を基本にした和食中心へ切り替え、飽和脂肪酸の多い肉の脂身、バターや生クリーム、トランス脂肪酸の多い菓子やスナックは頻度と量を控えます。青魚、大豆製品、ナッツ、オリーブオイルなど不飽和脂肪酸を取り入れ、玄米や海藻、きのこ、野菜で食物繊維を増やします。飲酒は適量にとどめ、禁煙を徹底します。運動は中等度の有酸素運動を目安に1日合計30分、週150分以上を習慣化します。体重は各年代の適正域を維持し、3カ月単位で数値の変化を確認すると改善効果が見えやすくなります。写真の説明はありません。

基準値を外れたらどう受診し、どう続けるか

境界域の段階でも、血圧や血糖、喫煙歴、家族歴を含めて総合的に評価しましょう。頸動脈エコーや冠動脈CTが適応となるケースでは、血管の現状を可視化することで治療方針が明確になります。薬物療法ではスタチン、エゼチミブ、必要に応じてPCSK9阻害薬などを選択し、non-HDLやアポB、トリグリセリドも併せて管理します。痩せていてもLDLが高い人は珍しくありません。年1回以上の健診に加え、生活を変えた後は3カ月程度で再検し、データで振り返ることが再発防止につながります。

まとめ

LDLの基準値は単なる線引きではなく、あなたの背景リスクと組み合わせて読むことで真価を発揮します。一般的な目安はLDL140mg/dL未満ですが、喫煙、高血圧、糖尿病、既往歴の有無で管理目標は下がります。飽和脂肪酸を控え、不飽和脂肪酸と食物繊維を増やし、運動と減量、禁煙・節酒を重ねることが第一選択です。数値と背景をセットで捉え、必要なときに適切な薬物療法を組み合わせることが、心筋梗塞や脳梗塞を遠ざける最短ルートになります。

いかがだったでしょうか。また次のブログでお会いしましょう

札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニック

院長 小野渉

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