札幌駅・大通駅近くの「小野百合内科クリニック」です。北海道の冬は寒さが厳しく、路面も滑りやすいため、どうしても運動不足になりがちですよね。診察室でも、運動が大切だと分かってはいても、具体的に何をどれくらいすれば良いのか分からない、ジムに通うのはハードルが高いといったお悩みをよく耳にします。実は、血糖値を下げるための運動は、激しいトレーニングを長時間行う必要はありません。最新の医学研究では、日常のちょっとした工夫やタイミングの調整だけで、十分に効果が得られることが分かっています。この記事では、無理なく続けられて医学的にも効果が証明されている運動のコツについて、論文のデータを交えながら分かりやすく解説します。
目次
有酸素運動と筋トレの組み合わせが最強の血糖値対策になる理由
運動には大きく分けて、ウォーキングのような有酸素運動と、スクワットのような筋力トレーニング(レジスタンス運動)の2種類があります。患者様から、どちらが糖尿病に効くのですかと聞かれることがありますが、医学的な正解は両方行うことです。実際に2型糖尿病の患者様を対象とした研究では、有酸素運動だけを行ったグループや筋トレだけを行ったグループよりも、両方を組み合わせたグループの方が、過去1〜2ヶ月の血糖状態を示すHbA1cという数値が最も大きく改善したという結果が出ています。有酸素運動で脂肪を燃やし、筋トレで筋肉による糖の取り込み能力を高めるというダブルの効果が働くためです。まずは日々の散歩に、テレビを見ながらのスクワットを少し加えてみることから始めてみてはいかがでしょうか。
まとめて歩くよりも毎食後の10分ウォーキングが効果的
1日1回30分歩くのと、朝昼晩の食後に10分ずつ歩くのでは、どちらが血糖値に良いと思いますか。実は、同じ30分の運動でも、毎食後に分けて歩く方が血糖値を下げる効果が高いことが、医学誌Diabetologiaに掲載された研究で明らかになっています。特に、食後の血糖値が急上昇しやすい糖尿病の方にとって、食事をしてから血糖値が上がり始めるタイミングで体を動かすことは、ピークを抑えるのに非常に有効です。わざわざ運動着に着替えなくても構いません。食べた後に食器を洗ったり、近くのコンビニまで少し歩いたりするだけでも十分です。まとまった時間が取れなくても、食後のちょこっと歩きを積み重ねることが、血管を守る大きな力になります。
運動する時間がなくても座りっぱなしを中断するだけで数値は改善する
仕事が忙しくて運動する時間なんて全くない、という方も諦めないでください。最新の研究では、特別な運動をしなくても、ただ座りっぱなしの時間を減らすだけで血糖コントロールが改善することが分かっています。糖尿病の患者様を対象とした実験によると、7時間座り続ける生活と比較して、30分ごとに立ち上がって3分間だけ軽く動く生活をした場合、血糖値やインスリンの働きが大幅に改善しました。デスクワーク中や自宅でテレビを見ている時、30分に1回立ち上がって伸びをしたり、その場で足踏みをしたりするだけで立派な治療になります。運動=スポーツと捉えずに、生活の中でこまめに動くことを意識するだけで、体は確実に変わっていきます。

札幌の冬でも続けられる自分に合った運動スタイルの見つけ方
運動療法で最も大切なことは、強度ではなく継続することです。どんなに効果的な運動も、三日坊主で終わってしまっては意味がありません。特に北海道の冬は外歩きが難しくなりますが、そんな時は札幌の地下歩行空間(チ・カ・ホ)を利用して買い物がてらウォーキングをしたり、自宅でラジオ体操をしたりと、天候に左右されない方法を持っておくのがコツです。また、最初から高い目標を立てすぎず、まずは今の生活プラス10分動くことから始めてみましょう。体重が減らなくても、筋肉がついて血糖値が下がっていれば、それは大きな成功です。数字の変化だけでなく、体が軽くなった、階段が楽になったという体感を大切にしながら、細く長く続けていきましょう。
運動は、薬と同じくらい強力な治療効果を持っていますが、副作用がなく、体力もついて若々しくなれるという素晴らしいメリットがあります。今日お話ししたように、ジムに通ってハードなトレーニングをしなくても、食後に少し歩いたり、仕事の合間に立ち上がったりするだけで、血糖値はコントロールできます。これならできそう、と思える小さなことから生活に取り入れてみてください。もし、膝の痛みなどの整形外科的な問題がある場合や、心臓に持病がある場合は、自己判断せずに必ず主治医に相談してから運動を始めましょう。
患者様によく聞かれる質問をまとめてみました!!
Q1. 膝や腰が痛くてウォーキングができません。どうすれば良いですか。 A. 無理に歩かず、椅子に座ってできる運動から始めましょう。 膝や腰に痛みがある場合、無理なウォーキングは症状を悪化させる原因になります。そんな方には、椅子に座ったままできる膝の曲げ伸ばしや、プールの中での水中ウォーキングがおすすめです。水中では浮力が働くため、関節への負担を減らしながら全身運動ができます。当院では患者様の身体状況に合わせた運動のアドバイスも行っていますので、ご相談ください。
Q2. 筋トレは毎日やった方が良いのでしょうか。 A. 筋トレは週に2〜3回程度で十分効果があります。 筋肉は、トレーニングで刺激を与えた後、休ませることで修復されて強くなります。そのため、スクワットなどの筋トレは毎日行う必要はなく、1日おき、あるいは週に2〜3回程度でも十分に効果が期待できます。一方で、ウォーキングなどの軽い有酸素運動やストレッチは、毎日行っても問題ありません。継続できるペース配分が大切です。
Q3. どのくらい続ければ効果を実感できますか。 A. 早ければ数週間で血糖値に変化が現れます。 運動によるインスリンの効き目を良くする効果は、実は運動した直後から現れ、1〜2日程度持続します。そのため、習慣化すれば比較的早い段階で血糖値の改善が見られることが多いです。HbA1c(1〜2ヶ月の平均血糖値)として数値にはっきりと現れるには2〜3ヶ月かかりますが、体調の良さはもっと早く実感できるはずです。まずは3ヶ月を目標に続けてみましょう。
糖尿病の治療は、食事・運動・薬物療法のバランスが鍵となります。当院は札幌駅・大通駅からのアクセスも良く、お仕事帰りや買い物のついでに通院しやすい環境です。一人で頑張りすぎず、私たち医療スタッフと一緒に、あなたのライフスタイルに合った無理のない治療法を見つけていきましょう。「健康診断で血糖値が高かった」「最近体重が増えてきた」など、気になることがあれば、小野百合内科クリニックへお気軽にご来院ください。皆様の健康寿命を延ばすお手伝いをさせていただきます。
参考文献

