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インスリンイコデクとは??アウィクリの週1回投与で糖尿病治療が変わる!!

札幌駅近く、大通り駅近くの小野百合内科クリニックです。今回は週一回の持効型インスリンであるイコデクについてまとめてみたいと思います。みなさんはイコデク(アウィクリ®️)というインスリンをご存知でしょうか。このインスリンは週一回で血糖コントロールが可能という画期的なインスリンです。2024/6/24に日本でも製造販売承認となったイコデクについてまとめてみようと思います。このブログを読んでイコデクについての理解が深まれば幸いです。

はじめに

インスリン療法は糖尿病治療のかなめの一つであり、患者の日常生活に大きく影響を及ぼします。そのため、治療の便利さを改善する新しい製品の開発は、常に糖尿病ケアの重要な部分です。ノボノルディスクファーマは、週に1回の投与で済む新しいインスリン製剤「インスリンイコデク」を発表し、2023年8月10日に国内での製造販売承認申請を行い、2024/6/24に日本でも製造販売承認となりました。この製剤は、糖尿病治療における新たな選択肢として注目されています。

インスリンの種類とイコデクの特徴

インスリン製剤は大きく分けて速効型と持効型に分類されます。速効型は食事による血糖上昇を迅速に抑制し、持効型は1日を通じて血糖を安定させることを目的としています。イコデクは「超」持効型として開発され、1週間持続することが最大の特徴です。これにより、日々の注射回数を大幅に減らすことが可能となり、患者の負担が軽減されます。

効果と安全性:ONWARDS試験の結果

イコデクの効果と安全性は、第3相試験「ONWARDS」で検証されました。試験はインスリン初心者の2型糖尿病患者を対象に行われ、イコデクと従来のインスリングラルギンを比較しました。52週間の治療後、イコデク群のHbA1c低下率はグラルギン群を上回り、有意な差が見られました。また、目標血糖範囲に収まる時間が長く、低血糖リスクにおいても両群間で差は認められませんでした。

対象患者

イコデクは、特に日々のインスリン注射が困難な患者に適しています。高齢者や認知症の方、在宅療養中の方、または職業などで毎日の注射が難しい方が、この新しい治療法の恩恵を受けることができます。しかし、過量投与の際のリスクも高いため、慎重な管理が必要です。また現行存在する週一回GLP-A(トルリシティ、オゼンピックマンジャロ)との組み合わせはより良い治療の選択肢の一つとなりそうです。

まとめ

インスリンイコデクは、週1回の投与で効果が1週間持続する画期的なインスリン製剤です。この新しい治療オプションは、従来の毎日または毎週数回の注射が必要な治療法と比較して、大きな利便性と簡便性を提供します。今後、この製剤が糖尿病治療の新たな標準となる可能性があり、多くの患者にとって生活の質の向上をもたらすことでしょう。承認後の臨床データがさらにこの製剤の安全性と効果を証明することに期待されています。

 

イコデクはまだ日本では発売されていませんが、今後日本の糖尿病治療を劇的に変える可能性が高い薬剤です。今後の動向をチェックしていきましょう。今回はこの辺で。また次のブログでお会いしましょう。

札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニック。

 

 

※おまけ:ONWARDS試験について(読み飛ばしていただいても結構です)

1型糖尿病を持つ成人を対象に、1週間に1回の皮下注射で使用する新型インスリン「icodec」と、1日1回の皮下注射で使用される従来のインスリン「degludec(デグルデク)」の有効性と安全性を比較するONWARDS 6試験が行われました。

研究方法

この研究は、52週間(26週間のメインフェーズと26週間の安全性延長フェーズ)にわたって行われ、12カ国の99箇所で実施された無作為化、オープンラベル、目標治療、フェーズ3a試験です。参加者は、1型糖尿病の成人で、HbA1c(グリコヘモグロビン)が10.0%未満の者が対象とされ、1:1の割合でicodecまたはdegludecに無作為に割り当てられました。

主な結果

試験開始時のHbA1c平均値はicodec群で7.59%、degludec群で7.63%でした。26週後のHbA1cの平均変化は、icodecで-0.47ポイント、degludecで-0.51ポイントで、icodecの非劣性が確認されました(p=0.0065)。しかし、icodec群ではdegludec群と比較して、臨床的に重要または重篤な低血糖の発生率が統計的に有意に高かった(19.9対10.4イベント/患者年;p<0.0001)。

icodecは、HbA1cの減少においてdegludecと非劣性を示しましたが、重篤な低血糖のリスクが高いことが示されました。これにより、治療選択時には低血糖のリスクを考慮する必要があることが明らかになりました。

icodecは1週間に1回の注射で済むため、治療の負担を軽減し、治療の遵守を改善する可能性があります。ただし、低血糖のリスクの管理が必要です。これは1型糖尿病の成人を対象にした初のフェーズ3a試験であり、今後の治療法の選択に重要な情報を提供します。

第83回米国糖尿病学会(ADA)年次学術集会
Improved A1C and TIR with Once-Weekly Insulin Icodec vs. Insulin Glargine U100 in Insulin-Naïve T2D—ONWARDS 1 (米国糖尿病学会 2023年6月24日)

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