ブログ

【医師解説】プロテインはホエイとソイどっちがいい?医学的に正しい使い分けと効果の違い

札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニックです。診察室で患者さんからよく受ける相談の一つに、プロテイン選びに関するものがあります。先日もトレーニングを始めたばかりの患者さんから、トレーニング中なのですがプロテインの違いってあるのでしょうか、どれを飲めば良いのか分かりませんという素朴な疑問をいただきました。ドラッグストアやネット通販には数多くの商品が並んでおり、ホエイやソイといった言葉に戸惑うのも無理はありません。実はこれらは単なる味やブランドの違いではなく、医学的に見て吸収のスピードや体に与える影響が全く異なります。本日は最新の医学論文に基づき、目的に合わせた正しいプロテインの使い分けについて詳しく解説します。プロテインシェイカーおすすめ10選|選び方も解説

原料の違いがもたらす吸収スピードの差

まず基本的な違いとして、ホエイプロテインは牛乳を原料とする動物性タンパク質であり、ソイプロテインは大豆を原料とする植物性タンパク質であることを理解する必要があります。この原料の違いは体内への吸収スピードに決定的な差を生みます。ホエイは摂取してから約1時間から2時間という非常に速いスピードで血中のアミノ酸濃度をピークにまで高めますが、ソイは5時間から6時間かけてゆっくりと吸収されていきます。この特性の違いこそが、どのタイミングでどちらを飲むべきかを決定する最大の要因となります。短距離走のように瞬発的に栄養を届けたいのか、マラソンのように長く栄養を供給し続けたいのかで選ぶべき種類が変わるのです。豆乳でタンパク質を摂ろう!牛乳との違いも解説 | 九州まーめん(大豆麺) 公式サイト

筋力アップとトレーニング直後の回復にはホエイ

もしあなたがジムで激しい筋トレを行い、筋肉を大きく強くしたいと考えているなら、迷わずホエイプロテインを選ぶべきです。2009年の応用生理学の専門誌に掲載された研究では、筋トレ直後にホエイ、カゼイン、ソイの3種類をそれぞれ摂取した際の筋肉の合成率を比較しています。その結果、ホエイを摂取したグループが最も速く血中アミノ酸濃度が上昇し、筋肉を作るスイッチの役割を果たすロイシンという成分が豊富に含まれているため、筋肉の合成率が最も高いことが判明しました。運動直後の筋肉が栄養を欲しているゴールデンタイムには、素早く届くホエイが医学的にも最適な選択肢となります。

ダイエットやコレステロール管理にはソイ

一方で、筋肉を大きくすることよりも、体重を落としたい、あるいは健康診断でコレステロール値を指摘されたという方にはソイプロテインが推奨されます。ソイプロテインは吸収が穏やかであるため、満腹感が持続しやすく、無駄な間食を防ぐ効果が期待できます。さらに2015年の英国栄養学誌などで報告されている通り、大豆タンパク質には血中の総コレステロールや悪玉コレステロールであるLDLコレステロールを低下させる作用があります。心血管疾患のリスクを下げつつ、健康的に体を引き締めたいと考える中高年の方やダイエット中の方にとって、ソイは強力な味方となるでしょう。

長期的にはどちらも筋肉を作る効果に差はない

では、ソイプロテインでは筋肉がつかないのかというと、決してそのようなことはありません。2018年に発表された複数の研究をまとめた解析結果によると、数ヶ月単位の長期的な視点で見た場合、ホエイを選んでもソイを選んでも、筋力や筋肉量の増加には統計的な差がないことが分かっています。つまり、ボディビルダーのような極限の肉体を目指すのでなければ、植物性のソイプロテインであっても継続してトレーニングと組み合わせることで十分に体を変えることが可能です。牛乳でお腹が緩くなりやすい方や、植物由来の食品を好む方は、安心してソイを選んでいただいて問題ありません。

食後高血糖を抑えるためのホエイ活用術

最後に、糖尿病内科医としての視点から少しマニアックですが重要な活用法をご紹介します。実はホエイプロテインを食事の前に摂取することで、血糖値の急上昇を抑える効果があることが分かっています。2014年の糖尿病学会誌の研究では、食事前にホエイプロテインを飲むと、インクレチンというホルモンの分泌が促され、インスリンの出が良くなることで食後の高血糖が抑制されたと報告されています。血糖値が高めの方や、隠れ糖尿病が気になる方は、運動後だけでなく、食事の15分から30分前に少量のホエイプロテインを活用するという方法も医学的に理にかなった選択肢の一つです。

まとめ

プロテインは魔法の粉ではありませんが、それぞれの特性を理解して適切に使えば、健康づくりを加速させる素晴らしいツールになります。瞬発力と筋肉合成を狙うならホエイ、持続力と代謝改善を狙うならソイという基本を押さえつつ、ご自身の体質や目的に合わせて選んでみてください。もし腎臓の機能が低下している場合などはタンパク質の摂取制限が必要なこともありますので、不安な方は自己判断せずに私たち医師にご相談いただければと思います。

患者様からよくあるQ&A

Q1 プロテインを飲むと太ると聞いたのですが本当ですか。

プロテイン自体は低カロリー高タンパク質な食品ですが、カロリーがゼロというわけではありません。普段の食事を減らさずにプロテインを追加すれば、単純にカロリーオーバーとなり太る原因になります。間食のお菓子をプロテインに置き換える、あるいは夕食の主菜を少し減らしてプロテインにするなど、1日の総摂取カロリーの中で調整することが大切です。

Q2 牛乳を飲むとお腹を下してしまうのですが、ホエイは飲めませんか。

牛乳でお腹がゴロゴロするのは乳糖不耐症といって、乳糖を分解できないことが原因です。一般的なホエイプロテイン(WPC製法)には乳糖が含まれていますが、WPI(ホエイプロテイン・アイソレート)という製法で作られたものであれば、乳糖がほとんど除去されています。お腹が弱い方はWPIを選ぶか、乳糖を含まないソイプロテインを選ぶことをお勧めします。

Q3 運動をしない日も飲んだ方が良いのでしょうか。

筋肉の回復や合成は、トレーニングをした日だけでなく、休んでいる間も続いています。また、髪や皮膚、爪などを健康に保つためにもタンパク質は欠かせません。食事だけで十分なタンパク質(体重1kgあたり約1g)が摂れていない場合は、運動をしない日でも補助的にプロテインを活用することをお勧めします。

札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニック 院長 小野渉

参考文献

  1. Ingestion of whey hydrolysate, casein, or soy protein isolate: effects on mixed muscle protein synthesis at rest and following resistance exercise in young men. Journal of Applied Physiology. 2009.

  2. No Difference Between the Effects of Supplementing With Soy Protein Versus Animal Protein on Gains in Muscle Mass and Strength in Response to Resistance Exercise. International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism. 2018.

  3. Soya products and serum lipids: a meta-analysis of randomized controlled trials. British Journal of Nutrition. 2015.

  4. Incretin, insulinotropic and glucose-lowering effects of whey protein pre-load in type 2 diabetes: a randomised clinical trial. Diabetologia. 2014.

キーワード
ランキング