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毎日牛乳を飲めば骨密度は上がる?医師が教える『大人が勘違いしている常識』と最新論文の結論

札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニックです。牛乳さえ飲んでいれば骨は大丈夫という思い込みが、実は一番危ないかもしれません。先日、大通周辺にお住まいで、健康診断の結果を手に当院へ駆け込まれた70代の女性から、ショックを隠しきれない様子でこんな相談を受けました。「先生、私は若い頃から毎日欠かさず牛乳をコップ2杯以上飲んできたんです。それなのに、どうして骨密度が低いと言われてしまったのでしょうか。もう何を信じていいのか分かりません」と、涙ぐみながらお話しされました。医学的に見れば、牛乳は決して魔法の薬ではなく、その効果を発揮できる時期や条件が厳密に決まっているのです。今回は、牛乳と骨密度の本当の関係について、最新の論文をもとに解説いたします。

骨の貯金ができるタイムリミットは思春期にある

医学的に見て、牛乳が最もその真価を発揮するのは、実は子どもから成長期にかけての時期です。2024年の介入研究を含むメタ解析によれば、乳製品の摂取が小児の骨獲得にプラスの影響を与えることは明確に示されています。骨密度を一生のうちで最も高めることができるピーク・ボーン・マス(最大骨量)は、20歳前後で決定してしまいます。この時期までにどれだけカルシウムを貯金できたかが、一生の骨の健康を左右すると言っても過言ではありません。子育てをされている親御さんには、お子さんの将来のために、この時期の乳製品摂取がいかに重要かを知っていただきたいと思います。かけっこが苦手な子どもをどうサポートする?楽しく速く走るコツ ...

大人の牛乳摂取は骨を作るのではなく減らさないための防衛策である

では、大人になってから飲む牛乳には意味がないのでしょうか。成人のデータを分析した最新の報告では、牛乳を多く摂取している大人の方が、骨密度が高い傾向にあるという事実は認められています。しかし、ここで誤解してはいけないのが、大人が牛乳を飲んだからといって、劇的に骨密度が10%も上昇するわけではないという点です。成人の骨代謝において乳製品は、骨を新しく作るというよりも、加齢とともに減っていくスピードを緩やかにするための、守りの手段として位置づけられています。

骨密度という数字だけに一喜一憂するリスクを理解する

骨の健康を語る上で、医師として最も強調したいのは、骨密度の数値が高いことと実際に骨折しないことは別問題だということです。2018年の大規模な総説論文でも、乳製品の摂取と骨の健康には一定の関連があるものの、骨折予防に対する証拠は必ずしも盤石ではないと冷静に分析されています。骨の強さは、密度の高さだけでなく、骨の質や、それを支える筋肉の量、さらにはバランス能力など、多くの要素が組み合わさって決まります。牛乳を飲んでいるから大丈夫という過信が、運動不足や他の栄養素の欠乏を見逃す原因になってはいけません。指摘・注意に反発する人」が輝く仕事の選び方 │ リーダーシップドック

牛乳を万能薬にしないための食事のトータルバランスを考える

骨を強くしたいと考えた時、カルシウムだけを必死に追いかけるのは非効率的です。骨の土台はコラーゲンというタンパク質でできており、そこへカルシウムが定着するためにはビタミンDやビタミンK、マグネシウムといった脇役たちが欠かせません。牛乳に含まれるタンパク質は良質ですが、それだけで全てが解決するわけではないのです。また、牛乳には意外とカロリーや脂質も含まれているため、1日に1リットルも飲むような極端な摂り方は、かえって脂質異常症や肥満を招くリスクもあります。あくまで食事全体の一部として、バランス良く取り入れる姿勢が求められます。

患者様からよくあるQ&A

Q:豆乳で代用できますか?

A:豆乳はタンパク質は豊富ですが、カルシウムの含有量や吸収率は牛乳に及びません。カルシウム強化タイプを選ぶなどの工夫が必要です。

Q:牛乳を飲むと血糖値が上がりますか?

A:適量なら急激な上昇は招きませんが、乳糖という糖分が含まれています。当院の糖尿病外来でも、コップ1杯(約200ml)程度を目安に指導しています。

Q:低脂肪牛乳と普通の牛乳、どちらが骨にいいですか?

A:カルシウム量には大きな差がありません。脂質を抑えたい生活習慣病が気になる方には低脂肪タイプをお勧めしていますが、味が苦手で続けられないのであれば普通の牛乳でも構いません。

まとめ

牛乳と骨密度の関係は、年齢や生活習慣によってその意味合いが大きく異なります。成長期には骨を作る強力な材料となりますが、大人になってからは減少を防ぐための補助的な役割に変わります。大切なのは、牛乳さえ飲めば安心という盲信を捨て、適切な運動や他の栄養素、そして定期的な骨密度検査を組み合わせることです。ご自身の骨の状態を正しく把握し、医学的根拠に基づいた賢いケアを続けていきましょう。

札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニック 院長 小野渉

当院では糖尿病外来生活習慣病外来、糖尿病患者を対象とした肥満外来、管理栄養士による栄養指導を行っております。 札幌市、札幌駅近郊で糖尿病、生活習慣病、肥満にお悩みの方はぜひご来院ください。

引用論文一覧

  1. Tan VP, et al. Impact of dairy supplementation on bone acquisition in children: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. PMID: 39043915

  2. Zhang X, et al. Milk consumption and Bone Mineral Density in Adults: A National Health and Nutrition Examination Survey Study. PMID: 34320801

  3. Thorning TK, et al. Dairy products and bone health: how strong is the evidence? PMID: 29560832

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