札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニックです。皆様は糖尿病と骨粗鬆症の関係について知っているでしょうか。みなさんも骨粗鬆症になると骨折しやすいと聞いたことがあると思います。今回はそんな糖尿病と骨粗鬆症について、そして骨粗鬆症の予防法について糖尿病内科医の目線からまとめてみようと思います。このブログを読んで骨粗鬆症に対する理解が深まれば幸いです。
骨粗鬆症とは
骨粗鬆症は、骨に含まれるカルシウムなどのミネラルが減少し、骨がもろくなる病気です。日本には約1000万人以上の骨粗鬆症患者がおり、その数は高齢化に伴って増加傾向にあります。骨粗鬆症になると、自覚症状はほとんどなく、骨折を起こしやすくなります。例えば、転倒や尻もちをついただけで圧迫骨折を引き起こし、激しい痛みを感じることもあります。
糖尿病の方は骨折しやすい
糖尿病の方は、そうでない方と比べて骨折の危険性が高いことが知られています。糖尿病では、骨の新陳代謝が悪くなり、古い骨が「サビつき」やすくなります。これにより、骨の質が低下し、骨折しやすくなります。また、糖尿病による神経障害で足底の感覚が鈍くなったり、網膜症で視力が低下することも転倒のリスクを高めます。
なぜ糖尿病が骨粗鬆症リスクを高めるのか
糖尿病とは、インスリンの作用不足によって慢性高血糖を引き起こす病気です。インスリンの作用が低下すると、骨代謝にさまざまな影響を与え、骨量減少が進行します。以下に、糖尿病が骨粗鬆症リスクを高める主な要因を示します。
インスリン作用不足の骨代謝への影響
- 骨芽細胞の減少
新しい骨を作り出す骨芽細胞にはインスリンを受け取る受容体があり、インスリンには骨芽細胞を増殖させる作用があります。インスリンが不足すると骨芽細胞が減少し、骨形成が低下します。 - 活性型ビタミンDの不足
カルシウムの腸からの吸収には活性型ビタミンDが必要です。インスリンの作用が不足していると、活性型ビタミンDが減少し、カルシウムの吸収が困難になります。 - 尿中カルシウムやマグネシウムの増加
高血糖になると尿の排泄量が増え、尿とともにカルシウムやマグネシウムが多く排泄され、体内はこれらのミネラルが不足します。 - コラーゲンの減少
高血糖状態では蛋白質の糖化が進み、正常なコラーゲンが減少し、骨の柔軟さが失われます。
糖尿病患者が骨粗鬆症を予防するために
糖尿病患者が骨粗鬆症を予防するためには、以下の点に注意が必要です。
食事
骨に欠かせない栄養素としてカルシウムが重要です。しかし、カルシウムだけでなく、ビタミンDやビタミンKも一緒に摂取することが大切です。これらの栄養素は、乳製品、大豆製品、緑黄色野菜、海藻、魚、ナッツ類などに含まれています。
運動
適度な運動は骨粗鬆症の予防に効果的です。骨に重力負荷がかかる運動を行うことで、骨の血流が良くなり、骨をつくる細胞の働きが活発になります。特にウォーキングや軽いジョギングなどが推奨されます。
日光浴
ビタミンDは太陽光に当たることで体内で合成されます。日光浴をすることで、ビタミンDの生成が促進され、カルシウムの吸収が良くなります。
まとめ
糖尿病の方は、骨粗鬆症のリスクが高くなりますが、適切な食事、運動、日光浴などの生活習慣を心がけることで予防が可能です。骨粗鬆症の症状に心当たりがある方や、検診で血糖値に異常が指摘された方は、早めに医師に相談することをお勧めします。
骨粗鬆症患者にとってカルシウムとビタミンDは非常に重要な栄養素です。これらの栄養素を豊富に含む当院の管理栄養士が考案した美味しいレシピをご提案します。
さばとケールの和風サラダ
材料:
- さばの缶詰(水煮) 1缶
- ケール 1束
- トマト 1個
- きゅうり 1本
- ごま油 大さじ1
- 醤油 大さじ2
- レモン汁 大さじ1
作り方:
- ケールを食べやすい大きさに切り、トマトときゅうりもスライスする。
- ボウルにさばの缶詰、ケール、トマト、きゅうりを入れる。
- ごま油、醤油、レモン汁を混ぜたドレッシングをかけて和える。
ポイント: さばにはビタミンDが多く含まれており、ケールはカルシウムが豊富です。
いかがだったでしょうか。また次のブログでお会いしましょう
札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニック 院長 小野渉