札幌駅近く、大通り駅近くの小野百合内科クリニックです。
今回は脳梗塞、心筋梗塞の予測マーカーのLox-Indexについてまとめてみようと思います。
当院ではLox-Indexを自費診療で行っております。より知りたい方はこちらのページをご覧ください。
脳梗塞・心筋梗塞について
脳梗塞・心筋梗塞は、前兆がなく発症し命を落とすことも少なくない疾患です。現在は、医療の進歩によって命を取り留める確率は以前よりも高くなってきているものの、日本人の死因を疾患別にみると脳血管疾患、心疾患を原因として命を落とす方は依然多く、その合計数では死因1位の悪性新生物(がん)と同水準にあります
日本人の主要な死亡要因
また、突然死の死因として最も多いのも心疾患であり、死因の約6割を占めるともいわれています。患者数も高齢化とともに増加の一途を辿っており、総患者数は国内で約200万人以上とも推計されております。さらに、脳梗塞などを含む脳血管疾患についてはその後遺症も重く、寝たきりの原因の約4割を占めるとされています。
再発が怖い脳梗塞・心筋梗塞
脳梗塞は一度発症すると再発しやすいことがわかっています。一度脳梗塞になるとおよそ5年内で約3割、10年以内では約5割の方が再発するといった報告もされています。心筋梗塞についても一度発症した人は心筋梗塞を繰り返したり、心不全などを起こすリスクが高いことが分かっています。
そのため、そもそも脳梗塞・心筋梗塞にならないように予防することが非常に重要と言えます。
動脈硬化のメカニズム
それでは、なぜ脳梗塞や心筋梗塞は起こるのでしょうか。それには“動脈硬化”を知ることが重要になってきます。動脈硬化とは読んで字のごとく、「動脈」と呼ばれる血管が硬くなってしまうことです。動脈硬化はLDLコレステロールに代表される脂質が血管の内側に取り込まれることで進行していきます。血管の内側に脂質が溜まっていくと、“プラーク”と呼ばれる血管のコブが形成されます。これにより血管が狭くなり、血液の通りも悪くなっていきます。そして、このプラークが破れると血栓という血の塊ができ、完全に血管を塞いでしまいます。これが脳の血管で起きると「脳梗塞」、心臓の血管で起こると「心筋梗塞」となります。
予防のための検査LOX-index®
LOX-index®では血管の中に脂質が入っていくメカニズムに着目し、超悪玉化したコレステロールと、それと結合をして動脈硬化を進行させるLOX-1というタンパク質の2項目を測定しています。
LOX-index®検査では動脈硬化の直接の原因物質を調べていますので、実際に血管に異常が出始める前の段階からリスクを調べることができます。そのため、動脈硬化の予防に特化した検査ともいえます。
LOX-index®のエビデンス
LOX-index®は、国立循環器病研究センター主導で国内、約2,500名を対象として約11年追跡した研究成果をベースに開発されました。研究の結果LOX-index®の値が高かった方は低かった方と比較して、脳梗塞の発症率が2倍、心筋梗塞の発症率が3倍であったという報告がされています。
LOX-index®受診にあたってのQ&A
Q.食事制限はある?
A.制限はありません
Q.前日に飲酒してもいい?
A.制限はありません
Q.結果に影響するような事象はある?
A.リウマチ、妊娠中、出産後(3ヶ月以内)、発熱、痛風、腎不全のある場合に検査数値が高く出る可能性がございます。
Q薬の影響はある?
A.コレステロールを下げるスタチン系薬剤の服用によって、LABが低値を示す傾向にありますが、薬の影響を含めたリスクを見ていただくことをおすすめしているため、受診前の服薬制限はございません。
Q.どのくらいの頻度で受診するべき?
A.通常の健康診断、人間ドックと同じく、年1回の検査をおすすめしております。
LOX-index®の報告書について
結果リスク判定は4段階になっており、紙の報告書でお返ししております。報告書はわかりやすい総合評価と、生活習慣改善のアドバイスが記載されており、詳細の解説資料の冊子*と合わせてお返しします。
検査受診後
結果を受けて自分の生活習慣で改善できるところがないか見直してみましょう。動脈硬化予防の基本は生活習慣の改善です。食事・喫煙・飲酒・運動の改善積み重ねが重要です。お渡ししている解説資料もぜひご参考にしてください。
結果が悪かった方に関しては、動脈硬化が進行している可能性も考えられます。機器検査で血管の状態を見るのもよいかもしれません。
今回はこの辺で。また次のブログでお会いしましょう。
札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニック。
参考
厚生労働省平成29年度「人口動態統計(確定数)の概況」
厚生労働省平成29年患者調査
厚生労働省平成28年度国民生活基礎調査
J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2005 Mar; 76(3): 368–372.
Clinical Chemistry 56:4 550-558 ,2010
Nature, 386:73-77, 1997.