札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニックの小野です。寒さが厳しくなり、いよいよ年末年始が近づいてきましたね。先日、長年通院されている糖尿病の患者さんから、診察室で少し寂しそうな顔でこんな相談を受けました。「先生、お正月のお雑煮、やっぱり私は我慢したほうがいいですよね? 餅は『白い砂糖の塊』みたいなものだから諦めなさいと妻に言われてしまって…。家族が美味しそうに食べている横で、自分だけ我慢するのは正直辛いです」。このようにお餅に対して「糖尿病の大敵」「絶対に食べてはいけないもの」というイメージをお持ちの方は非常に多いです。お正月の団欒で自分だけ食べられないというのは、疎外感もあり辛いものですよね。結論から申し上げますと、糖尿病だからといって、お餅を一切食べてはいけないわけではありません。
お餅は確かに糖質が高い食品ですが、量や食べる順番、組み合わせを少し工夫するだけで、血糖値の急上昇を抑えながら楽しむことができます。この記事では、我慢ばかりのお正月にならないよう、医学的に正しい「お餅との付き合い方」について詳しく解説します。ぜひ参考にして、今年は安心してお餅を味わってください。
でもお餅は食べられるの?
適量を守れば、糖尿病の方でもお餅を食べることは可能です。
お餅は糖質が多い食材ですが、「お餅を食べたら糖尿病が悪化する」というわけではありません。大切なのは、量と食べ方です。お餅は主食に分類されるため、ご飯やパンと置き換えて食べるのが基本です。目安として、1食あたり1~2個(50~100g)が適切な量とされています。
しかし、糖尿病の状態や個人差によって適切な量は異なります。体格、活動量、血糖コントロールの状況によっても変わるため、主治医や管理栄養士に相談して、自分に合った量を確認することが大切です。

お餅が血糖値に影響を与える理由
お餅はもち米が原材料の高糖質食品で、グリセミック・インデックス(GI値)が高いことが特徴です。これは、食後の血糖値が急激に上がりやすい食品であることを示しています。また、お餅は柔らかくて消化が早いため、ご飯よりも血糖値が上がりやすい傾向があります。
さらに、お餅はその食べやすさから、つい食べすぎてしまうこともあります。たとえば、お餅3個(150g)はご飯1杯(150g)と同じ糖質量ですが、満腹感が得にくい分、食べ過ぎにつながるリスクが高まります。

血糖値が急上昇しにくいお餅の食べ方
糖尿病の方でも安心してお餅を楽しむためには、食物繊維やたんぱく質を含む食品と組み合わせることが重要です。これらの栄養素は胃腸での消化吸収をゆっくりにし、血糖値の上昇を穏やかにする効果があります。以下の方法を試してみてください。
- 野菜やたんぱく質をたっぷり入れたお雑煮を作る
お雑煮は野菜や肉、魚などのたんぱく質を組み合わせたスープ料理で、血糖値の急上昇を抑える理想的な食べ方です。大根、人参、鶏肉などを使った具だくさんのレシピが特におすすめです。
- 磯辺焼きやからみ餅を選ぶ
海苔や大根おろしを使ったシンプルなアレンジは低カロリーで、血糖値への影響を抑えることができます。海苔には食物繊維が含まれており、大根おろしには消化を助ける酵素が含まれています。
- 玄米餅を取り入れる
玄米餅は白餅よりも食物繊維が多く、食後の血糖値上昇を緩やかにする効果が期待できます。最近ではスーパーなどで簡単に手に入るので試してみるのもよいでしょう。
- ゆっくり食べる
噛む回数を増やし、食事時間を長く取ることで、満腹感を得やすくなります。これにより、食べ過ぎを防ぐことができます。
- 汁物と一緒に食べる
野菜やきのこがたっぷり入った汁物にお餅を入れることで、食物繊維やたんぱく質を補い、血糖値の急上昇を抑えます。特に寒い時期には、体も温まり一石二鳥です。
注意したいお餅の食べ方
- きなこ餅やあんこ餅は控えめに
きな粉やあんこは糖分を多く含むため、血糖値を大きく上昇させる可能性があります。どうしても食べたい場合は、1/3個程度を目安にし、トッピングの砂糖量も調整しましょう。
- おやつとして食べる場合は調整を忘れずに
おやつとしてお餅を食べた場合は、その後の食事でご飯やパンの量を減らし、糖質量のバランスを取ることが大切です。
- 糖質が多い具材との組み合わせに注意
おしるこやぜんざいは、砂糖の量が多く、糖質過多になりがちです。どうしても食べたい場合は砂糖控えめのレシピを選んだり、糖類ゼロの甘味料を活用しましょう。

まとめ
お餅は糖尿病の方でも、適切な量と食べ方を守ることで楽しむことができる食品です。主食として取り入れる際は、食べる量を管理し、野菜やたんぱく質を豊富に含むおかずと一緒に食べることを心がけてください。また、玄米餅や磯辺焼きといったアレンジを活用することで、血糖値への影響を抑えながら、美味しくお餅を楽しむことができます。
年末年始や冬のひとときを、血糖コントロールに気をつけつつ、ぜひお餅で彩ってみてはいかがでしょうか。体調に気をつけながら、楽しい食卓をお過ごしください!
最後に糖尿病患者さんでも楽しめる、血糖値への影響を抑えたヘルシーなお餅レシピをいくつかご紹介します。それぞれ、食物繊維やたんぱく質をプラスして血糖値の急上昇を防ぐ工夫を取り入れています。
患者様からよくあるQ&A
Q. お餅をご飯の代わりにする場合、具体的にどのくらい減らせばいいですか? A. 一般的な市販の切り餅(角餅)1個(約50g)は、炊いたご飯の「子供用茶碗・約半分(約80g)」と同じくらいの糖質量です。 ですので、**「切り餅2個を食べたら、その食事のご飯は抜く」**のが基本の目安です。もしお餅を1個だけ食べるなら、ご飯はいつもの半分に減らしましょう。「ご飯も食べて、お餅も食べる」と糖質オーバーになるので注意してくださいね。
Q. きなこ餅が好きなのですが、砂糖を使わなければ食べても大丈夫ですか? A. はい、実はとてもおすすめの食べ方です! きなこの原料は大豆ですので、たんぱく質と食物繊維が豊富に含まれています。これらは血糖値の上昇を緩やかにしてくれます。ただし、市販の「きなこ砂糖」は糖分が多いので、「無糖のきなこ」に「ラカント」などのカロリーゼロの自然派甘味料を混ぜて使うのがポイントです。これなら安心して甘いお餅を楽しめますよ。
Q. お餅を食べるのに適した時間帯はありますか? A. **「朝」または「昼」**がおすすめです。 日中は活動量が多く、食べたエネルギーが消費されやすいため、血糖値が下がっていきやすいからです。逆に、食べてすぐに寝てしまう「夕食」にお餅をたくさん食べると、高血糖の状態が長く続いてしまうため、避けたほうが無難です。お正月の朝ごはんやお昼ごはんに楽しむのが良いでしょう。
- 玄米餅の具だくさんお雑煮
材料(2人分)
- 玄米餅:2個
- 鶏むね肉:100g(またはささみ)
- 大根:50g
- にんじん:50g
- ほうれん草:1束
- 椎茸:2枚
- 昆布だし:400ml
- 醤油:小さじ1
- 塩:少々
作り方
- 野菜と鶏肉を食べやすい大きさに切ります。
- 鍋に昆布だしを沸かし、鶏肉と野菜を加えて煮込みます。
- 醤油と塩で味を整えます。
- 別で焼いた玄米餅を器に入れ、スープを注ぎます。
ポイント
野菜や鶏肉から食べ始めることで、血糖値の急上昇を抑えられます。
- もちピザ
材料(2人分)
- 切り餅(または玄米餅):2個
- トマトソース(無添加のもの):大さじ3
- ピーマン:1/2個
- 玉ねぎ:1/4個
- スライスチーズ(低脂肪):1枚
- オリーブオイル:小さじ1
作り方
- 切り餅をフライパンで焼き、柔らかくなったらスプーンで平らに広げます。
- トマトソースを塗り、薄切りにしたピーマンと玉ねぎを乗せます。
- スライスチーズをちぎって全体に広げます。
- フタをしてチーズが溶けるまで焼きます。
ポイント
オリーブオイルは少量にし、野菜をたっぷり乗せてボリュームアップ。
- 磯辺焼きと大根おろしのセット
材料(2人分)
- 切り餅:2個
- 焼き海苔:2枚
- 大根おろし:50g
- 醤油:小さじ1
- レモン汁:少々
作り方
- 切り餅をトースターで焼きます。
- 焼いた餅を海苔で巻きます。
- 大根おろしに醤油とレモン汁を加えたタレを添えて、一緒に食べます。
ポイント
大根おろしが消化を助けるため、胃腸への負担も軽減します。
- もちと野菜のスープグラタン
材料(2人分)
- 切り餅:2個
- ブロッコリー:50g
- かぼちゃ:50g
- 豆乳(無調整):200ml
- チーズ(低脂肪):30g
- 塩コショウ:少々
作り方
- ブロッコリーとかぼちゃを軽く蒸します。
- 鍋で豆乳を温め、塩コショウで味付けします。
- 耐熱皿に焼いた切り餅、野菜、豆乳を入れ、チーズをかけます。
- オーブンで焼き色がつくまで焼きます。
ポイント
豆乳と野菜で栄養バランスを整え、ヘルシーに仕上げています。
- きな粉餅の砂糖控えめバージョン
材料(2人分)
- 切り餅:2個
- きな粉:大さじ2
- エリスリトールまたはラカント:小さじ1
作り方
- 切り餅を焼いて柔らかくします。
- きな粉とエリスリトールを混ぜ合わせます。
- 餅にきな粉をまぶして完成です。
ポイント
人工甘味料を使うことで糖質量を大幅にカットできます。
これらのレシピを活用して、お餅を楽しみながら血糖値コントロールを意識してみてください。
今回はこの辺で。札幌で糖尿病でお困りの方は是非当院までお越しください。
札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニック
院長 小野渉


