ブログ

マンジャロを超える?次世代の肥満治療薬レタルチュリド(Retatrutide)の効果とは??

こんにちは。札幌駅・大通駅近くの「小野百合内科クリニック」です。現在、糖尿病治療や肥満治療の分野では、マンジャロ(チルゼパチド)やウゴービ(セマグルチド)といったGLP1受容体作動薬が世界中で大きな注目を集めています。しかし、世界の医療現場ではすでに、これらをさらに上回る効果を持つ次世代の薬剤の開発が最終段階に入っていることをご存知でしょうか。その名はレタルチュリドです。3つのホルモンに同時に作用することからトリプルアゴニストと呼ばれ、まるで魔法のような薬だと世界中の研究者が驚愕しています。この記事では、2025年以降の肥満・糖尿病治療を根底から変える可能性を秘めた新薬レタルチュリドについて、最新の医学論文に基づき詳しく解説します。

GIPとGLP1にグルカゴンを加えた3つの作用メカニズム

現在、高い効果で知られるマンジャロは、GLP1とGIPという2つのホルモンに作用する薬ですが、レタルチュリドはそこにグルカゴンという第3のホルモンへの作用を加えた薬剤です。グルカゴンは一般的に血糖値を上げるホルモンとして知られていますが、実はエネルギー消費を劇的に高めたり、肝臓での脂質代謝を促進したりする重要な働きも持っています。従来の薬が食欲を抑えて摂取カロリーを減らすことに特化していたのに対し、レタルチュリドは食欲抑制に加え、グルカゴンの力で基礎代謝を上げ、脂肪を燃焼させるアクセルを強く踏み込むことができるのです。この3つの相乗効果こそが、かつてない減量効果を生み出す秘密です。

肥満外科手術に迫るマイナス24パーセントという驚異的な減量データ

権威ある医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載された第2相臨床試験の結果は、世界中の医療関係者に衝撃を与えました。肥満患者338名を対象にレタルチュリドを48週間投与したところ、最高用量のグループでは体重が平均で24.2パーセントも減少したのです。これは、マンジャロの臨床試験での減少率である約20パーセントを大きく上回る数字であり、これまで胃を切除する肥満外科手術でしか達成不可能と言われていた25パーセントから30パーセントの減量効果に肉薄するものです。単に痩せるだけでなく、手術という身体的負担を負わずにこれだけの効果が得られる可能性があることは、肥満治療の歴史における大きな転換点と言えるでしょう。

糖尿病患者様においても血糖改善と体重減少を強力に両立する

通常、2型糖尿病の患者様はインスリン抵抗性などの影響で、糖尿病のない方に比べて体重が落ちにくい傾向にあります。しかし、医学誌ランセットに発表された研究によると、レタルチュリドは糖尿病患者様に対しても非常に強力な効果を発揮することが分かっています。36週間の投与でHbA1c(過去1ヶ月から2ヶ月の平均血糖値)は最大で2.16パーセント低下し、体重も最大16.9パーセント減少しました。血糖値を下げるインスリンの分泌を助けながら、同時に体重もしっかりと落とすことができるため、肥満を伴う2型糖尿病の治療薬として理想的な特性を備えていると言えます。

肝臓の脂肪が8割以上も消失する脂肪肝治療への新たな希望

レタルチュリドのもう一つの特筆すべき効果は、肝臓に蓄積した脂肪に対する作用です。グルカゴンが肝臓でのエネルギー代謝を直接活性化させるため、脂肪肝(MASLD)の改善効果が極めて高いことが報告されています。臨床試験のサブ解析では、最高用量を投与された患者様の肝脂肪量が平均で80パーセント以上も減少し、多くの患者様で脂肪肝が消失して正常範囲に戻ったことが確認されました。脂肪肝は放置すると肝硬変や肝がんへと進行するリスクがあるため、体重管理と同時に肝臓のケアもできるこの薬剤は、将来的に多くの患者様を救うことになるでしょう。

まとめ

医療の進歩は日進月歩であり、数年前には考えられなかったような高い効果を持つ薬剤が次々と登場しています。レタルチュリドはまさにその最先端を行く薬剤ですが、どんなに優れた薬であっても、それを活かすための生活習慣の改善が必要であることに変わりはありません。当院では、最新の医学知見を常にアップデートし、患者様の健康状態に合わせた最適な生活習慣指導や治療相談を行っております。肥満や血糖値のことでお悩みの方は、ぜひ札幌駅・大通駅近くの小野百合内科クリニックへお気軽にご相談ください。未来の健康のために、今できることから一緒に始めていきましょう。

当院では栄養指導を含めた肥満外来をおこなっておりますのでご興味ある方は是非当院までお越しください

参考文献

 

キーワード
ランキング
同じカテゴリ―の記事はこちら