札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニックです。この度、アミリンアナログ・GLP−1受容体作動薬であるノボノルディスクの新薬「カグリセマ」が25%の体重減少という驚くべきデータを出しました。これは今後の肥満治療において大きな転換点と言えそうです。今回はそんな開発中の肥満治療薬「カグリセマ(CagriSema)」について一足先にブログでまとめてみました。日本で保険採用されるのはまだまだ先になりそうですが、是非ご一読ください。
始めに
2024年11月6日、デンマークに拠点を置く製薬会社ノボノルディスクは、開発中の肥満治療薬「カグリセマ(CagriSema)」において、25%の体重減少が期待できることを再確認しました。この効果は、同社の人気薬「ウゴービ(Wegovy)」が示した15%減少を上回るものであり、肥満治療における新たな選択肢として注目されています。本記事では、カグリセマの特長やメカニズム、競合薬ゼップバウンド(Zepbound)との比較、そして肥満治療薬市場での戦略について詳しく解説します。
カグリセマの革新性とメカニズム
カグリセマは、従来のGLP-1受容体作動薬に加えて膵臓ホルモンである「アミリン」を標的とすることで、ウゴービ以上の体重減少効果を目指しています。GLP-1は食欲抑制や血糖値管理に寄与するホルモンですが、アミリンはさらに食後の満腹感を強化する働きを持つため、これらを組み合わせることで、持続的かつ効果的な体重減少が期待されています。アミリンの作用は膵臓から分泌されるホルモンの一種であり、インスリンと共に作用して食後の血糖やエネルギーバランスを調整します。これにより、単一のホルモン作用だけでは得られない多面的なアプローチが実現されるのです。
カグリセマの第3相試験と期待される結果
カグリセマは現在、第3相臨床試験が進行中で、最終的なデータは2024年末に発表される予定です。この試験結果はノボノルディスクにとって非常に重要で、肥満治療薬市場での競争力を維持・拡大するための必要不可欠なデータともされています。とりわけ競合するイーライリリー社の肥満治療薬ゼップバウンドとの比較での優位性が求められています。ノボノルディスク開発責任者であるマーティン・ホルスト・ランゲ氏は、このデータが予定通りの25%減少を示すとの見込みを示しており、企業の信頼性を支える重要な試験と位置付けられています。
競合薬ゼップバウンドとの対決
イーライリリー社が開発したゼップバウンド(tirzepatide)は、GLP-1に加えGIP(胃抑制ポリペプチド)も標的とするデュアルアゴニスト薬であり、20%を超える体重減少が期待できるとされています。肥満治療薬市場において、GLP-1受容体作動薬としてのパイオニアであるノボノルディスクのウゴービはこれまで大きなシェアを保持してきましたが、ゼップバウンドはさらなる効果を目指す強力な競争相手として注目を集めています。ノボノルディスクはこの競争に備え、カグリセマの効果と安全性をゼップバウンドと直接比較する第3相試験を新たに開始しました。この試験により、カグリセマがゼップバウンドを凌ぐ効果を示すことができれば、ノボノルディスクは肥満治療薬市場でのシェアをさらに強化することができます。
肥満治療薬市場における今後の展望
現在の肥満治療薬市場は年々競争が激化しており、新たな治療法への期待が高まっています。ノボノルディスクも、カグリセマ以外に様々な肥満治療薬を開発中であり、精神的副作用を抑えた安全性の向上やさらに効果的な体重減少方法が求められています。特に、カグリセマとゼップバウンドの比較試験は、ノボノルディスクにとっても企業価値を大きく左右するものであり、成功すれば肥満治療の基準を一新すると期待されています。
当院では今後のデータ発表を待ちながら、肥満治療の進化と市場動向に注目し、患者の生活の質を高めるための最新情報をお届けしていきます。
また当院では糖尿病患者様を対象に肥満外来をおこなっておりますので、興味のある方は是非ご連絡ください。
今回はこの辺で
札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニック