札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニックです。鏡を見るたびに気になってしまうお腹周りの脂肪ですが、実はその正体には大きく分けて二つの種類が存在することをご存知でしょうか。一つは皮膚のすぐ下に蓄積され、指でつまむことができる「皮下脂肪」であり、もう一つは腹筋の内側にある内臓の周りに蓄積される「内臓脂肪」です。女性はホルモンの影響で皮下脂肪がつきやすく、これはいわゆる洋ナシ型体型と呼ばれる下半身にボリュームが出るタイプです。一方で内臓脂肪はリンゴ型体型と呼ばれ、見た目にはそれほど太っていなくてもお腹だけがポッコリと出ている場合や、お腹周りのお肉がつかめない場合はこのタイプである可能性が高いでしょう。内臓脂肪は高血圧や糖尿病などの生活習慣病のリスクを高める要因となるため医学的な注意が必要ですが、幸いなことに皮下脂肪よりも燃焼しやすく落としやすいという特徴を持っています。
目次
年代やホルモンバランスの変化が脂肪のつく場所を変えてしまう理由
若い頃は下半身にお肉がつきやすかったのに、年齢を重ねるにつれてお腹周りに脂肪が集中するようになったと感じる女性は少なくありません。この変化には、女性ホルモンであるエストロゲンの減少が深く関わっています。エストロゲンには内臓脂肪の蓄積を抑える働きがありますが、更年期を迎えてその分泌量が低下すると、今までつきにくかった内臓脂肪が蓄積されやすくなるのです。また、加齢によって基礎代謝が落ちると思われがちですが、近年の研究では60代頃まで基礎代謝は大きく変わらないことも分かってきており、むしろ日常生活での活動量の低下や、筋肉量の減少が脂肪蓄積の主たる原因となっている場合が多いのです。さらに、ストレスを感じると分泌されるコルチゾールというホルモンも、食欲を増進させお腹周りの脂肪を溜め込む要因となるため、心のケアも重要な要素となります。
食事制限だけではない、脂肪燃焼を加速させるための食事戦略
お腹の脂肪を落とそうとして極端なカロリー制限や糖質制限を行う方がいますが、これは筋肉量を減らし、かえって代謝を下げてしまうリスクがあるため推奨できません。大切なのは、筋肉の材料となるタンパク質を毎食しっかりと摂取することです。タンパク質は食事誘発性熱産生(DIT)が高く、食べるだけで消費されるエネルギー量が多いため、代謝アップに貢献します。アルコールや甘い間食は内臓脂肪を増やす直接的な原因となりやすいため、これらを控えるだけでもお腹周りのサイズダウンに大きな効果が期待できるでしょう。![]()
有酸素運動と筋力トレーニングの組み合わせが最強の解決策
脂肪を効率的に燃焼させるためには、有酸素運動と筋力トレーニングをうまく組み合わせることが近道です。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、開始から20分以上経過すると脂肪燃焼効果が高まると言われていますが、現在は短時間でも積み重ねることで効果があることが分かっています。さらに効果を高めるためには、有酸素運動の前にスクワットやプランクなどの筋力トレーニングを行うことをお勧めします。筋トレを行うことで成長ホルモンが分泌され、脂肪分解が促進された状態で有酸素運動に移ることができるため、より効率的に脂肪を燃焼させることが可能です。特にお腹周りを引き締めたい場合は、腹筋などの表面的な筋肉だけでなく、天然のコルセットとも呼ばれるインナーマッスル(腹横筋)を鍛えるトレーニングを取り入れると、ぽっこりお腹の解消に役立ちます。
どうしても落ちない脂肪に対する医療的アプローチと心の持ち方
食事や運動などの生活習慣を改善してもどうしても脂肪が落ちない場合や、健康上のリスクが高い高度肥満の場合には、GLP-1受容体作動薬などを用いて医療機関での治療を検討するのも一つの選択肢です。しかしながらリバウンドを防ぎ健康的な体を維持するためには、最終的には適切な生活習慣の継続が不可欠です。短期間で劇的な変化を求めるのではなく、3ヶ月から半年かけて体重の数パーセントを落とすといった現実的な目標を立て、ストレスを溜めずに長く続けられる方法をご自身のライフスタイルに取り入れていくことが、お腹の脂肪を落とす最も確実な道と言えるでしょう。
いかがだったでしょうか。当院では糖尿病患者様を対象に肥満外来や、資格をもったスタッフによる栄養指導をおこなっております。興味のある方は是非ご来院ください。
札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニック
院長 小野渉

