札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニックです先日、糖尿病で通院中の患者様から、診察室でこのような相談を受けました。先生、私は毎朝バナナを食べるのが長年の日課なのですが、バナナは甘いから血糖値が上がると友人に言われて不安になりました、もう食べるのはやめた方がいいのでしょうか。実はこのように、果物の甘さを警戒してバナナを敬遠されている方は非常に多いのです。結論から申し上げますと、選び方や食べ方を少し工夫するだけで、糖尿病の方でもバナナを諦める必要は全くありません。今回は、医学的なエビデンスに基づいた、血糖値を上げにくいバナナの賢い食べ方について、糖尿病内科医の目線から解説していきます。

目次
バナナは糖尿病の敵ではなくむしろ血糖コントロールの味方になり得る
バナナは甘味が強いため、血糖値を急激に上げる食品だと思われがちですが、実は血糖値の上がりやすさを示すGI値は50前後と、白米や食パンと比較しても低い部類に入ります。これはバナナに豊富に含まれる食物繊維が、糖質の消化吸収を穏やかにしてくれるためです。さらに、バナナにはインスリンの働きを助けるマグネシウムや、糖質の代謝に必要なビタミンB群もバランスよく含まれています。お菓子や菓子パンを間食にするくらいであれば、バナナを選んだ方が血糖値の変動は少なく、身体に必要な栄養素も補給できるため、糖尿病患者さんの間食や補食として適していると言えるでしょう。

シュガースポットが出た完熟バナナよりも青いバナナを選ぶべき医学的理由
ここが最も重要なポイントですが、バナナは熟度によって体内での反応が全く異なります。甘くて美味しい茶色い斑点が出た完熟バナナは、デンプンが糖に変わっているため血糖値を上げやすい状態にあります。一方で、まだ皮の両端に緑色が残っているような若いバナナには、レジスタントスターチと呼ばれる難消化性デンプンが豊富に含まれています。最新の研究論文でも、この未熟なバナナに含まれる成分が、食後の血糖上昇を有意に抑え、体重やウエスト周囲径の減少にも寄与することが報告されています。したがって、血糖値が気になる方は、甘い完熟バナナではなく、あえて少し硬めの青みがかったバナナを選ぶことが、医学的に正しい選択と言えます。
血糖値の急上昇を防ぐためにヨーグルトやナッツと一緒に摂取する
バナナを単体で食べるよりも、他の食品と組み合わせることで、さらに血糖値の上昇を緩やかにすることが可能です。特にお勧めなのが、無糖のヨーグルトや無塩のナッツ類との組み合わせです。ヨーグルトに含まれるタンパク質や、ナッツに含まれる良質な脂質は、胃の中での滞留時間を延ばし、糖質が小腸で吸収されるスピードを遅らせる働きがあります。朝食にバナナを取り入れる際は、バナナだけを急いで食べるのではなく、きな粉をかけたヨーグルトに混ぜたり、数粒のアーモンドと一緒にゆっくり噛んで食べたりすることで、血糖値スパイクのリスクを大幅に下げることができます。
食べるタイミングは活動前の朝食にし夕食後のデザートは避ける
バナナを食べる時間帯も血糖コントロールにおいては非常に重要です。バナナに含まれるブドウ糖や果糖は素早くエネルギーに変換されるため、これから活動を開始する朝食や昼食のタイミングで摂取するのがベストです。逆に、活動量が低下する夕食後や夜遅くに食べてしまうと、消費されなかったエネルギーが中性脂肪として蓄積されやすくなり、肥満や血糖値の悪化につながります。1日の摂取目安量は中くらいのサイズで1本程度とし、朝のパンやご飯を少し減らしてその分をバナナに置き換えるなど、総カロリー量が増えすぎないように調整することも忘れないでください。
腎臓の機能に不安がある方はカリウムの摂取量に注意が必要である
バナナには塩分を排出して血圧を下げる効果があるカリウムが豊富に含まれており、高血圧を合併している多い糖尿病患者さんには嬉しい効果が期待できます。しかし、糖尿病性腎症などが進行して腎臓の機能が低下している方の場合、カリウムをうまく尿中に排泄できず、体内に蓄積してしまう高カリウム血症を引き起こすリスクがあります。これは不整脈などの重篤な症状につながる可能性があるため、健康診断で腎機能の低下を指摘されている方や、カリウム制限の指導を受けている方は、自己判断でバナナを摂取せず、必ず主治医に相談して適切な摂取量を確認するようにしてください。
患者様からよくあるQ&A
Q. バナナは1日に何本まで食べていいですか?
A. 糖尿病の方であれば、1日1本(約100g)を目安にしてください。これは80kcal程度に相当し、果物の摂取目安量として適当です。ただし、食事のデザートとして追加するのではなく、主食(ご飯やパン)を少し減らしてカロリーのバランスを取ることをお勧めします。
Q. 青いバナナは甘くなくて苦手なのですが、どうすればいいですか?
A. 確かに完熟バナナに比べると甘みは少ないですが、薄くスライスして無糖ヨーグルトに混ぜたり、少しシナモンをかけたりすると食べやすくなります。どうしても甘いバナナが食べたい時は、量を半分にするか、運動直後のエネルギー補給として食べるなど、タイミングを工夫しましょう。
Q. バナナチップスなどの加工品でも同じ効果がありますか?
A. 市販のバナナチップスは油で揚げて砂糖でコーティングされているものが多く、カロリーも糖質も非常に高くなっているため、糖尿病の方にはお勧めできません。あくまで「生のバナナ」を選ぶようにしてください。
まとめ
バナナは栄養価が高く、選び方さえ間違えなければ糖尿病の方でも安心して楽しめる果物です。ポイントは「1日1本」「完熟より青め」「朝にヨーグルトと一緒に」の3点です。特に青いバナナに含まれるレジスタントスターチの効果は医学的にも注目されています。甘いものを我慢するストレスを溜めるのではなく、賢くバナナを取り入れて、満足感のある食生活を送りましょう。食事療法について不安なことがあれば、いつでもご相談ください。
札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニック 院長 小野渉
参考文献


