糖尿病の合併症について
complications diabetes
糖尿病の合併症とはなんでしょうか
糖尿病の合併症
糖尿病では血糖値が高くなりますが、血糖値が600 mg/dl以上など著しく高い場合を除いて、高血糖による症状はほとんどありません。症状があったとしても、疲れやすい、のどが渇く、おしっこが近い、といったような軽度な症状のみであり、糖尿病で注意しないといけない事は糖尿病そのものの症状よりも、糖尿病による合併症です。
合併症を発症すると治療することが難しくなり、生活にも支障をきたすこともあります。普段から血糖コントロールを良好にすることが合併症予防に大切なことです。

河盛隆造、綿田裕孝 編:インフォームドコンセントのための図説シリーズ 糖尿病 改訂版 医薬ジャーナル社 ,23-36, 2017

目の障害
高血糖の状態が続くと、眼の奥にある網膜と言われる場所の毛細血管に障害が起き、進行すれば失明に至ることもあります。網膜症の症状は、末期になるまで気づかない場合がほとんどなので、定期的に眼底検査を受診することが大切です。
網膜症を防ぐためには
- 定期的に眼科の受診をしましょう。
- 血糖コントロールを良好にしましょう。
- 場合によっては眼科での治療をしましょう
神経の障害
糖尿病のコントロールが不十分な状態が長く続くと、神経(知覚神経・自律神経・運動神経)に障害が及びます。自律神経が障害されると、立ちくらみ、発汗異常、下痢や便秘、消化吸収の異常、排尿異常、インポテンツなどを起こします。また末端の神経障害が起きた場合は足の感覚低下から足の壊疽を起こすこともあります。
足部 足の感覚低下、足壊疽、足潰瘍、
足白癬 足壊疽を予防するためには
- 自分で入浴時などに足を観察するようにし、足底や指の間を観察することが大切で、異常があれば糖尿病内科を早期受診しましょう。
- 足に合った適切な靴を履きましょう。
- 定期受診時に遠慮なく相談しましょう。
当院ではフットケアを担当している専門の看護師がおりますので、お気軽にお声がけください。


腎臓の障害
高血糖状態が持続すると、腎臓の糸球体という場所に障害が起きます。早期の段階では尿アルブミンという微小な蛋白尿が徐々に漏れ出てくるのですが、糸球体の障害が進むと尿蛋白が増加していきます(これを顕生たんぱく尿と呼びます)。現在では新規に透析導入となる人の約半分ぐらいが糖尿病による腎障害です。
腎臓をまもるためには
- 血糖コントロールを良好にしましょう。
- 血圧を良好に保つ。130/80mmHg未満を維持しましょう。
- 場合によっては腎臓の障害を抑える薬を検討しましょう。
動脈硬化、大血管障害
動脈硬化は血管の内側に脂質やカルシウムが蓄積し、血管が硬く狭くなる状態です。動脈硬化は糖尿病だけでなく、高血圧や脂質異常症、喫煙、肥満など様々な要因で進行します。初期症状には疲労感や息切れ、胸部不快感、冷え感などですが、進行すると動脈が詰まりやすくなり、心臓病や脳卒中のリスクが上昇します。症状が進行する前に医師の指導を受け、生活習慣の改善や必要に応じて食事療法、運動療法、薬物治療を行うことが重要です。
動脈硬化を予防するには
- 血糖コントロールを良好にしましょう。
- 高血圧、脂質異常症など生活習慣病の是正や、減量、禁煙をしましょう。
- 定期的な健康診断や生活習慣の見直し、適切な管理を行いましょう。


歯周病
高血糖状態が持続すると歯肉の血管がもろくなり、放置すると歯周病が進行し、歯を支えている骨がなくなります。また高血糖状態では免疫力が低下し、歯肉が炎症を起こすことにより歯周病を発症します。歯周病の症状としては歯ぐきから血が出る、歯ぐきが腫れる、歯がぐらつくといった症状があります。
歯周病を予防するには
- 定期的な歯科検診を受診しましょう。
- 歯石、プラークの除去を行いましょう。
- 歯磨きの励行や生活習慣を改善しましょう。