札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニックです。
ラーメンや焼き肉を食べても、黒烏龍茶を一緒に飲めば帳消しになりますか?と聞かれることがあります。特定保健用食品のマークがついていると、飲んでいれば太らない、むしろ痩せるのではないかと期待したくなるかもしれません。
こってりした食事の脂肪分をチャラにしてくれる便利な飲み物と思われがちですが、実際には食事の量やカロリーがオーバーしていれば体重は増えてしまいます。お茶を飲んでいるから大丈夫と安心してしまい、かえって食事内容への配慮が薄れてしまうケースもお見かけします。黒烏龍茶は脂肪の吸収に影響する可能性のある成分を含んでいますが、飲むだけで体重が自然と減っていくような魔法の飲み物ではありません。
なお、本記事では市販の特定商品だけでなく、ウーロン茶やウーロン茶由来ポリフェノールを用いた研究も含めて紹介します。医療の観点から、ウーロン茶の成分が体に与える影響と科学的根拠について糖尿病内科医の目線からわかりやすく解説していきます。
目次
ウーロン茶ポリフェノールによる膵リパーゼ阻害作用
ウーロン茶に含まれる重合ポリフェノールには、食事に含まれる脂質を分解する酵素である膵リパーゼの働きを抑える作用があることが知られています。2005年に発表された基礎研究(in vitro)では、複数のウーロン茶ポリフェノールが、膵リパーゼの活性を阻害することが確認されました。脂肪は体内で細かく分解されないと消化管から吸収されないため、この酵素の活性を抑えることが脂肪の吸収抑制につながると考えられています。ただし、この研究はあくまで試験管の中という特定の環境下で行われた実験であり、これだけで直接ヒトの体重が減ることを証明したわけではない点に注意が必要です。
ヒト臨床試験における便中脂質排泄促進効果
体内に入った脂肪が実際にどのように排泄されるかを調べたヒト対象の研究も存在します。2006年の臨床研究では、ポリフェノールを強化したウーロン茶が高脂肪食と一緒に摂取された際、プラセボの飲み物を飲んだ場合と比較して、便の中に排泄される脂質の量が増加することが報告されました。この結果は、食事由来の脂肪吸収を抑えるという説明を支える根拠の一つとなっています。しかし、この研究は短期間における脂肪の排泄量増加を示したものであり、長期間飲み続けることで肥満が予防できたり、明確な減量効果が得られたりすることを直接証明したわけではありません。
ウーロン茶摂取によるエネルギー消費と脂肪酸化の増加
エネルギー消費や脂肪の燃焼を高める効果についても研究が行われています。男性12人を対象に行われた2001年のクロスオーバー試験では、水を飲んだ時に比べてウーロン茶を摂取した時にエネルギー消費量と脂肪酸化が増加したというデータが示されています。具体的には、エネルギー消費量が約2.9%増加し、脂肪酸化が約12%増えました。体内で脂肪がエネルギーとして使われやすくなる可能性を示す興味深いデータですが、これも短時間の代謝測定に基づく結果です。ここで大切なのは、脂肪酸化が12%増えたからといって、体脂肪が12%減るわけではないということです。
過体重・肥満者を対象とした臨床データと体重変化
実際に体重や体脂肪に対してどのような影響を与えるのかを検証した臨床研究も実施されています。2009年の研究では、過体重および肥満者102人を対象にウーロン茶を6週間継続して摂取してもらったところ、体重や体脂肪の減少が報告されています。今回のテーマに最も近い研究ではありますが、この試験は厳密なプラセボ対照二重盲検比較試験ではありません。そのため、ウーロン茶摂取後に体重減少が報告された研究はあるものの、ウーロン茶だけの効果と断定することはできません。
科学的根拠に基づく肥満改善と生活習慣見直し
ここまでご紹介した科学的論文から導き出せる妥当な結論は、黒烏龍茶をはじめとするウーロン茶成分には脂肪吸収や脂肪代謝に軽度の影響を与える可能性があるものの、飲むだけで明確に痩せることを示す根拠は不十分であるということです。ウーロン茶由来のポリフェノールが、脂肪の消化や代謝に影響する可能性は示されていますが、それだけで日々のオーバーカロリーを相殺することはできません。肥満の改善や予防における基本は、あくまでバランスの取れた食事内容や摂取量の見直しと、適度な運動習慣です。黒烏龍茶は肥満を治す薬ではなく、生活習慣改善の取り組みをサポートする補助的な選択肢として上手に付き合っていくことが大切です。
まとめ
黒烏龍茶には脂肪の吸収を抑えたり代謝に軽度の影響を与えたりする働きが期待できますが、飲むだけで痩せるという明確な科学的根拠はありません。お茶だけに頼って安心し、食事量が増えてしまっては本末転倒です。肥満や生活習慣病を根本から改善するためには、日々の食事内容や摂取量の見直し、そして運動習慣の継続が欠かせません。黒烏龍茶はあくまで健全な生活習慣を補う補助的なアイテムとして、上手に取り入れていきましょう。
患者様からよくあるQ&A
Q1: 黒烏龍茶を毎日飲んでいれば、好きなだけ脂っこいものを食べても太りませんか?
A1: いいえ、黒烏龍茶を飲んでも、食べた脂肪やカロリーがすべて帳消しになるわけではありません。食事から摂るエネルギーが消費エネルギーを上回れば、当然体脂肪として蓄積されます。お茶に頼り切るのではなく、まずは食事全体のバランスや量を整えることが最優先です。
Q2: 市販の黒烏龍茶は医薬品のように肥満を治す効果がありますか?
A2: 肥満を直接治療する効果はありません。商品によっては、食事に含まれる脂肪の吸収を抑え、食後の中性脂肪の上昇を抑える働きが認められています。しかし、これらはあくまで食品であり、医薬品のように肥満症そのものを治療するものではありません。健康診断で数値を指摘された場合などは、医療機関で適切な診察を受けましょう。
Q3: ダイエットのために黒烏龍茶を飲む際、最も効果的なタイミングはいつですか?
A3: 脂肪の吸収への働きを期待する商品は、一般的に食事と一緒に飲むことが想定されています。ただし、飲むタイミングを変えるだけで大きな減量効果が得られるわけではありません。商品に記載された摂取方法や目安量を守り、食事全体の内容や量を整えることが大切です。
札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニック 院長 小野渉
当院では糖尿病外来、生活習慣病外来、糖尿病患者を対象とした肥満外来、管理栄養士による栄養指導を行っております。 札幌市、札幌駅近郊で糖尿病、生活習慣病、肥満にお悩みの方はぜひご来院ください。
引用論文一覧


