ブログ

糖尿病にシナモンは効く?血糖値・HbA1cへの効果と注意点を医師が解説

札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニックです。

診察室で患者様から、SNSの情報を信じて毎日シナモンを食べているのに血糖値が下がらないというご相談を受けました。シナモンは糖尿病に効くのか、血糖値は下がる可能性があるのか、薬の代わりになるのか気になる方は多いと思います。結論から言うと、シナモンは空腹時血糖や脂質を少し改善する可能性はあるものの、HbA1c改善効果は一貫せず、糖尿病治療薬の代わりにはなりません。良かれと思って始めた習慣が期待通りの効果を生まない理由を考えるには、研究結果をどう読み取るかが重要です。この記事では、シナモンと血糖値、HbA1c、糖尿病薬との関係、大量摂取の注意点について、論文データをもとに糖尿病内科医の目線から解説します。

糖尿病にシナモンは効くのか

シナモンを食事や飲み物に取り入れている方は少なくありません。血糖値や脂質への影響について研究が長年行われてきました。一部のデータではよい結果も報告されており、注目されるきっかけになりました。しかし、医療機関で処方されるお薬と同じような確実な効果を期待できるわけではありません。効果には個人差もあり、現時点では、効果は限定的と考えられます。

血糖値への効果

シナモンの血糖値に対する効果を調べた小規模研究として、2003年のKhanらの論文があります。この研究では、2型糖尿病患者60人を対象に、40日間にわたり1日1グラム、3グラム、あるいは6グラムのシナモンを摂取してもらいました。その結果、空腹時血糖値が18%から29%低下し、脂質にも改善が報告されています。なお、このKhanらの2003年論文については、2025年に掲載誌から懸念表明が出されています。そのため、この研究だけを根拠にシナモンの効果を強く判断することはできません。しかし、これは短期間かつ少人数の小規模研究であり、結果の解釈には注意が必要です。

HbA1cへの効果

HbA1cは過去約1〜2カ月の平均的な血糖状態を反映する指標であり、糖尿病の管理において重要です。2010年のAkilenらの研究では、2型糖尿病患者58人を対象に、1日2グラムのシナモンを12週間摂取してもらう臨床試験が行われました。その結果、HbA1cと血圧の低下が報告されています。しかし、これも小規模研究であり、結果の解釈には注意が必要です。すべての方に同じ効果が期待できるわけではありません。

メタ解析・コクランレビューの結論

複数の研究結果を統合して分析するメタ解析が2013年にAllenらによって発表されました。この解析によると、空腹時血糖や脂質には改善がみられたものの、HbA1cへの有意な効果は認められませんでした。研究間のばらつきが大きく、適切な用量や期間は不明とされています。また、2012年のCochraneレビューでも、現在のデータだけでは糖尿病治療としてシナモンを推奨するには根拠不十分であると記載されています。全体として、シナモンの効果は限定的と考えるのが妥当です。

大量摂取の注意点

シナモンを摂取する際の安全性についても配慮が必要です。市販されているカシアシナモンという種類には、クマリンという成分が含まれています。このクマリンを過剰に摂取すると、肝臓に負担がかかる可能性があります。料理の風味づけ程度として少量を使うのであれば通常大きな問題になりにくいですが、血糖値を下げる目的でサプリメントを用いたり、粉末を毎日多量に摂取したりする使い方は避けた方が安全です。

薬の代わりにしてはいけない理由

研究データが示す通り、シナモンは空腹時血糖や脂質を少し改善する可能性はあるものの、HbA1cへの効果は一貫しておらず、糖尿病治療薬の代わりにはなりません。血糖降下薬を使用中の方がサプリメントとして多量に摂取する場合は、主治医に相談するのが安全です。自己判断で治療薬を中止したり、スパイスに頼って標準的な治療をおろそかにしたりすると、血糖コントロールが悪化し、長期的には合併症リスクを高める可能性があります。食事療法や運動療法、適切な薬物治療を行うことが大切です。

患者様からよくあるQ &A

質問:シナモンは血糖値を下げますか。

回答:一部の研究では空腹時血糖の低下が報告されています。ただし、効果にはばらつきがあり、糖尿病治療薬の代わりになるものではありません。

質問:シナモンでHbA1cは下がりますか。

回答:HbA1cが下がった研究もありますが、複数研究をまとめた解析では明確な効果が確認されていません。

質問:シナモンは1日どれくらいまでならよいですか。

回答:料理の風味づけ程度であれば大きな問題になりにくいですが、毎日スプーン山盛りで摂る、または粉末やサプリメントで多量に摂る、といった使い方は避けた方が安全です。

質問:糖尿病の薬をシナモンに置き換えてもいいですか。 回答:置き換えてはいけません。薬を自己判断で中止すると、血糖悪化や合併症リスクにつながる可能性があります。

質問:シナモンには種類がありますか。

回答:はい。一般的に流通しているシナモンには、主にカシアシナモンとセイロンシナモンがあります。カシアシナモンにはクマリンが比較的多く含まれるため、毎日大量に摂る場合は注意が必要です。料理の風味づけ程度に使うのがおすすめです。

まとめ

シナモンは空腹時血糖や脂質を少し改善する可能性はあるものの、HbA1cへの効果は一貫しておらず、糖尿病治療薬の代わりにはなりません。料理の風味づけとして楽しむ分にはよいですが、血糖値を下げる目的での大量摂取やサプリメントの利用は、肝臓に負担がかかる可能性もあるため注意が必要です。ネットの情報に振り回されず、食事や運動、処方されたお薬による標準的な治療を大切にしましょう。

札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニック 院長 小野渉

当院では糖尿病外来生活習慣病外来、糖尿病患者を対象とした肥満外来、管理栄養士による栄養指導を行っております。 健康診断で血糖値を指摘された方、HbA1cが高いと言われた方、薬だけでなく糖尿病の食事療法を相談したい方など、札幌駅近く・大通駅近くで糖尿病内科を探している方は、当院までお気軽にご相談ください。札幌市近郊で糖尿病や生活習慣病にお悩みの方のサポートをさせていただきます。

引用論文一覧

  1. Khan A, et al. Cinnamon improves glucose and lipids of people with type 2 diabetes. Diabetes Care. 2003;26(12):3215-3218. PMID: 14633804 ※本論文には後年に懸念表明が出されています:American Diabetes Association. Expression of Concern. Diabetes Care. 2025;48(9):1646. PMID: 40834253

  2. Akilen R, et al. Glycated haemoglobin and blood pressure-lowering effect of cinnamon in multi-ethnic type 2 diabetic patients in the UK. Diabet Med. 2010;27(10):1159-1167. PMID: 20854384

  3. Allen RW, et al. Cinnamon use in type 2 diabetes: an updated systematic review and meta-analysis. Ann Fam Med. 2013;11(5):452-459. PMID: 24019277

  4. Leach MJ, Kumar S. Cinnamon for diabetes mellitus. Cochrane Database Syst Rev. 2012;9(9):CD007170. PMID: 22972104

キーワード
ランキング