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糖尿病で腎臓の機能が下がる??糖尿病腎症について徹底解説!!

札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニックです。今回のブログは糖尿病性腎症についてです。糖尿病性腎症は、糖尿病の三大合併症のひとつで、高血糖が長期間続くことで腎機能が徐々に低下していく疾患です。初期段階では自覚症状がほとんどありませんが、適切な治療や生活習慣の改善がなければ、最終的には腎不全に至り、透析療法が必要となる場合があります。糖尿病性腎症は、進行段階に応じた治療が重要です。早期発見が鍵となるため、この記事では糖尿病性腎症の症状、進行段階(ステージ)、治療法、および予防策について糖尿病内科の目線から詳しく解説します。

糖尿病性腎症の進行段階(ステージ)

糖尿病性腎症は以下の5つのステージに分類されます。この分類は、尿タンパク値や腎機能を表すGFR(糸球体ろ過量)を基準としています。初期段階で適切な対策を取ることで、進行を防ぐ可能性が高まります。

ステージ 尿タンパク値 eGFR (ml/分/1.73m²) 主な症状
第1期 腎症前期 正常 (30未満) 30以上 自覚症状なし
第2期 早期腎症期 微量アルブミン尿 (30-299) 30以上 自覚症状はほとんどなし
第3期 顕性腎症期 顕性アルブミン尿 (300以上) 30以上 むくみ、息切れ、食欲不振など
第4期 腎不全期 問わない 30未満 倦怠感、貧血、手足のしびれなど
第5期 透析療法期 透析療法中 透析療法中 筋肉のしびれ、骨の痛み、嘔吐など

糖尿病性腎症の症状

糖尿病性腎症の初期段階では、自覚症状がほとんどありません。特に第1期や第2期では、尿タンパク値が増加しているにもかかわらず、日常生活に影響を感じないことが多いです。

しかし、進行すると以下のような症状が現れることがあります:

  • 第3期(顕性腎症期): むくみ、息切れ、胸苦しさ、食欲不振。
  • 第4期(腎不全期): 倦怠感、貧血、筋肉のしびれや痛み。
  • 第5期(透析療法期): 嘔吐、筋肉の強直、骨の痛みなどの深刻な症状。

これらの症状が現れる前に定期的な検査を行い、早期発見に努めることが重要です。

糖尿病性腎症の治療法

糖尿病性腎症の治療は、病期ごとに異なるアプローチが取られます。早期発見が可能な第1期や第2期では、血糖値や血圧の適切な管理が中心となります。

初期段階(第1期–第2期):この段階では、厳密な血糖コントロールと血圧管理が重要です。適切な食事療法や運動療法を導入することで、病気の進行を抑えることが可能です。

中期段階(第3期):第3期では、厳格な血糖管理に加え、塩分やタンパク質の摂取制限が求められます。この段階では、むくみや息切れなどの症状を緩和するための対策も必要です。

後期段階(第4期–第5期):第4期以降では、低タンパク食の徹底や、必要に応じて透析療法を開始します。腎機能が著しく低下している場合、腎移植が選択肢となることもあります。

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糖尿病性腎症を予防するために

糖尿病性腎症を予防するためには、生活習慣の見直しと定期的な検査が不可欠です。以下のポイントを参考にしてください:

  1. 定期検査の実施
    • 血液検査や尿検査を定期的に受け、糖尿病や腎症の進行状況を確認しましょう。
  2. 健康的な生活習慣の維持
    • 適正体重を維持し、禁煙や過度な飲酒を避けることが推奨されます。
    • 適度な運動を取り入れ、血糖値や血圧をコントロールしましょう。
  3. 食事療法の徹底
    • バランスの取れた食事を心がけ、糖尿病食の基本を守りましょう。
    • 塩分やタンパク質の摂取量を適切に調整することで腎臓への負担を軽減できます。

糖尿病腎症の薬物療法

糖尿病腎症の薬としては大きく分けて三つあります。それぞれについて簡単にまとめてみましょう

1 : アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB):この薬は血圧を下げ、糸球体内圧を軽減し、慢性腎臓病(CKD)の進行を防ぎ、特に糖尿病性腎症に有効です、ただし、高カリウム血症のリスクがあるため、定期的な腎機能のモニタリングが必要となります。

2 : SGLT2阻害薬:この薬は近位尿細管でのグルコースとナトリウム再吸収を抑え、尿細管糸球体フィードバック(TGF)を介して糸球体過剰ろ過を改善することで腎保護に働きます。大規模臨床試験では腎機能低下や蛋白尿進行を抑制し、心血管イベントリスクの低減効果も示されています。糖尿病性腎症はもとより他の慢性腎臓病(CKD)患者にも有用性が期待され、さらに血糖コントロールや体重減少、血圧低下の面でも利点が報告されています。

3 :フィネレノン(ケレンディア®️):この薬はアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やARBの追加治療として、アルドステロンによる炎症や線維化を抑制し、蛋白尿や腎機能低下の進行を抑えますFIDELIO-DKD試験などで糖尿病性腎症をはじめ慢性腎臓病(CKD)患者に対する腎保護効果が示されました。

まとめ

糖尿病性腎症は、初期段階では自覚症状が少なく、進行を抑えるためには早期発見と適切な治療が不可欠です。定期検査を通じて腎機能の状態を把握し、生活習慣の改善を行うことで、合併症の発症リスクを大幅に減らすことが可能です。糖尿病や腎症についてさらに詳しく知りたい方は、医師に相談し、自身の健康状態を見直すきっかけにしてください。早期の行動が、未来の健康を守る第一歩となります。

いかがだったでしょうか。今回はこの辺で。

当院では糖尿病の腎機能評価や治療、栄養指導を行っております。興味のある方はぜひ当院へお越しください

札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニック

院長 小野渉

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