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インスリン注射が痛くないのはどっち?ナノパス34Gとマイクロファインプロの違いと選び方

札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニックです。先日、インスリン治療を開始することになった患者様から、診察室でこのようなご相談を受けました。 「注射と聞いただけで怖いのですが、インターネットで調べたらとても細い針があると聞きました。ナノパスという針と、マイクロファインプロという針は、具体的に何が違って、どちらが痛くないのでしょうか。」 インスリン療法などの自己注射が必要な患者様にとって、毎日の針の痛みは治療のモチベーションに関わる切実な問題です。現在は技術の進歩により、極めて細く、痛みの少ない針が開発されています。今回は、代表的な注射針であるテルモ社のナノパスニードルII 34Gと、日本ベクトン・ディッキンソン社のBDマイクロファインプロについて、その違いや選び方を解説します。

注射針の太さを表すゲージという単位について

注射針のパッケージには、32Gや34Gといった数字が記載されています。これはゲージ(G)と呼ばれ、針の太さを表す国際的な単位です。重要なのは、この数字が大きければ大きいほど針は細くなるという点です。つまり、32Gよりも34Gの方が細い針ということになります。一般的な採血で使われる針が21Gから23G程度ですので、インスリン用の針がいかに細いかがわかります。今回比較するナノパスニードルIIは34G、BDマイクロファインプロは一般的に32Gの規格が主流となっており、単純な外径の細さではナノパスに軍配が上がります。

世界最細の先端を持つナノパスニードルIIの特長

テルモ社が開発したナノパスニードルIIの最大の特徴は、やはりその細さです。先端の直径はわずか0.18mmしかなく、これは蚊の針の太さに迫るほどの細さです。針先を非対称のエッジに加工するアシンメトリーエッジという特殊な技術が採用されており、皮膚に刺さる時の抵抗を極限まで減らしています。皮膚の痛点(痛みを感じる点)を避けて刺さる確率が高くなるため、穿刺時のチクッとした痛みを軽減することに特化した製品と言えます。とにかく痛みを最小限にしたいと願う患者様によく選ばれています。

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安定感と薬液注入のしやすさが魅力のマイクロファインプロ

一方、日本ベクトン・ディッキンソン社のBDマイクロファインプロは、32Gという太さを採用しています。ナノパスに比べると数字上はわずかに太くなりますが、これには理由があります。針の壁を薄くする技術により、内腔(針の内側の通り道)を広く確保しているのです。これにより、インスリンを注入する際に強い力を必要とせず、軽い力でスムーズに薬液を押し出すことができます。また、針先にはペンタポイントと呼ばれる5面カットの加工が施されており、32Gでありながらも滑らかに刺さるよう工夫されています。針にある程度の太さがあるため、折れにくく安定感があるのも特徴です。

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臨床現場における使用感の比較と好み

実際にこれらの針を使い比べた場合、どのような違いが感じられるのでしょうか。臨床試験の登録情報(UMIN000041355など)を確認すると、BDマイクロファインプロ(32G)とナノパスニードルII(34G)の使用感を比較し、患者様の好みやアンケート評価を調査する研究が行われていることがわかります。これらが比較対象となる背景には、細さを追求して痛みを減らすか、あるいは注入時の抵抗を減らしてスムーズさを取るかという、患者様ごとの優先順位の違いがあるからです。一般的に、針が細くなればなるほど、薬液を通す際の抵抗(押し心地)は重くなる傾向があります。

手の力の弱さや器用さに合わせた選択の重要性

どちらの針が優れているかというのは一概には言えず、患者様の手先の器用さや握力によって適した針が変わります。例えば、高齢で指先の力が弱くなっている方や、手の震えがある方の場合は、極細の34G(ナノパス)だと注入に時間がかかったり、針が皮膚の中で曲がってしまったりするリスクがわずかに高まる可能性があります。そのような場合は、ある程度の強度と注入のしやすさを持つ32G(マイクロファインプロ)の方が、安心して確実に注射できることがあります。逆に、若年層や痛みに極端に敏感な方には、34Gの恩恵が大きいでしょう。

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患者様からよくあるQ&A

Q. 途中で針の種類を変更することはできますか。

A. はい、可能です。実際に使ってみて、痛みが強いと感じたり、逆に注入しにくいと感じたりした場合は、次回の処方時に変更することができます。医師や薬剤師にご相談ください。

Q. 34Gの針は細すぎて折れることはありませんか。

A. 通常の使用方法であれば、皮膚の中で折れることはまずありません。ただし、まっすぐ刺さずに横方向へ無理な力を加えたり、刺したまま動いたりすると曲がる原因になります。正しい手技で行えば安全に使用できます。

Q. どちらの針を使っても値段は同じですか。

A. 病院で処方される場合、在宅自己注射指導管理料や注入器用注射針加算として計算されるため、基本的に患者様の窓口負担額に大きな違いはありません。ただし、医療機関によっては取り扱いがない場合もありますので確認が必要です。

まとめ

インスリン注射針の選択において、ナノパスニードルII(34G)は世界最細の先端による痛みの軽減が最大の特徴であり、BDマイクロファインプロ(32G)は注入のしやすさと針の安定感に優れています。臨床的にはどちらも優れた製品であり、痛みに敏感な方はナノパス、注入のスムーズさを重視する方はマイクロファインプロというように、ご自身の好みや手先の力に合わせて選ぶことが大切です。迷われた際は、サンプルなどで使用感を比較できる場合もありますので、遠慮なくご相談ください。

札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニック 院長 小野渉

当院ではインスリン外来糖尿病外来、糖尿病患者を対象とした肥満外来、管理栄養士による栄養指導を行っております。ご興味のある方はぜひご来院ください

引用・参考文献 BDマイクロファインプロ32Gx4mm と ナノパスニードルⅡ34Gx4mm の使用感比較(UMIN試験ID: UMIN000041355)

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