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白米より玄米が糖尿病にいいって本当??医師が徹底解説!!

札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニックの小野です。寒さで運動不足になりがちなこの季節、体重や血糖値を気にされる患者様が増えています。先日も、健康診断で血糖値が高めだと指摘された患者様から診察室でこのような相談を受けました。「先生、白米は砂糖を食べているのと同じだと雑誌で読みました。健康のために一生玄米しか食べてはいけないのでしょうか。正直、白米が大好きなので辛いです」と。結論から申し上げますと、医学的には確かに玄米の方が健康効果が高いことは間違いありませんが、決して白米が毒というわけではありません。今回は、なぜ白米より玄米が良いのか、最新の論文データを交えてわかりやすく解説します。

毎日のお茶碗一杯を変えるだけで糖尿病のリスクが大幅に減る

白米と玄米の健康効果を比較した研究の中で、最も信頼性が高く有名なものがハーバード大学公衆衛生大学院による大規模な調査です。約20万人もの男女を長期間追跡したこの研究では、白米を週に5回以上食べる人は、月に1回未満の人に比べて2型糖尿病の発症リスクが17パーセントも高いことが判明しました。一方で、玄米を週に2回以上食べる人は、逆にリスクが11パーセントも低くなっています。さらに重要なのは、1日50グラム、つまりお茶碗に軽く一杯程度の白米を玄米に置き換えるだけで、糖尿病のリスクは16パーセントも低下すると推計されたことです。これは、主食の質を変えるだけで、将来の病気のリスクを2割近く減らせる可能性を示唆しています。7ページ目 | ご飯を食べる人の写真素材|写真素材なら「写真AC」無料(フリー)ダウンロードOK

体重だけでなく体内の慢性炎症も抑える玄米の力

玄米の効果は糖尿病予防だけにとどまりません。2023年に発表された新しいメタ分析という信頼性の高い研究手法によると、白米食と比較して玄米食を摂取したグループは、体重やウエスト周囲径が明らかに減少していることが確認されました。さらに注目すべきは、CRPという体内の炎症レベルを示す数値も低下していたことです。肥満は単に脂肪がついているだけでなく、脂肪細胞から悪い物質が出て全身が火傷をしているような慢性炎症の状態にあります。玄米に含まれる豊富な栄養素は、内臓脂肪を減らすだけでなく、この静かな炎症を鎮め、動脈硬化などの大きな病気の火種を消してくれる働きがあるのです。

日本人の研究でも証明された血管を若々しく保つ効果

海外のデータだけでなく、日本人の体質に合った研究結果も報告されています。琉球大学などが行った研究では、メタボリックシンドロームの患者様を対象に、白米と玄米を食べ比べてもらい、血管のしなやかさを測定しました。その結果、玄米を摂取したグループでのみ、食後の急激な血糖値上昇が抑えられただけでなく、血管内皮機能と呼ばれる血管の若さを保つ機能が改善しました。食後の高血糖は血管の内側を傷つけ、動脈硬化を進行させる最大の要因の一つです。玄米は、まるで血管を守る盾のように働き、食事のたびに血管が受けるダメージを軽減してくれるのです。

白米と玄米の決定的な違いは血糖値を上げるスピードにある

なぜこれほどまでに白米と玄米で健康効果に差が出るのでしょうか。その最大の理由は、血糖値を上げるスピード、いわゆるGI値の違いにあります。精製された白米は、言わばエンプティカロリーに近く、食べた瞬間に糖として吸収され、血糖値を急上昇させます。これに対し、糠や胚芽が残っている玄米は、食物繊維の壁に守られているため消化吸収がゆっくり進みます。これにより、肥満ホルモンとも呼ばれるインスリンの過剰な分泌が抑えられ、脂肪がつきにくく、血管への負担も少ないという好循環が生まれるのです。ビタミンやミネラルが豊富であることももちろん大切ですが、この血糖コントロールのしやすさこそが、玄米を選ぶ最大の医学的メリットと言えるでしょう。

無理なく続けるために1日1食からの置き換えを推奨します

医学的に玄米が優れていることは明らかですが、いきなり全ての食事を玄米に変える必要はありません。胃腸が弱い方にとっては、消化に時間のかかる玄米が負担になることもありますし、何より美味しくないと感じてストレスが溜まっては続きません。まずは白米と玄米を1対1で混ぜて炊いてみたり、夕食だけを玄米に変えてみたりすることから始めてみてください。最近ではロウカット玄米のように白米と同じように炊けて食べやすい商品も増えています。完璧を目指すのではなく、細く長く続けることが、10年後の血管と健康を守るための秘訣です。

患者様からよくあるQ&A

Q. 玄米は消化に悪いと聞きましたが、胃腸が弱くても大丈夫ですか。

A. 確かに白米に比べると食物繊維が多く、消化に時間がかかります。胃腸が弱い方や、高齢の方、下痢をしやすい方は、まずは白米にお粥のように水分を多くして炊くか、精米度合いを調整した分づき米(3分づきや5分づき)から試すことをお勧めします。また、一口30回以上よく噛んで食べることで、消化吸収が良くなり、血糖値の上昇もさらに抑えられます。

Q. 玄米の残留農薬が心配です。白米の方が安全ではないですか。

A. 糠の部分に農薬が残りやすいのは事実ですが、日本の残留農薬基準は非常に厳しく設定されており、市場に出回っている玄米を食べても健康被害が出るレベルではありません。むしろ、玄米のデトックス効果(排泄作用)の方が、微量な農薬のリスクを上回るという考え方が一般的です。どうしても気になる場合は、無農薬栽培や有機栽培の玄米を選ぶとより安心です。

Q. 糖尿病の薬を飲んでいますが、玄米にすれば薬をやめられますか。

A. 玄米への切り替えは非常に有効な食事療法ですが、それだけですぐに糖尿病が完治するわけではありません。自己判断で薬を中断すると大変危険です。ただし、食事療法がうまくいけば、血糖値が改善し、結果として主治医の判断で薬を減らしたり、弱い薬に変えたりできる可能性は十分にあります。まずは今の治療を続けながら、主食を変えてみてください。

まとめ

白米を玄米に変えることは、単なるダイエット法ではなく、将来の糖尿病や心血管疾患を防ぐための立派な医療行為と言えます。ハーバード大学や琉球大学の研究が示す通り、その効果は体重減少だけでなく、血管の若返りや体内の炎症抑制にまで及びます。いきなり全ての食事を変える必要はありません。まずは夕食だけ、あるいは白米に少し混ぜることから始めて、ご自身の血管と未来の健康を守る食事習慣を身につけていきましょう。

札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニック 院長 小野渉

参考文献

  1. Sun Q, et al. White rice, brown rice, and risk of type 2 diabetes in US men and women. Arch Intern Med. 2010;170(11):961-9.

  2. Kazemzadeh M, et al. The effect of brown rice compared to white rice on adiposity indices, inflammation, and cardiovascular risk factors: A systematic review and meta-analysis. Crit Rev Food Sci Nutr. 2023;63(24):6975-6992.

  3. Shimabukuro M, et al. Effects of brown rice on endothelial function in patients with metabolic syndrome. Br J Nutr. 2014;111(2):310-20.

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