高尿酸血症・痛風
「風が吹くだけでも痛い」と言われる痛風。
その正体は、「高尿酸血症」という血液の異常状態にあります。
現代の日本人では、特に成人男性に多く、年齢層によって差はあるものの、おおむね約20%前後が高尿酸血症に該当するとされています。30歳以上の男性では20〜30%程度とする報告もあり、決して珍しい病気ではありません。
放置すると、関節の激しい痛みだけでなく、腎障害や心血管疾患などの重大な合併症を引き起こすリスクがあります。
本記事では、高尿酸血症の仕組みから症状、原因、治療、予防までを、内科医の視点で分かりやすく解説します。
「尿酸値が高い」と「痛風」は何が違う?

この違いを正しく理解することが、将来の健康管理につながります。
高尿酸血症は「予備軍」ではなく、すでに病気の状態
多くの方は関節の痛みを伴わない「無症候性高尿酸血症」ですが、痛みがないから健康というわけではありません。血液の状態としては、すでに異常が起きています。
痛風は高尿酸血症の「結果」として起こる
| 状態 | 内容 | 自覚症状 |
|---|---|---|
| 高尿酸血症 | 血液中の尿酸値が基準値 | ほぼなし |
| 痛風発作 | 尿酸結晶による急性炎症 | 激痛、腫れ、熱 |


痛みがなくても放置してはいけない理由
高尿酸血症を放置すると、以下のリスクが自覚症状のないまま進行します。
動脈硬化の進行(心筋梗塞・脳梗塞)
腎障害(痛風腎)(将来的に透析が必要になることも)
尿路結石(背中や脇腹の激痛)
高尿酸血症とは?診断基準と特徴

痛風発作を経験するのは約10〜20%とされています。
そのため、高尿酸血症は「症状が出てから治す病気」ではなく、「数値の段階で管理すべき病気」です。
高尿酸血症は男性に多い病気
サイレントキラーとしての側面
健康診断で初めて指摘されるケースが大半であり、定期的な検査が重要です。
高尿酸血症(痛風)の主な症状
痛風発作(急性関節炎)
関節の腫れ、赤み、熱感
歩行困難になるほどの激痛
1〜10日ほどで軽快するが再発しやすい


合併症
腎障害:尿酸結晶による腎機能低下
尿路結石:激しい腹背部痛
心血管疾患:高血圧・動脈硬化の進行
原因:なぜ尿酸値が上がるのか?
生活習慣の影響
プリン体の多い食事(内臓、干物、魚卵など)
過度な飲酒(アルコールの種類は問わない)
肥満・運動不足
強いストレス


遺伝的要因
当院での治療

主な治療薬
尿酸生成抑制薬:尿酸を作りすぎるタイプ向け
尿酸排泄促進薬:尿酸を排泄しにくいタイプ向け
治療時の重要な注意点
尿酸値が正常範囲であっても、急激な変動により痛風発作が起こることがあります。
特に、薬の開始直後や急激な食事制限時は注意が必要です。
治療は必ず医師の管理下で、徐々に尿酸値を下げることが重要です。
高尿酸血症の改善・予防策

食事療法
高尿酸血症の管理では、まず食事内容の見直しが基本となります。
プリン体は尿酸の材料になるため、「完全に避ける」のではなく摂りすぎないことが重要です。極端な制限は栄養バランスを崩し、かえって体調不良やリバウンドの原因になることがあります。
アルコールは種類を問わず尿酸値を上昇させる作用があるため、量と頻度を意識した節酒が必要です。休肝日を設けることも有効です。
また、水分を十分に摂ることで尿量が増え、尿酸の排泄が促されます。特別な飲料は不要で、水やお茶を中心に1日約2Lを目安にしましょう(心疾患や腎疾患がある場合は医師に相談してください)。
野菜、海藻、きのこ類、低脂肪の乳製品は、尿酸値を上げにくく、栄養面でも優れているため、日常的に取り入れることが勧められます。
運動療法
適度な運動は、体重管理やインスリン抵抗性の改善を通じて、尿酸値の安定に役立ちます。
ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動を無理のない範囲で継続することが大切です。
一方で、短時間に強い負荷がかかる筋トレや無酸素運動は、エネルギー代謝の急激な変化により、一時的に尿酸値が上昇したり、痛風発作を誘発する可能性があります。運動内容や強度は、体調に合わせて調整しましょう。
その他の生活習慣
体重管理は高尿酸血症対策の重要な柱です。
ただし、急激なダイエットは尿酸値を上昇させることがあるため、緩やかな減量を心がけます。
また、睡眠不足や慢性的なストレスはホルモンバランスや代謝に影響し、尿酸値の上昇につながることがあります。
十分な睡眠を確保し、自分に合った方法でストレスをコントロールすることも、長期的な予防につながります。
高尿酸血症(痛風)に関するよくあるご質問
放置せず、早めの受診を
腎不全や心疾患を防ぐための重要な体のサインです。
家族に痛風の方がいる
肥満傾向がある
飲酒習慣がある
プリン体の多い食事が多い
40歳以上の男性

