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胃のボトックス注射はダイエットに意味はあるの??論文を踏まえて徹底解説!!

札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニックです。皆様は胃ボツリヌス注射というのを聞いたことはりますか??近年、切らない肥満治療として注目を集めている胃へのボトックス注射ですが、その効果については医学的にも様々な議論がなされています。本当に痩せるのか、それとも効果は限定的なのか、多くの患者様が疑問を抱いていることでしょう。今回は、最新の医学論文やメタ解析の結果をもとに、胃ボトックス治療の有効性、効果を高めるための具体的な条件について、内科医の視点から詳しく解説していきます。How To Inject Botox Into The Stomach In Turkey

胃ボトックス注射のメカニズムと医学的な論争について

胃ボトックス療法とは、内視鏡を使って胃の筋肉にボツリヌストキシ(ボトックス)を注射し、胃の動きを一時的に麻痺させる治療法です。理論的には、胃の蠕動運動が弱まることで食べ物が胃に留まる時間が長くなり、満腹感が持続することで食事量が減り、体重減少につながると考えられています。しかし、この治療法の有効性については、研究によって結果が異なり、肯定的な意見と否定的な意見が混在しています。例えば、複数の研究を統合した大規模な解析(メタアナリシス)の中には、プラセボ(偽薬)と比較して、体重やBMIの減少において統計的に有意な差が見られなかったとする厳しい報告も存在します。医学的には、単に胃に注射をすれば誰でも痩せるという魔法のような治療ではないことを、まずは理解しておく必要があります。

効果を出すための鍵は投与量と注射部位にある

ボトックス注射の効果が否定される研究がある一方で、条件を絞ることで明確な効果を示した研究も存在します。あるシステマティックレビューとメタアナリシスでは、全体的なデータでは差がないものの、ボトックスの投与量が200単位以上である場合や、胃の複数の箇所に適切に注入した場合においては、有意な体重減少が認められると報告されています。つまり、治療の効果は使用するボトックスの量や注射する技術に大きく依存する可能性が高いのです。少量での施術や、適切な部位への注入が行われない場合には、期待するようなダイエット効果が得られない可能性があるため、医師の技術が非常に重要な要素となります。

GLP1受容体作動薬との併用療法による相乗効果

胃ボトックス単独での治療に加えて、さらに減量効果を高めるための方法として、GLP1受容体作動薬(リラグルチドなど)との併用が検討されています。700人以上の患者を対象とした後ろ向き研究では、ボトックス注射単独のグループと、ボトックス注射後に低用量のリラグルチドを併用したグループを比較しました。その結果、併用療法を行ったグループの方が、3ヶ月後および6ヶ月後の体重減少量が有意に大きいことが明らかになりました。胃の動きを物理的に抑えるボトックスと、食欲中枢に働きかける薬剤を組み合わせることで、より強力なダイエット効果が期待できることが示されています。

食事管理の重要性と治療の限界を知る

どの研究においても共通して強調されているのは、ボトックス注射はあくまでダイエットの補助であり、適切な食事管理が不可欠であるという点です。ボトックスを注射したからといって、暴飲暴食を続けていれば痩せることはできません。メタアナリシスにおいても、食事制限を併用した場合に効果が高まることが示されています。また、ボトックスの効果は永続的ではなく、数ヶ月で消失するため、その間に食生活を改善し、太りにくい生活習慣を身につけることが、リバウンドを防ぎ長期的な成功を手にするための本質的な条件となります。

結論として、胃へのボトックス注射は限定的な効果と言わざるおえませんが、適切な投与量(200単位以上)、適切な注入部位(前庭部や胃底部など)、そして食事療法との組み合わせが行われた場合に、今後有効な肥満治療の選択肢となり得ます。特にGLP1受容体作動薬との併用は有望な結果を示しています。しかし、魔法のような解決策ではなく、医学的な根拠に基づいた施術計画と患者様自身の生活習慣改善への努力が組み合わさって初めて、理想的な結果が得られる治療法であることを忘れないでください。

※胃ボツリヌス注射は日本では保険適応とはなってはいません。また当院で行うこともありません。また当院ではこの治療を患者様には積極的に勧めてはいません。治療を受ける際は合併症も含めて自己責任でおこなってください。

いかがだったでしょうか、また次のブログでお会いしましょう。

札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニック

院長 小野渉

引用論文

Theodoridis X, et al. Treatment of obesity with intragastric injection of botulinum toxin. Is it worth the pinch? An overview of systematic reviews and meta-analysis. Obes Res Clin Pract. 2023;17(3):189-196.

Yen YA, et al. Intragastric injection of botulinum toxin A for weight loss: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. J Gastroenterol Hepatol. 2022;37(7):1257-1265.

Takahashi K. Endoscopic Botulinum Therapy for Obesity: Focus on the Antrum and Fundus. Cureus. 2024;16(11):e7319. (Note: PMID 40761969 indicated a future date or recent publication, citation adjusted to standard format based on available info).

Altunal Ç, et al. Intragastric injection botulinum toxin A for obesity management with or without liraglutide. Eur Rev Med Pharmacol Sci. 2023;27(8):3212-3218.

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