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【医師解説】睡眠不足はなぜ太る?睡眠習慣を見直して健康的に痩せる方法とは??

札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニックです。

毎日一生懸命に食事制限をして、夜遅くまでジムに通って運動も頑張っているのに、なぜか全く体重が減らないどころか増えてしまう。先日、当院を受診された患者様からこのような切実なご相談を受けました。実はこのように、ダイエットのために寝る時間を削って努力を重ねている方ほど、知らず知らずのうちに太りやすい生活リズムになっていることがあります。睡眠を削って運動時間を生み出すという、多くの人が良かれと思って陥りがちな失敗例こそが、実は減量を妨げる見落とされやすい原因になっているのです。

睡眠不足と肥満リスクに関する医学的データ

日々の忙しさから睡眠時間を削ることが当たり前になっていないでしょうか。睡眠不足が続くと、食事や運動の効果が出にくくなることがあります。世界中で行われた膨大な研究データを集めて分析したメタ解析の結果によると、睡眠時間が短い人ほど肥満の頻度が高い傾向が示されています。この研究は子供から大人まで幅広い世代を対象にしており、短時間睡眠が幅広い世代において肥満と関連する可能性を示しています。まずはご自身の睡眠時間が十分に確保されているかを振り返ることが、体重管理を見直す第一歩となります。Obesity | Definition, Causes, Health Effects, & Facts | Britannica

睡眠不足による食欲コントロールホルモンの乱れ

では、なぜ睡眠が足りないと私たちは太りやすくなってしまうのでしょうか。その理由は、私たちの意志の弱さではなく、体内で分泌されるホルモンのバランスが崩れてしまうことにあります。医学的な研究において、睡眠時間が短い状態が続くと、脳に満腹を知らせて食欲を抑えるホルモンであるレプチンの分泌量が低下することが分かっています。それと同時に、今度は胃から分泌されて食欲を高めるホルモンであるグレリンが増えやすくなることが報告されています。その結果、食欲が増しやすく、満腹感を得にくい状態になる可能性があります。

hormonal imbalances

睡眠時間を延ばすと食べ過ぎが減る可能性

睡眠不足が食欲を乱すのであれば、逆に睡眠時間をしっかりと延ばすことで減量効果が期待できるのでしょうか。この疑問に対して、過体重の成人を対象とした非常に興味深い臨床試験が行われました。普段の睡眠時間が短い人たちに対して、睡眠環境を改善して寝る時間を平均で約1.2時間延長してもらうという試みです。その結果、参加者たちは特に厳しい食事制限や運動の義務を課されていないにもかかわらず、1日あたりの摂取エネルギーが平均で約270キロカロリーも自然に減少したことが報告されています。しっかりと睡眠をとることで、過剰な間食や食べ過ぎを防ぐ効果が期待できるのです。

体内時計の乱れが引き起こす不健康な食事選択

睡眠の重要性は、単に睡眠時間の長さだけでなく、寝るタイミングや質の良さにも深く関わっています。夜更かしをして生活リズムが乱れると、私たちの体に備わっている概日リズム、いわゆる体内時計が乱れてしまいます。近年の科学的な総説論文でも強調されているように、この概日リズムの乱れは、高カロリーな脂っこいものや甘いものを無性に食べたくなるという、不健康な食事選択を誘発します。夜遅い食事は摂取カロリーの増加や血糖コントロールの乱れにつながりやすく、肥満や生活習慣病の悪循環を生み出す原因の一つとなります。朝型から夜型に変えてTOEICが270点アップ!体内時計を活かす英語学習法|瀧内俊之|英語コーチ・ビズイングリッシュコーチ(Biz English Coach)代表

医療機関でのアプローチによる生活リズムの改善

このように、肥満の解決には食事や運動の改善と同じくらい、睡眠習慣の見直しが大切です。当院の肥満外来や生活習慣病外来では、体重が増えてしまう原因を単なる自己管理不足として片付けることはいたしません。患者様が日々どのような睡眠をとり、どのような生活スケジュールで過ごされているかを丁寧にお聞きし、根本的な原因にアプローチします。また、在籍する管理栄養士によるきめ細やかな栄養指導を通じて、睡眠の質を向上させるための食事の摂り方やタイミングなど、一人ひとりのライフスタイルに合わせた具体的な提案を行っております。


睡眠不足は、食欲に関わるホルモンバランスや食事選択に影響し、肥満リスクを高める可能性があります。また、過体重の成人を対象とした臨床試験では、睡眠時間を延ばすことで1日の摂取エネルギーが自然に減少したことも報告されています。健康的なダイエットを成功させるためには、食事や運動だけでなく、睡眠という生活の土台を整えることが大切です。体重管理にお悩みの方は、ご自身の睡眠習慣を一度見直してみましょう。


患者様からよくあるQ&A

Q:仕事が忙しくてどうしても睡眠時間が短くなってしまいます。どうすれば良いですか?

A:平日に十分な時間を確保できない場合でも、睡眠の質を高める工夫が効果的です。例えば、寝る前のスマートフォンやパソコンの画面を見るのを控えたり、ぬるめのお風呂に浸かってリラックスしたりすることで、深い睡眠を得やすくなります。まずは寝室の環境を整えることから始めてみてください。

Q:寝る直前にお腹が空いて眠れないときは、何を食べたら太りにくいですか?

A:就寝直前の食事は消化に負担をかけ、睡眠の質を落とすため避けるのが理想ですが、どうしても我慢できない場合は、無糖の温かい飲み物や具の少ないスープ、少量の豆腐など、消化が良く低カロリーで体を温めるものがおすすめです。脂っこいものやスナック菓子は控えましょう。


札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニック 院長 小野渉

当院では糖尿病外来生活習慣病外来、糖尿病患者を対象とした肥満外来、管理栄養士による栄養指導を行っております。 札幌市、札幌駅近郊で糖尿病、生活習慣病、肥満にお悩みの方はぜひご来院ください。


引用論文一覧

  1. Cappuccio FP, Taggart FM, Kandala NB, et al. Meta-analysis of short sleep duration and obesity in children and adults. Sleep. 2008;31(5):619-626. PMID: 18517032

  2. Taheri S, Lin L, Austin D, et al. Short sleep duration is associated with reduced leptin, elevated ghrelin, and increased body mass index. PLoS Med. 2004;1(3):e62. PMID: 15602591

  3. Tasali E, Wroblewski K, Kahn E, et al. Effect of Sleep Extension on Objectively Assessed Energy Intake Among Adults With Overweight in Real-life Settings: A Randomized Clinical Trial. JAMA Intern Med. 2022;182(4):365-374. PMID: 35129580

  4. Chaput JP, McHill AW, Cox RC, et al. The role of insufficient sleep and circadian misalignment in obesity. Nat Rev Endocrinol. 2023;19(1):82-97. PMID: 36280789

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