札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニックです。「最近どうも喉が渇きやすい」「水やお茶をよく飲むのに、すぐ渇いてしまう」――こんな症状が続いている方は要注意です。実は、喉の渇きの代表的な原因の一つに糖尿病があります。本記事では、糖尿病による喉の渇きの仕組みや、どんな症状に気をつけたらよいのかをご糖尿病内科医の立場から解説します。ぜひ、ご自身や周囲の方の体調管理にお役立てください。
目次
なぜ糖尿病で喉が渇くのか?
糖尿病の方は、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が慢性的に高い(高血糖)状態にあります。
- 血糖値が高いと血液がドロドロになり、身体はこれを薄めようと水分を欲しがるようになります。
- 一般的に、血糖値が250 mg/dLを超えると喉の渇きを感じやすいと言われています。
- これは、身体が血管詰まりによる脳梗塞・心筋梗塞などを防ぐために生理的に起こしている“防御反応”でもあるのです。
喉の渇き以外にこんな症状ありませんか?
- 尿量が増えたり、夜中にトイレへ何度も行く
- たくさん水を飲むため、尿の量やトイレの回数も増える傾向があります。
- 夜中に何度も起きてしまう場合、睡眠の質が下がり疲れが抜けにくくなります。
- 「以前より回数や量が増えていないか」自分の変化を振り返ってみてください。
- すぐ疲れる、身体がだるい
- 高血糖状態だと、必要なエネルギー源であるブドウ糖が細胞内にうまく取り込まれません。
- その結果、体を動かしたり考えたりするエネルギーが不足し、疲れやすさやだるさを感じやすくなります。
- 食べているのに痩せてくる
- インスリンが十分に働かない=摂取したブドウ糖を使えないため、
- 身体は脂肪や筋肉を分解してエネルギーを作り出そうとします。
- このため食欲はあるのに体重が減る、という現象が起こることがあります。
- 尿に泡が立つ
- 糖尿病になると血液がドロドロになり、腎臓の糸球体(血液をろ過する細かい血管)が傷つきやすくなります。
- その結果、尿にたんぱく質が混じり泡立ちが起こる場合があります。
- 手足・指先がしびれる
- 血糖値が高い状態を放置すると、神経細胞の働きを阻害する物質が溜まり、末梢神経への血流や酸素供給が滞りがちになります。
- こうした理由から、手足の末端にしびれを感じることがあるのです。
糖尿病以外でも喉が渇く場合は?
喉の異常な渇きの原因は糖尿病だけではありません。たとえば、
- 風邪・インフルエンザ・咽頭炎などの感染症
- 更年期障害
- ドライマウス・シェーグレン症候群
- 塩分やアルコールの摂りすぎ
- ストレスや脱水症
- お薬の副作用
など、さまざまな疾患・生活習慣が関与していることもあります。
「喉の渇きがどうも気になる」「ほかにも気になる症状がある」という方は、まず医療機関で検査を受け、原因をはっきりさせましょう。思い込みだけで自己判断すると、必要な治療が遅れてしまうケースもあります。
そもそも糖尿病とは?
- 糖尿病とは、血液中のブドウ糖(血糖)が高い状態が続く疾患のこと。
- 原因はインスリンというホルモンが不足したり、働きが低下したりするためです。
- 高血糖が続くと動脈硬化や細小血管障害が進行し、さまざまな合併症(目・腎臓・神経など)を引き起こします。
こんな症状に心当たりはありませんか?
- 傷が治りにくい
- 頻尿・残尿感
- 肌の乾燥やかゆみ
- 勃起不全(ED)
- 手足の感覚が鈍くなる
- 疲れやすい・だるい …など
もし複数当てはまるものがあれば、早めに医療機関で相談してみましょう。
糖尿病で喉が渇く仕組み
糖尿病の方は、血中のブドウ糖量が増えすぎて「ドロドロ血液」の状態になります。
- 血液がドロドロ → 血管に負担がかかり、放置すると脳梗塞・心筋梗塞に発展するリスクが高まります。
- そのため、身体は意図的に水分摂取を促し、血液を薄めようとするのです。
- 血糖値250 mg/dL超えが続くと、この生理的な“渇き”が顕著に現れるようになると言われます。
もし“喉の渇き”を感じたら…早めの受診が大切
糖尿病は「サイレントキラー(沈黙の病)」とも呼ばれ、初期には自覚症状がほとんどありません。喉が渇く、尿が増える、体重が減るなどの症状が出始めた段階では、既にある程度進行していることが多いのです。
そこで大切なのは、「いつもと違うな?」と思ったら早めに医療機関を受診すること。原因が糖尿病かどうかをチェックし、必要に応じた治療や生活習慣の見直しを始めましょう。放っておくほど、重大な合併症につながるリスクが高まります。
喉の渇きが続くときはお気軽にご相談ください
喉の渇きは、糖尿病だけでなく他の病気が原因のこともあります。
「単なる水分不足かな?」と見過ごしていたら、実は重大な疾患につながっていた…ということも少なくありません。
- 数日~数週間以上喉の渇きが続く
- 尿が妙に泡立つ、回数が増えている
- 疲れやすい、肌がかゆい、体重が急に落ちた…など
このような症状がありましたら、ぜひ医療機関で検査を受けてみてください。原因が分かれば、必要な治療や生活習慣の改善をスムーズに始めることができます。
まとめ
- 喉の渇きは糖尿病の代表的な症状の一つで、高血糖状態を改善しようとする身体の防御反応。
- ほかにも頻尿・体重減少・だるさ・しびれなどの症状がある場合は、早期に糖尿病検査を受けましょう。
- 糖尿病以外にもさまざまな原因が考えられるため、「続く喉の渇き」が気になる方は医師へご相談を。
喉が渇く症状が長引いたり、体調面で気になることがあれば、どうぞお気軽に専門のクリニックへご相談ください。糖尿病であっても早めの対応で合併症を防ぎ、健康的な生活を取り戻すことは十分に可能です。まずは不安を一人で抱え込まず、医療機関の受診からスタートしてみましょう。
いかがだったでしょうか。また次のブログでお会いしましょう。
札幌駅近く、大通駅近くの小野百合内科クリニック
院長 小野渉